天御柱学院

リアクション

事前会議（軍議2）



「それじゃあ続きを始めるぜ。リカインのパートナーの自己紹介から開始だ」
　全員が座ると涼司が再開を宣言した。
「アレックス・キャッツアイ（あれっくす・きゃっつあい）ッス。Ｓ＠ＭＰのアコーディオンとして頑張るっす。パラミタ種族二人乗りのイコンなんであまり戦力にはならないッス。飛行不可能なんでコームラントを借りたいと思うッス」
「サンドラ・キャッツアイ（さんどら・きゃっつあい）だよ！　兄貴と一緒に戦うよ」
「じゃ、次」
「朝野　未沙（あさの・みさ）だよ！　補給と整備を行うつもり。アサノファクトリーにお任せあれ！」
「レオが寺院に行って置いてきぼりを食らっている久遠乃　リーナ（くおんの・りーな）です。特にすることを決めてなかったのでヒールで治療担当でもやります」
「我はイスカ・アレクサンドロス（いすか・あれくさんどろす）じゃ。征服王イスカンダルである。空母で情報管制を担当する。また、空母が前線に到達したらレオにアイオロスの後継機たるアイオリアを持っていく予定じゃ。なお、レオから地上の対空部隊の配備図をリークしてもらっておる。作戦立案の参考にしてもらいたい。以上じゃ」
「レオの復学については俺とコリマ校長で全力をつくす。だが、停学処分くらいは覚悟してくれ」
「了解じゃ」
　涼司の言葉にイスカが答える。
　征服王イスカンダル・アレキサンダーは暴君にして英雄という相反した性質を持つ。BC4世紀のギリシアで独立していた都市国家を纏め上げ、夷狄（バルバロイたるペルシアに対する戦争を起こしたことで知られている。最前線に立つ最高指揮官兼最高権力者であり、現在のイスカとはいささか趣が異なる。
　そして、アルコリアの番だった。
「アルコリアよ。生身で対イコン精鋭部隊に参加することになったわ」
「マイロードの忠実な僕ナコト・オールドワン（なこと・おーるどわん）ですわ。わたくしたちは空中戦をしましてよ。照覧あれ、マイロードに選ばれし魔道書の力」
　ナコトはクトゥルフ神話最古の魔道書たるナコト写本の化身である。その出自に相応しく圧倒的な魔力を誇り多彩な魔術を駆使する。
「ボクはシーマ・スプレイグ（しーま・すぷれいぐ）。アルがミレリアを攫う予定なのでボクはそのパートナーのリリアを保護するよ」
「ラズンはラズン・カプリッチオ（らずん・かぷりっちお）だよ。そうなの、そうなんだ。アルコリアは、ブレス一つで数十人を焼き殺す龍よりも恐ろしいモノを拳でぶん殴ると。彼の者は、多くの人々の命を奪い、村を、町を、果ては国すら滅ぼし、核のミサイルを打ち込もうなら、より強大になる、歴史の中より現代に行き続ける最強の魔物『貧困』。に殴りかかるというのね、きゃはは。さぁ、水面に投げ込む石にイミはあるの？」
　ラズンのおしゃべりにナコトは
「黙りなさいラズン。殺すわよ？」
　と言う。すると自虐癖を持ちマゾヒストであるラズンは
「殺してぇ……ねえ、ラズンを殺してよ？　きゃふふふふ」
　と喜んだ。
「私は葉月　可憐（はづき・かれん）です。基地に潜入して破壊工作を行ないます。一応【Kバスター】に登録しておきます。作戦の詳細は秘密ということで。あとで基地侵入する人たちだけで話しあって意思の疎通を図ります」
「パートナーのアリス・テスタイン（ありす・てすたいん）ですぅ。可憐と一緒に行動しまーす」
　二人の戦法が敵に漏れるのは避けたいので詳細はあくまでも秘密である。
「ローザマリア・クライツァール（ろーざまりあ・くらいつぁーる）よ。私も【Kバスター】所属。基地に対し破壊工作を行うわ」
「妾がパートナーたるグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー（ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー）である。イングランド女王エリザベス一世の英霊だ。ローザの露払いを引き受けた」
　ライザは1588年のスペイン無敵艦隊に対する勝利をもたらした名君であり、英国史上における最も偉大な勝利者である。結婚をしなかった処女王という別名もあり、その処女性が当時の彼女への崇拝を高めることになった。
「葦原　めい（あしわら・めい）よ！　ウサちゃんで地上戦をするわよ。【アサルト小隊】に所属するよ！」
「サブパイロットの八薙　かりん（やなぎ・かりん）です。ウサ耳ブレードを使うようになってから感じている事ですが、キラーラビットは本来、後方支援型の機体です。それに無理に格闘戦用の武装を持たせたのが今の状態です。ウサギの素早いイメージには、まだ遠いのが現状ですね。入手困難なポータラカ製の加速装置ではなく、キラーラビット用の機動力を高める脚部パーツが必要ですね。幸運のお守り……ラビッツフットとでも言いましょうか……高機動型のキラーラビットを求める人は他にもいるようですし、この地上戦で運用データをまとめて、開発陣に要望を送りたいところです」
「エヴァルト・マルトリッツ（えう゛ぁると・まるとりっつ）だ。生身で地上戦を行いたいと考えているぜ。【アサルト小隊】への所属を要望する」
「了解。【アサルト小隊】は貴方を歓迎します」
　シフがエヴァルトを歓迎する。
「ジガン・シールダーズ（じがん・しーるだーず）だぜ。【ブレイズ小隊】への参加を要請しておく。飛行できないんで地上戦だがな。一応敵の精鋭を叩く予定だ」
「エメト・アキシオン（えめと・あきしおん）だよぅ～。マスターのサポートをします～」
　ジガンを愛するあまり殺そうとする超ヤンデレのエメトはジガンと同じく狂人で主に性的な意味で18歳未満には触れられない存在である。
「紫月　唯斗（しづき・ゆいと）です。【アサルト小隊】に所属しますが地上にも精鋭がいたらとりあえず相手をします」
「わらわはエクス・シュペルティア（えくす・しゅぺるてぃあ）である。唯斗をサポートする」
「私は紫月　睡蓮（しづき・すいれん）です。唯斗兄さんのサポートとして随伴飛行歩兵をします。まだまだイコンの相手はできない未熟者ですが、敵の歩兵に対しては通用するつもりです」
　【アリスからの緊急連絡】において解放されたアリス、睡蓮は唯人たちを兄姉と慕っており、非常に献身的である。たしかに相対的には低いランクに位置するがそれでも中級レベルである。
「プラチナム・アイゼンシルト（ぷらちなむ・あいぜんしると）です。魔鎧としてマスターをお守りいたします」
　プラチナムはアイゼンシルトシリーズと呼ばれる魔鎧の一人である。制作した悪魔曰く「スペシャルにし過ぎて言う事聞かなくなっちゃった」為封印されていたが、封印を解けたら連れて行って良いと言われた唯斗がやらかした。見た目はクールなお姉さんだが中身はそうでもない。
「火村　加夜（ひむら・かや）です。涼司くんと一緒に【リベレイト小隊】で戦います」
　バレンタインデーを機に涼司と正式に恋人関係になった加夜は、カノン救出をメインに動くつもりであった。
「操縦担当のノア・サフィルス（のあ・さふぃるす）だよ～。涼司お兄ちゃん、聡、真司、大吾、オルフェリア、美羽、宜しくね！」
「おう、よろしくな。じゃあ、つぎは……そこの水着のねーちゃんたち……」
　涼司がメタリックブルーのトライアングルビキニの上にコートを羽織った女とメタリックシルバーのレオタードを着た女に話を振る。
「今回も歩兵として地上戦を担当するセレンフィリティ・シャーレット（せれんふぃりてぃ・しゃーれっと）よ。【アサルト小隊】に配属させてもらおうかしらね」
「セレアナ・ミアキス（せれあな・みあきす）です。こんな外見ですが任務はきちっと果たしますよ……」
　好奇の視線が注がれているのを見て恥ずかしくなっているセレアナであった。一方のセレンはというと堂々とその美しい肢体を晒していた。
「無限　大吾（むげん・だいご）だ。【リベレイト小隊】でアザゼルをぶん殴る」
　黒のショートヘアに黒い瞳優しそうな少年は怒りに燃えていた。
「西表　アリカ（いりおもて・ありか）だよ。アイペリアーのサブパイロットをするよ。やっぱりとりあえずアザゼルだね」
　猫耳と尻尾を生やした獣人、アリカが子どもっぽい口調でそう言う。
「やっぱり、大吾がアザゼルに怒るのはわかるなー」
　とも。
「赤城　花音（あかぎ・かのん）だよ。Ｓ＠ＭＰにコーラスとして参加するよ」
「“音”は“大気の振動に過ぎません”！　故に……音楽で人の洗脳などは“錯覚”ですよ。Ｓ＠ＭＰを通じて、少し気になりましたので……一言、申し上げておきます。さて、落ち着いて対応して行きましょう。申し遅れました。アリカのパートナーリュート・アコーディア（りゅーと・あこーでぃあ）です」
「うーん。大気だけではなく気持ち揺らすから洗脳ができるんだと思うけど……そこのところで争っていても仕方が無いし、山葉校長、次お願いします」
　アポロンがそう言うと涼司は
「それじゃあ、次は……」
「私ですね。師王　アスカ（しおう・あすか）です。今回も芸名ASUKAで詞を提供させてもらいます。ROCKな調子にしてみたので、宜しくお願いします」
「私は穂波　妙子（ほなみ・たえこ）やで。Ｓ＠ＭＰでギターを担当するわ。詳しくはＳ＠ＭＰの会議でな」
　扇情的なパイロットスーツを着た妙子が胸の谷間に挟んでいるメモ帳を取り出しながらそう言う。
朱点童子　鬼姫（しゅてんどうじ・おにひめ）じゃ。わらわも妙子と一緒に行動する。こう見えても伝説の鬼朱点童子の一人娘じゃ。尊敬するが良い」
　朱点童子（しゅてんどうじ）は、京都と丹波国の国境の大枝（老の坂）に住んでいたとされる鬼の頭領である。他の呼び名として、酒呑童子、酒顛童子、酒天童子、と書くこともある。彼が本拠とした大江山では龍宮のような御殿に棲み、数多くの鬼達を部下にしていたという。日本三大妖怪の一つにも数えられるほどの大妖怪である。
「富永　佐那（とみなが・さな）です。正式メンバーへの昇格を目指してＳ＠ＭＰのキーボードとして頑張ります。私も同じく詳しいことはＳ＠ＭＰの会議で……」
「次は……あー」
　涼司が気まずそうにする。次に発言するのは冒頭で舌戦を繰り広げた杏だったからだ。
「杏よ。【ブレイズ】小隊でミレリアをぶっ倒す！　それだけよ！！」
「橘　早苗（たちばな・さなえ）です。イコンのメインパイロットを努めます。攻撃以外のその他、ですね」
　早苗はいつも控えめだった。リリアと対峙した時を除いて……
「天司　御空（あまつかさ・みそら）だよ。指揮官が前に出る。と言う戦術も確かに有る。けれど今回に限っては、指揮官は後ろに控えていると推測する。よって生身で基地に潜入して指揮官を処刑してくるよ。推測だけど敵にとって防衛戦である以上、勝利条件には拠点の確保が含まれる。となると、情報管制は拠点で行った方が効率的だ。更に今回は対空ミサイルまで配備している。逆説、総指揮を行う人間＝主犯格は戦場を俯瞰して見る為自然後方に位置せざるを得ない。つまり今回の件の黒幕は、今も安全圏でのうのうとしてる……って訳だよね。そんな事、勿論許すつもりはないけど」
「おい、天司ほどのパイロットがイコンで出ないのか？」
　涼司が疑問に思って尋ねる。御空は最高位のランクのトップエースである。おそらくカミロとも渡り合えるだろう。それほどの技量を持つパイロットが生身で基地侵入を選択するとは何があったのだろうか？
「実はパートナーの白滝　奏音（しらたき・かのん）が石化していてイコンを満足に動かせない。一応もう一人パートナーが居ることには居るけど……」
「５メートル以内に近づいたら殺すからな。ああ、クラウディア・ウスキアス（くらうでぃあ・うすきあす）だ」
「とまあ、こんな具合さ……」
　御空はため息を付いていう。
「なるほど……」
　これには涼司も納得せざるを得なかった。
「十七夜　リオ（かなき・りお）だよ。整備や修理を担当するよ。いいかい？　イコン無傷で帰って来いなんて無茶は言わない。例えどんなに壊れてても、戻って来たならきっちりかっちり修理する。だから、何が何でも皆無事に戻って来い。もちろん、設楽くん達も込みでね。いいね」
　これには一同から『応！』と言う声が上がった。
「ワタシはフェルクレールト・フリューゲル（ふぇるくれーると・ふりゅーげる）だよ～！　ワタシも強化人間だし、強化人間のみんなには無事に戻ってきて欲しいかな。リオの整備を手伝うよ」
「私は杵島　一哉（きしま・かずや）です。一応イーグリットだけど地上から狙撃手を担当しようと想います」
「アリヤ・ユースト（ありや・ゆーすと）です。対雑魚戦を主に行うということで【アサルト小隊】へ参加を申請します」
「オルフェはオルフェリア・クインレイナー（おるふぇりあ・くいんれいなー）ですの。【リベレイト小隊】で強化人間の皆さんを救出したいと思っていますわ」
「我はミリオン・アインカノック（みりおん・あいんかのっく）だ。我が神をお守りするまでのことです」
「あたしは【イコンスーツ】　ホワイトベール（いこんすーつ・ほわいとべーる）。魔鎧としてオルフェのサポートをするわ」
　涼司はミネラルウォーターを口に含んでんみほしてから言った。
「よし、あと２０人くらいだな。一気に行くぞ」
「御剣　紫音（みつるぎ・しおん）だ。【ブレイズ小隊】で教官機を相手にする」
　そう言うと、山葉　聡（やまは・さとし）が
「でもさっきの御空の話だと教官は基地にいるってことだろ？」
　と言った。それに対しサクラ・アーヴィング（さくら・あーう゛ぃんぐ）が
「聡さん、全員が基地にいるわけではないですよ。５人いるのですから何人かは前線にでて直接指示を出すと想いますよ」
　と答えた。
「せやな。基地に2人前線に3人くらいやろかね。あ、綾小路　風花（あやのこうじ・ふうか）どすぅ。よろしゅうなぁ」
「ちなみに教官機はコームラント。強化人間はビームマチェットを装備したイーグリットですね」
　花音・アームルート（かのん・あーむるーと）がそう補足する。
「了解」
　涼司はそう言って次の発言者を促す。
「宙野　たまき（そらの・たまき）だ。整備と補給を行う。補給で一番大切なのは『ルートの安全確保』だ。物資があっても届けられなかったり略奪されてしまっては無意味になる。特に弾薬類については細心の注意が必要になるだろう」
「そうだな。コリマ校長に頼んで2個小隊ほど補給部隊の護衛に付けるようにしてもらう」
　涼司はたまきの意見に素直に頷き、そう答えた。
「俺は氷室　カイ（ひむろ・かい）だ。空中戦で空母の護衛をする。イコンの操作では攻撃を担当する」
「パートナーの雨宮　渚（あまみや・なぎさ）です。攻撃以外の動作を担当します」
「オレは四谷　大助（しや・だいすけ）だよ。【ブレイズ小隊】に生身で出る。オレのレベルならイコンも相手にできるはずだ。空は飛べないからジガンと一緒に地上戦だな」
　ぼさぼさの黒髪に金色の瞳。頼りなさそうな少年大助がそう言うと、パートナーで魔鎧の四谷　七乃（しや・ななの）が
「あ、マスター、七乃が空飛ぶ魔法使えます」
　と言った。
「グリムゲーテ・ブラックワンス（ぐりむげーて・ぶらっくわんす）よ。ひとり乗りでＳ＠ＭＰに参加するけど戦闘にはあまり関わらないからいいでしょ？」
　というと、真一郎が
「うーん。これだけの数のＳ＠ＭＰを遊兵にしておくのはもったいないんだがな。まあ、出来る範囲で戦闘に参加してくれ」
「了解」
「ごにゃ～ぽ☆　鳴神　裁（なるかみ・さい）だよ。【アサルト小隊】で雑魚を叩くよ」
「アリス・セカンドカラー（ありす・せかんどからー）だよ。裁のパートナーとしてイコンに乗り込むよ」
「ごにゃ～ぽ☆ドール・ゴールド（どーる・ごーるど）かな？　パイロットスーツとしてイコンに搭乗するようだねー」
「水鏡　和葉（みかがみ・かずは）です。僕は【リベレイト小隊】でアザゼルと決着を付けるよ」
「ルアーク・ライアー（るあーく・らいあー）だ。やられっ放しは性に合わないしね。それにしてもまぁ……設楽を女王としてあがめる、ね。そんなにいい女とは思えないが……まぁ人の趣味はそれぞれだしね。アレが好きってことは、強化人間連中はきっとＭじゃない？　……レオ含め」
「祠堂　朱音（しどう・あかね）だよ。レオ師匠と情報をやり取りして情報管制に務めるよ。彩羽さんの情報網に参加、かしらね」
「シャルル・メモワール（しゃるる・めもわーる）だよ。朱音のサブパイロットとして情報収集に務めるよ」
「よし、ラストだな。頼む」
　涼司に促されて発言が始まった。
「村主　蛇々（すぐり・じゃじゃ）だよ。【アサルト小隊】で【ライネックス】のサブパイロットをやるよ！」
「パートナーのアール・エンディミオン（あーる・えんでぃみおん）だ。設楽　カノン（したら・かのん）に因縁がないから俺らは俺らの仕事をただこなすだけだ」
「おーけー。これで全員だな。それじゃあ、まとめたもののリストを表示するぞ」