リアクション
2人のクリスマス
地上の星が美しい展望レストランで、島村 幸(しまむら・さち)とガートナ・トライストル(がーとな・とらいすとる)は仲良く食事をしていた。
「これは……」
出てきた食事を見て、幸はナイフを入れ、きらっと目を輝かせた。
「一見、完全なフレンチに見えますが、ソースには中華系の香辛料が入っています。種類は5……いえ6種類でしょうか。内訳は……」
「……幸?」
ロマンティックなキャンドルが輝くテーブルで成分分析を始めてしまった幸に、ガートナが声をかける。
「あ、え、いえ」
今日は白いイブニングドレスを身にまとった幸が照れくさそうに頬を染める。
「だ、だって仕方ないじゃないですか!」
こんなクリスマスデートをしたことのない幸は、何を話していいのかわからないのだ。
落ち着かない幸の様子を見て、ガートナは小さく微笑み、お店の人に何事かを頼んだ。
そして、2人のテーブルに特別ケーキが運ばれてきた。
「君が生まれて、君と出会えたことを神に感謝して。幸、誕生日おめでとう!」
白いケーキの上にお菓子の家があって、チョコレートでメッセージが書かれていた。
「うわぁー、かわいい! ふふっ、これ私と貴方の人形です♪」
ケーキの中央に置かれた人形を見て、幸が嬉しそうに笑顔を見せる。
ろうそくについた火を吹き消し、幸は感激のあまり、ガートナの頬にキスした。
「さ、幸……」
「ガートナ、だーいすき♪」
幸は白いフロックコート姿のガートナに飛びつくように抱きつき、2人は楽しいディナーの時間を終えたのだった。
お店を出て展望フロアに上がった幸とガートナは、今夜のディナーの話をしていたが、突然、ガートナが黙り込んだ。
「どうました?」
「……幸、これを」
ガートナは結婚指輪と花束を幸に差し出した。
そして。
「You are everything to me,my love.結婚して下さい。世界で一番幸せにしますから……」
ガートナの言葉に幸のときが一瞬止まる。
「ええ……も……ちろん。喜んでお受けいたします」
感激で言葉をつまらせながら、幸は答え、ガートナは幸の手の甲にキスをして、指輪をはめてあげた。
クリスマスの夜のプロポーズを幸は忘れないことだろう。