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リアクション
閉店の時間
閉店の音楽がながれている店内。
「はい。今日は、ここまでだね」
リアトリスが、額の汗を拭いながらニコリと微笑んだ。
リアトリスの前には、大勢の子供が集まっている。
さきほどから、リアトリスと一緒にフラメンコを踊っていたのだ。
「楽しそうで、良かったわね」
子供たちのお母さんが、やってきて笑顔で言う。
「うたのおねえさん、バイバイ」
子供たちが、リアトリスに手を振る。
「バイバイ」と言って笑顔で手を振るリアトリス。
「ねえ、また一緒に遊んでくれる?」
別の子供に言われ、「もちろん♪」と答えるリアトリスだった。
「それじゃ、お姉ちゃん、ボク、帰るね」
ルピナス・ガーベラを見あげて、男のが言う。
「うん。もう、迷ったくらいで泣くことはないですわね」
「もちろんさ! あ、あのさ……」
「ん?」
「ぼ、ボク……、いや、俺、強くなるよ」
「うん。君ならなれますわ」
「そ、そしたら、姉ちゃんのふぃあんせにしてほしいんだ」
「……え?」
「絶対、俺、お姉ちゃんと結婚できるくらい、強い男になるよ!」
男の子は、照れくさそうにそう言って、ルピナスの答えを聞かずに走り去っていった。
「わたしく、やってしまったのでしょうか……」
断の何かを咲かせてしまったと後悔するルピナス。
「やだー。もっとプリンと遊ぶのー」
スプリングロンドの尻尾を掴んだ子供が泣いている。
「ほら、そんなこと言わないの。ワンちゃんだって、困ってるでしょ」
母親が申し訳なさそうに言う。
「やだー、ずっと一緒にいるの。お家で飼いたい」
泣き止みそうにない子供に、スプリングロンドは、ペロッと子供の頬を舐める。
わんわんと鳴きながらおすわりをして右手を高く上げて上下に動かす。
「……また、来てもいい?」
子供が涙を拭いながら言う。スプリングロンドは、「ワン!」と答える。
「プリン、バイバイ!」
お母さんに手を引かれ、帰っていく子供たち。
「かわいいガキ共だったな」
子供が見えなくなったあと、ポツリとつぶやく、スプリングロンドであった。
「じゃあ、帰ってから食べてね」
シア・メリシャルアが、子供たちにニコリと微笑みかける。
シアと大神愛は、子供たちと一緒にお菓子を作っていたのだ。
子供たちは、デコレーションクッキーを持って、嬉しそうに帰っていく。
「ちゃんと、食べる時も手を洗うんだよ」
手を振って、子供を見送るシアと愛。
「持って帰って、カティと一緒に食べよう」
包み紙を大事そうに抱えるヨルと、バリバリと音をたてて、クッキーを食べている栞。
「もっとないのかな?」
ゴクリとクッキーを飲み込んだ栞が、物ほしそうにシアと愛を見つめた。
店内から、ヨロヨロとアリアが出てくる。
服はボロボロで、手には何ひとつ買い物らしいものは持っていない。
「ふあぁ……しばらくバーゲンはもういいようぅ……ぐすん」
疲れきった表情で、帰路につくアリアだった。
そんなアリアを尻目に、幸せオーラを漂わせるカップルが、店から出てくる。
「先輩、今日は楽しかったですね」
「ああ。また来よう」
手を繋いで、歩くりをと正悟。
「まあ、買えるものは、買えたから良しとしておきましょうか。思ったよりも米が安かったのが、ラッキーでした」
「ヨヤ様……、もうこんなのは、勘弁だぜ」
手に、もてるだけの買い物袋を持っているウィルネスト。
遠くから見ると、袋の化物があるいているように見える。
「来週は、別の店でバーゲンがあるようですね」
ヨヤがポケットからチラシを出して言う。
「嫌だぁぁぁぁー」
ウィルネストの絶叫は、白み始める空へと消えていった。
「もう、心配したんだぜ。でも、無事でよかった」
刃は、ホッとした表情で月桃を見る。
「……すいませんでした」
うつむく、月桃。
「僕がいるから、心配することないって、書いただろ」
くまの大きなヌイグルミを持った桜花が、むくれ顔で言う。
「……ちっ、無事だったか」
小声で、舌打ちをする犬塚銀だった。
「可愛い服、いっぱい買えたね、ふーちゃん」
「そうですね。……でも、ちょっと疲れました」
たくさんの買い物袋を持っている、結奈とフィアリス。
「ねえ、今度の休みは、これ着てどっか遊びに行こうよ」
「はい。楽しみです」
疲れ顔が吹っ飛び、笑顔になるフィアリス。
帰る足取りは軽かった。
「うう、何だかひらひらして薄くて、落ち着かないです〜」
フリフリのワンピースを着ているウィルヘルミーナ。
「うん。やっぱり、思った通りウィルちゃんに良く似合ってるよ」
「こ、こんなひ、ひらひらした服は、少し恥ずかしいです」
「でも、着てくれてありがとう」
キラキラした目で、ウィルヘルミーナを見るファイリア。
この期待の目で見られ、ヒラヒラした服を着ることを決心し、さらに脱げない状態のウィルヘルミーナ。
「今日はホント、たのしかったなぁ」
えへへと笑う、ファイリアを見て、ウィルヘルミーナも嬉しくなったのだった。
「……いいのかな? 助けてもらったのは、あたしの方なのに奢ってもらちゃって」
「気にしないでください。こういう場では、男が奢るものですから」
屋上のレストラン。
デーパート自体は閉店していても、屋上のレストランだけは遅くまで開店しているのだった。
窓からは、街の夜景が見える。
そんな良い雰囲気のレストランの一角で、湯島茜と戦部小次郎は、向かい合って食事をしていた。
茜が、どうしてもお礼がしたいというので、小次郎は警備の仕事が終わるまで待って欲しいと言った。
茜は嬉しそうに頷き、小次郎の警備の仕事が終わるのを待って、今はこうして二人で食事をしているところだった。
「あ、あの、休日ってなにしてるの?」
茜が小次郎に尋ねる。
「我は、本が好きですからね。家で読んでることが多いです」
「それなら、今度おススメの本を持ってくるよ。どんな分野のがいいの?」
「……主に軍事関係ですかね」
「わたし、帝王学なら少しかじってるけど」
「へえ、それは興味深いな」
こうして、茜と小次郎の話は盛り上がっていった。
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