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クリスマス硝戦

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クリスマス硝戦

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【終幕】

翌朝、クリスマス――。
 日本だとクリスマスイブは盛り上がるくせに、クリスマス当日は何も無い平日と同じように過ごすが、ここ蒼空学園でもそのようだ。クリスマスイルミネーションは残ってはいるが、生徒たちは祭りの後を見るような反応だ。
 【肯定派】や【反対派】に別れて、いざこざをする気配もない。尤も、あれは仕組まれたことだったのだが、昨日の争いを気にするものも居ないようだ。
 さて、そんな彼らだが。他校の生徒はどうだろうか。
 ここに【愛のリース】をもう一目見ようと葦原明倫館から訪れた二人がいる。牙竜と灯だ。
 二人は昨日ゲドーに必殺技をお見舞いした余韻に浸り、【肯定派】の勝利を確認しないまま帰ったのだが、折角なので【愛のリース】が飾ってあるところを、と思いここへときたのだった。
 しかし――、
「クリスマスツリーが見えねえぞ……」
「おっかしいですね。三下悪役が飛んでいったのはこっちのはずですけど」
 二人が蒼空学園の校庭を探せど、それらしい樹が全く見つからない。校庭では昨日の戦闘で穴の開いたところを埋める作業をしている工事の人がせっせと働いているというのに、昨日のことがまるで夢のようだ。
 牙竜は不思議に思い、校庭を工事する人に尋ねることにした。ちょうど昨日もここで工事に勤しんでいたのを覚えている彼女に。
「すみません。ここにあったクリスマスツリーはどこですか?」
「ああツリー? なくなったわよ」
 寝不足で目に隈をつけたモモが、興味なさそうに答えた。
 その答えに驚いて灯が聞き返す。
「なくなった!? どうしてですか?」
「クリスマスツリーが枯れたですネ。ミー驚いたネ」
 モモに代わりギルティが答えた。彼女が残念そうに言うので、それは本当のことなのだろう。
 実を言えばクリスマスツリーが枯れた原因は【愛のリース】にあった。【愛のリース】の材料であるヤドリギが世界樹に寄生して育った故の特異性で、寄生した植物から魔力を吸い上げて発光する性質があり、もみの木はその性質によって魔力を失い一日も経たずに枯れ果てたのだった。
「じゃあ、【愛のリース】はどこに?」
 牙竜の質問に答えるように、モモがその方向を指さした。
「あそこ」
 そこには、枯れたもみの木を隠すように立てられた巨大な三本の竹筒プラスチック製。所謂門松が飾られていた。その門松の竹の先端に【愛のリース】が引っ掛かっていた。
「工事中に引っ掛ちゃってるのよ……、あとでイコン使って回収しないとイケナイから面倒ね……。あんたたち、登って取ってきてくれる?」
 モモのお願いに頭を横に振る二人。変身ヒーローの二人も、謹賀新年と垂れ幕の下がった門松の上から登場するのは勘弁らしい。
「てか、【愛のリース】を見るなら、リリたちのイルミンスール魔法学校に行くればよいであろう……」
 世界樹に内包されているおかげで、イルミンスール魔法学校のに飾れている【愛のリース】は魔力を吸い尽くしてもみの木を枯らすことはない。
「そうじゃな……、それが確実」
 モモと同じバイトをしているリリとロゼが、遠巻きでそう呟いた。

担当マスターより

▼担当マスター

黒井 威匠

▼マスターコメント

 メリー明けましておめでとうございます。今年からよろしくお願い致します。
 さて、みなさんのクリスマスはいかがだったでしょうか、アクションの中だと殺伐としたものとなっておりますが、平和に過ごせましたでしょうか。私は蒼空どうでしょうを見ながら、迫るプロットの締め切りに頭を揺さぶられておりました。
 人数が枠の半数ほどでしたので、一人一人の演出を長くしてみました。個人差があるのはゴメンナサイ。そして、次はこう言う形式ではいけないと思いますのでご了承ください。
 若輩GMですが気に入っていただけた方はまた私のシナリオに応募していただけると幸いです。
 それではみなさん良いお年を。