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少年探偵と蒼空の密室 A編

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少年探偵と蒼空の密室 A編

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ANOTHER 犯罪王狩り

 V:PMRの比賀一だ。本日、三人目のノーマン・ゲインを退治したぜ。ほれ、証拠画像だ。こいつは剣で決闘を挑んできたんだが、強くなかったし、部下は途中で逃げちまうしで、あんまりだったな。意外に、こんなのが本物かもしれねぇけどさ。場所は、ロンドン塔内の時計塔。さすがに三度めだと感動が薄いよな。

「しっかし、シェイド、今日のあんたは激しいよな。俺たちと合流したかと思ったら、暴れまくりだ」
「ノーマン・ゲインを名乗る輩が複数いて、事件を複雑にしているのですから、個別に退治してゆくしかないでしょう」
「シェイドは、ノーマン・ゲインが話にからむと、ちょっとコワくなるんだよ。なんでかなー」
「それは、ミレイユの気のせいです。みなさん、次を探しに行きませんか」
 一とハーヴェイに合流した同じPMRのミレイユ・グリシャムとシェイド・クレインは、一たちと協力してノーマン・ゲイン狩りをしている。
「一。シェイドとミレイユもきたことだし、三人いればいいだろ。俺は疲れたんで、街へ戻るわ」
「おい。ヒゲ。街に戻っても、パニック状態で飲み屋はやってねぇよ。くだらねぇこと言ってないで、働け」
「なんだと、おまえがもっと手際よくやりゃ、俺はこんなの苦労しないんだよ」
 一とハーヴェイが、いつもの口喧嘩をしていると、室内へ飛び込んできたのは、
「先生! おまえら、先生をやったのか」
 マジェスティックから逃走してきたニコ・オールドワンドだ。使い魔たちから、ノーマンの危機を知らされ、ここへ駆けつけたのだが、時すでに遅し。
 倒れているノーマンをみて叫ぶにニコに、シェイドが近づく。
 パシン。
 乾いた音。
 シェイドがニコの頬を平手で叩いたのだ。
「彼のような人物を先生呼ばわりするのは、どうかと思います。きみもああなりたいのですか」
 冷ややかにささやくと、シェイドは部屋をでていく。
「シェイド。どこ行くの。みんな、ワタシもシェイドと先に行ってるよ。また、連絡とって合流しようね」
 ミレイユはシェイドの背中を追った。
「先生。遅くなってすいません。僕です。ニコ・オールドワンドです」
 それでもニコは、ノーマンしか頭にないらしく、彼のかたわらに膝まづいた。
 白面の犯罪王のまぶたが開く。
「ニコくん、か」
「はい。先生。どうして、こんな」
「ノーマン様から、きみは役に立つ駒だと聞いていたのに、私を救っては、くれなかったな」
「え」
「私の使い方が悪かったか。ニコくん。本物のノーマン様なんて、いないのかも知れない」
「ええええええ。僕は、先生と」
「ふふふ。さて、私は、何者だったのでしょう」
 銃声が響き、床の男は永い眠りについた。
「おまえ、撃ったな。おまえ、おまえ」
 ニコは、立ち上がり、一につかみかかる。一は、ニコのこめかみに銃口をあてた。
「ノーマン・ゲインになるってことは、パラミタの、地球中の、人間にいつこうされても文句が言えなくなる、ってことだぜ」
「な、なんだってぇ。おまえ、先生を殺したろ」
「だから、ホンモンなんていねぇーんじゃねえの。切り裂きジャックと同じでさ。やつがいて欲しいと願うやつらの思いがノーマンの正体なんだよ」
「でたらめを言うな。どわっ」
 今度は、ハーヴェイに足を払われ、ニコは床に転がる。
「ガキ。人間でいたけりゃ、これ以上、あいつに首をつっこむんじゃねぇ」
「ヒゲ。行くぜ」
「おお」
 一とハーヴェイも部屋を去った。
 ニコはあ然と床に座り込んでいる。
 相棒のナイン・ブラックにメールを打った。
『時計塔にいる。先生に裏切られた。ニコ』
そこへ。
「ニコくん。見つけたわよ〜」
「逃がしませんよ。いい加減に観念しなさい」
 リカイン・フェルマータ、赤羽美央がやってきて、意気消沈しているニコの顔面にパンチを叩き込んだ。
「あらー。ダーリン、死んでるわ」
「やっぱり、ニセ者だったのね」
 続いて、雷霆リナリエッタと茅野菫もやってきた。