天御柱学院

リアクション

「刃守！　凱！　我ー！」
　本気で決めポーズを決め、バスガイガー達の前に立ちはだかるのは伏見　明子（ふしみ・めいこ）に憑依した水蛭子　無縁（ひるこ・むえん）を筆頭にモヒカン達の軍団だった。
「ライバルがおらねばヒーローも成り立たぬだろう。後、モヒカン達の扱いにも思うところがあるのでな」
「そうだー！　そうだー！」
「もっといたわれー！」
　無縁の言葉にモヒカン達が囃し立てる。
「そういわれても襲ってくるなら倒さなきゃだし……」
「そうですそうです」
　バスガイガー、須藤　雷華（すとう・らいか）の言葉に同意するメトゥス・テルティウス（めとぅす・てるてぃうす）。
「そもそも狙ってこなきゃいいだけの話だもん！」
「確かにそうですね」
　同じように鳴神　裁（なるかみ・さい）に憑依したバスガイガー、物部　九十九（もののべ・つくも）の言葉に同意するドール・ゴールド（どーる・ごーるど）。
「よし、これで平気だろう」
「ありがとうございます」
　雷華達のやりとりをよそに、バスに仕掛けを施す北久慈　啓（きたくじ・けい）にお礼を言うゲイルバン、夏野　夢見（なつの・ゆめみ）。
「まぁ良い。貴様らが正義を謳うのならば、その強さを持ってわしを止めてみせい！」
「何はともあれ、お客さん達がいるから戦わないとね！」
「ボク達も行くよ！　ドール！」
「はい！」
　九十九の合図で二人が閃光に包まれ、魔鎧のドールが九十九へと装備される。
「バスガイガー、物部　九十九。参上だよ！」
「ヒャッハー！　汚物は粉砕だー！　行くぜ野郎共！」
　モヒカン達が突撃してくる。
「雷華、演奏の準備は良いか？」
　啓がバスへの仕掛けを終え、雷華の元へと戻ってくる。
「えっと、もう少し時間が欲しいかも。そしたらチューニングも終わるから」
「なら、私が時間を稼ぎます！」
「ボクも行くよー！　それそれ！」
　九十九がスキル「メンタルアサルト」による不可解な動きで相手をかく乱する。
「まじかる☆ふぁいあ♪」
　そして、テルティウスがまじかる☆ますけっとを使い相手を焼き払う。
「わしも行こうかの！　ファイヤストーム！」
　無縁はファイヤストームによる炎のカーテンを展開し、そのまま突撃する。
「朱の飛沫！」
　九十九へと接近しすばやく攻撃を繰り出す。炎が九十九を襲う。
「うわっ！」
　九十九は炎が掠りはするもののギリギリで回避してみせた。
「良く避けたの！　まだ終わっておらぬぞ！」
　無縁はそのまま剣で次々と斬撃を繰り出す。
「よっ！　はっ！　それ！　まだまだ！」
　九十九は身体を反らし、武器で受け止めたりとそれらを全て防いでみせる。
「そこです！」
「むっ」
　そこにテルティウスが止めに入り、無縁は一度距離をとる。
「姉貴！　あいつらめっちゃ強いですぜ！」
　モヒカン達は九十九達の強さに怖気づき戦意が喪失しかけていた。
「わしがついておる！　ガンガン攻めるのじゃ！」
「姉貴……！　おい、お前ら！　俺達には姉貴がいるんだ！　いくぜ！」
　しかし、無縁の激励で再びモヒカン達が攻め始める。
「くぅ……！」
「ライちゃん、まだ！？」
　戦意が高まったモヒカン達の猛攻にいっぱいいっぱいの九十九達。
「ごめんね。お待たせ！」
　そこに雷華がエレキギターを構えて登場。
「夢見、準備は良いか？」
「準備はオッケーいつでもどうぞ！」
　夢見の手元には竪琴。啓がテクノコンピュータを操作するとバスから大型のスピーカーが現れる。
「雷華！　やれ！」
「バスガイガー、須藤　雷華。いきます！」
　啓の合図で雷華がエレキギターによる演奏が始まる。それに合わせるように夢見が竪琴を奏でる。
「な、なんだこの演奏……力が」
　スピーカーにより増幅された夢見の竪琴がモヒカン達の力を奪う。
「ぎゃあぁぁぁ！！」
　そして雷華のエレキギターの演奏を大型スピーカーで力をさらに増幅。無数に発生した雷電の魔法が降り注ぐ。瞬く間にモヒカン達を殲滅する。

「ほう、やるではないか！」
　無縁は無数に降り注ぐ魔法をかわしながら、九十九とテルティウス二人を相手に互角に戦っていた。夢見の演奏の効果は受けていないのかその動きは鈍っていない。
「くぅ！　強い！」
　互いに接近戦を繰り広げ少しずつ傷が増えていく。
「ここまで苦戦するとはな。おぬしらやるな！」
　攻撃をかわし、反撃する無縁。それをなんとか回避する九十九。その間にテルティウスに攻撃を繰り出し間合いを開ける。
「ボクだってここまで苦戦するとは思わなかったよ！　でも、負けないんだから！」
「私も負けません！」
　そして九十九が攻撃に転進。連撃を繰り出すも、全てギリギリのところで回避される。
「ふんっ！」
「きゃっ！」
　接近してきたテルティウスに無縁は腕を振るい吹き飛ばす。
「テルティウス！？　許さないんだから！」
　雷華が大型の雷電の魔法を放つ。
「っ！」
　それを防御してダメージを軽減する無縁。
「そこっ！」
「甘いのぅ！」
　九十九が迎撃するがすぐさま無縁のカウンターで無効化される。

「効果の反転……これでいけるな。夢見頼む」
「大丈夫？」
「問題ないはずだ。やってくれ」
　啓の言葉に夢見は頷き、再び竪琴を奏で始める。

「なんだろう力が沸いてくるよ」
　先ほど相手に効果のあった夢見の演奏は今度は九十九達に力を与えていた。
　啓がスピーカーを操作し、効果の反転――力を奪うではなく与えるようにするよう操作したのだった。
「これならいけるよ！　それっ！」
　先ほどより鋭い雷電が無縁を襲う。
「早い！」
「もう一回！」
　何とか回避していく無縁。
「いまだ！」
　だが、手一杯だった無縁は一気に接近してきた九十九の連撃までは回避出来ず全て直撃。
「くふっ……。ふっ、どうやらわしの負けじゃな。お見事……じゃ」
　そしてその場に倒れる無縁。
「勝利ー！」
「やったね♪」
　強敵を倒して勝利のポーズを決める二人だった。