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リアクション
■それぞれの野望
雪だるま王国女王の
赤羽 美央(あかばね・みお) の宣言で、
天下分け目の雪合戦が開戦した。
美央は、甲冑に兜という完全武装で、雪原を睥睨する。
そのせいで、他のイベント主催者と比べて恐ろしげな様相を呈していたのであったが。
(まぼろしのキノコみつかりませんでした……)
その理由は、キノコ狩りでの鬱憤のせいであった。
そのため、美央は、雪だるまに魂を売り渡していた。
「雪の藻屑と変えてくれましょう。
今日の私は女王ではなく、覇王です」
氷の建物の奥で、美央は、RPGのラスボスのように、堂々と構えているのであった。
★☆★
他方。
雪だるま王国騎士団長の
クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は。
「赤羽へーかに、散々ほったらかしにされてきた挙げ句、
雪だるま王国には出禁状態!
これは由々しき事態です。
へーかの横暴を見過ごすわけには参りません。
今こそ正々堂々ジョセフ氏に正当なる地位をプレゼントするのです!
あ、それと王国への入国許可も!」
と、
美央のパートナーなのにひどい扱いを受けている
ジョセフ・テイラー(じょせふ・ていらー)のため、勝とうとしていた。
そんな、クロセルの盟友たるジョセフは、
パートナーからの扱い改善のため、ネクロマンサーとなり、
美央の苦手なゴースト3兄弟(オオ・ババ・ケケ)を従えていたりするのだが、
かえって逆効果な気がしないでもない。
今回の作戦はこうだ。
ジョセフは、かまくらの中に入り、入り口を塞いで、敵が減るのを待つ。
それを、クロセルが守り、ジョセフが勝てるようにするというのだ、
ジョセフのかまくらは、敵が侵入できないよう、塞がれていたが。
「でもソレじゃ酸欠になりますヨネ! そこに気づくのがミーが秀才たる所以デース。
ストローを外に出しテ、フーフー息をしていマス!」
忍者のように、ストローで呼吸するジョセフであった。
★☆★
しかし、他にも雪だるま王国の地位を狙うものがいた。
日比谷 皐月(ひびや・さつき)であった。
「別に不満がある訳じゃねーけど、そろそろ用務員を卒業したいんだよなぁ。
何か扱いぞんざいだし!
しょっちゅう忘れられてるし!
偶に皆で何処か行く時も置いてかれるし!
その間もずっと掃除してるし!
……不満はねーけど!
ああ、不満なんてねーよ!
でもな、今日は心を鬼にして、優勝を狙わせてもらうぞ……!」
皐月が、隻腕の拳を握りしめる。
「でも、あれ、
片腕でどうやって雪玉握るんだ――――!?」
そこに、クロセルが、小悪党モード全開で近づいてくる。
「ふふふ、丸腰で雪合戦に参加とは、いい度胸ですね」
「な、クロセル、また黒い発言を!?」
クロセルは、雪玉を投げつけた後、
両手のロケットパンチを発射する。
「おっと、雪玉を作っていたら、手が滑って手袋が飛んしまいました」
「殺す気か!?」
あわてて退避する皐月だが。
★☆★
エリセル・アトラナート(えりせる・あとらなーと)も、また、
内気な性格ながら、
王国での地位を狙っていた。
(優勝したら、雪だるま王国の住民票と、
魔法と錬金術の研究ができる地位が欲しいです。
日光に弱い私ですが、
雪だるま王国ならその心配があまりないですし、
錬金術の研究ができれば、アゾートさんのお手伝いもできますから)
アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)のことを考え、
エリセルは優勝を狙う。
「こんな私ですが、ご褒美はほしいんです!
悪く思わないでくださいね……!」
エリセルが、雪玉で弾幕を張る。
エリセルの身体の蜘蛛の足にも、たくさんの雪玉が刺さっている。
「うわああっ、思わぬ伏兵ですよっ!」
「ちょ、少しは手加減しろよ!?」
クロセルと皐月は、あわてて障害物に隠れる。
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