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リアクション
16:00 混浴?!
「意識を失ったお客様は近くの部屋へ運んで、中には重症のお客様がいるかもしれないから、念の為イルミンスールへ連絡を」
縁の指示が飛ぶ。
浮いていた男達は次々と運び出されていった。
幸い、重症者はなく、回復系の魔法の使い手もいたので、しばらく寝ていれば全員回復する見込みだ。
「ふぅ、まさかあんな光景を二度も見ることになるなって思わなかったわ……」
しばらく夢に出てきそうで怖い。
「女将、温泉はどうしましょう?」
不安そうに真奈が聞く。
衝立が失われた為、温泉を男女に分けることができない。
「せっかくお湯が復活したのに……」
縁の表情が暗くなる。
「このまま混浴で良いんじゃない?」
縁の耳元で声がした、いつの間にかレラージュ・サルタガナス(れら・るなす)が縁に抱きついている。
「衝立の代わりはないんでしょう? なら混浴でも温泉に入れる方が良いと思うけど……どうかしら?」
「で、でも、混浴だなんて……そんな……」
縁の顔が赤くなる。
「あら、女将さんたら、イケナイ事想像しちゃった?」
そんな縁の表情を楽しみながらレラージュがいたずらっぽく尋ねる。
「そそ、そんなことっ! わかりました、混浴にします!」
「はいはーい、水着はこちらですよー」
レティシアが女性客に水着を配って廻る。
「お、お姉ちゃん、どうして露出度の高い水着ばっかりなの?!」
荀灌に渡されたのは、どれもきわどいデザインの水着ばかりだった。
「他にサイズが合うのが無かったの、しょうがないわよ」
と答えた郁乃は競泳用の水着だ、よく似合っている。
幸いなことにレティシアとミスティの持参した衣装の中に水着があったのだ。
と言っても、女性用のみだから、男性はタオルのみ、隠すのが大変だ。
「淳二さん、その……私、気にしませんから!」
「いや、気にしてくれた方がいいからっ!」
顔を真っ赤にしてうつむく淳二とミーナ。
「はっはっはっ、私はもともと全裸だがな!」
変熊仮面が仁王立ちになっていた。
「全裸だがにゃ!」
にゃんくま仮面も仁王立ちだ。
「あ、かわいい猫ちゃんがいるよ、ミルフィーユ、挨拶して」
魅蘭がにゃんくま仮面の方へうさぎを放す。
カプ……ミルフィーユはにゃんくま仮面に噛み付いた。
「痛い、痛いにゃ! う、うさぎの分際でボクに歯向かうつもりかにゃ! フーッ!」
噛み付かれた痛みで涙目になりながら威嚇するにゃんくま仮面だった。
「まさか混浴になってしまうなんて……」
秋葉 つかさは不満だった。
「これでは覗きをする意義がないではありませんの……」
無警戒の男湯といい、混浴といい、つかさの欲求を満たしてはくれなかった。
しぶしぶ温泉に浸かることにした。
「今回は不完全燃焼でしたが、次こそは……」
と決意を新たにするつかさ……の背後に迫る影があった。
「私としたことが……こんなに素晴らしい肉体の持ち主を見落としていたなんて……一生の不覚です」
ベネデッタだった……一糸纏わぬつかさの姿を食い入るように見つめている、なぜか呼吸が荒い。
これはたしか……こんな状況を表す言葉をどこかで……
そう――ミイラ取りがミイラになる――
「さぁ、私がその体の隅々まで綺麗にしてあげますっ!」
「嫌ぁぁぁ!」
「ふふっ、嫌よ嫌よも好きのうち、です!」
精一杯温泉を満喫するベネデッタだった。
「お客様、私たちがお背中を流しますっ!」
神羽美笑と城観月季がきわどい衣装で現れる。
男性客には嬉しいサービス、のはずなのだが……
「お客様? 大丈夫ですか?」
「観月季ちゃん、どうしたの?」
美笑が駆けつけると、客はなぜか前のめりになって……とても苦しそうにしていた。
介抱しようとした観月季の胸が客に触れる、客はさらに苦しそうになった。
「お客様?! 私はいったいどうすれば……」
どうすることもできず、狼狽する観月季。
その後も前かがみになる者は続出した。
お湯から出ることが出来なくなり、のぼせる者いた。
「うーん、何がいけなかったのかなぁ……」
こんな事態は美笑にも予想外だった。
しかしミナだけは訳知り顔でうんうん、と一人頷いている。
「ふふっ、皆さんお元気ですこと……やはり混浴でこのサービスはちょっと厳しいかも知れませんわね」
とは言え、せっかくのサービスを無駄にすることもない。
わけがわからないでいる二人に、ミナは代案を提示することにした。
「逆に女性客を相手にした方が良いかも知れませんわよ?」
と……
もちろん、テストと称して自分の相手をさせる事は忘れない。
「女性同士なのですから遠慮は無用です、もっと密着させるべきですわ」
「は、はい、こうですか?」
観月季の胸がミナに密着する。
(あぁ、役得ですわ……)
このサービスが後に一部の女性客から熱狂的な支持を受けることになるとは想像もつかない美笑達だった。
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