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リアクション
四日目
朝、生身戦闘の会場には、すでに複数のメンバーが集まっていた。
「よし、準備は良いか?」
準備体操をしているせつなに声をかける桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)。
「はい。こちらは大丈夫ですよ」
「そっちはどうだ?」
煉対戦相手である、サーシャとミーシャにも声をかける。
「はい、僕達も大丈夫です」
「……(こくり)」
「両方とも準備はいいね」
両者の間に立つのは榊 朝斗(さかき・あさと)。
「もちろんだ、いつでも始めてくれ」
「いつでも行けますよ」
「それでは……始め!」
朝斗の合図と共に戦闘が開始される。
「……よし、これでバッチリだな!」
戦闘用イコプラにデジタルビデオカメラとノートパソコンを取り付けるエヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)。
「……何をしている?」
せつなが模擬戦に出ているので、エヴァ達と共に観戦側にいるナナシ。
「これで撮影した映像を朝斗のノートパソコンに送られるように改造をだな……。よし、こんなところか。後は、これを模擬戦場に置いてテクノパシーで操作。これで見えづらい映像もバッチリ撮れるってわけだ!」
「ほう」
「準備は出来た?」
そこに朝斗が戻ってくる。
「少し遅くなったが、バッチリだ」
「それじゃあ、後はそれをあっちに……」
「戦闘は始まっていますけど……。大丈夫ですか?」
ルシェン・グライシス(るしぇん・ぐらいしす)がせつな達のほうを見る。
「まぁ、そこまで接近しなければ大丈夫でしょう」
「戦闘が撮れる距離であれば大丈夫だからな。そんなに近くに置く必要はないぜ」
「私が、近くまで置いてきますね」
アイビス・エメラルド(あいびす・えめらるど)がイコプラを置きに行く。
「助かるぜ」
「さぁ、後はこのパソコンでと……」
朝斗がシャンバラ電機のノートパソコンを取り出した。
「よし、まずはタイマン重視で様子見だ。せつなは弟を頼む。俺は姉のほうを相手する」
「はい、了解です」
「なるほど、そういうことでしたら話に乗りましょう。姉さん気をつけて」
「……うん」
煉とサーシャが対峙する。
「……お手柔らかに、お願い、します」
ゆっくりと頭を下げるサーシャ。
「こちらこそ。早速行くぞ」
煉は光条兵器と抜き、流星のアンクレットで加速、素早い剣撃による近接戦闘をしかける。
「……」
だが、全てにおいて、難なく回避される。
「……せい」
攻撃を回避し、素早く繰り出される掌底。煉はそれを不壊不動の動きで防御。そのままの動きで光条兵器を振るう。
「……それ」
その剣撃を見切ってからの回し蹴り。不壊不動の動きで回避。お互いに全く譲らない攻防劇が繰り広げられる。
「お手柔らかにお願いしますね。せつなさん」
「うん、こちらこそね。行くよ!」
せつなが小さな氷の刃を無数に形成。
「それっ!」
それをミーシャ向けて放つ。
「中々ですね。ですが……」
それらを悠々と回避するミーシャ。
「このぐらいでしたら余裕です」
「では、こちらからも……」
一気に間合いを詰めるミーシャ。
「っとと!」
危険を察知して、せつなが自分の周囲に地面から氷の槍を発生させる。
「よっ」
ミーシャは瞬時に転進し、氷の槍を回避する。
「いまだ!」
せつなが氷の塊をミーシャの進行方向に作り出す。
「やりますね」
ミーシャは姿勢を低くすると同時に手を地につけ、その場で、ピタリと停止。再度転進、今度はせつなに向けて飛ぶように走り出し氷の塊を回避。
「うわっ、こっち来たっ!」
咄嗟に氷の盾を展開。
「ふっ!」
ミーシャの掌底が氷の盾に命中。盾は音を立てて崩れ落ちた。
「良い一撃かと思ったんですけどね……」
「ふぅ、びっくりした……」
お互いに一度距離をとり、様子を見ることに。
しばらくして、煉とせつなはサーシャ達から一度距離をとった。
「なかなか、当たらないものですね……」
「あぁ。これは入ると思ったものですら軽々と回避されるんだからな……」
「ふぅ……、姉さんは大丈夫ですか?」
「……うん、平気」
煉がサーシャ達を見る。二人とも未だぴんぴんしている。
「朝斗、どうだ?」
煉は観戦していた朝斗にアドバイスを求める。
「データを見たけど、アクセルギアを使わず、体感速度を変化できる……とんでもないなぁ」
「普通なら避けられない一撃すらも避けてきますからね……」
「でも、体感速度を変える戦術は一見有利に思えるけど、弱点も存在するんだよ」
「そうなんですか?」
せつなの言葉に頷く朝斗。
「せつなさん、ヒプノシスは習得してるかな?」
「え? えぇ、一応出来るけど」
「なら、速度を変える時、気づかれないように使ってみると良いよ。思考や体感速度を上げている状態だと認識も早くなるからね」
「なるほど、やってみます!」
「煉さん、もし可能ならば出来る限り姉弟の注意を引き付けてみてください。相手に悟られてしまっては警戒されてしまう可能性があります」
「なるほどな。それなら俺を狙いたくなるように仕向ければいいな。信頼しているぜ。せつな」
「任せてください!」
朝斗、アイビスのアドバイスを受けて、再度サーシャ達と対峙する二人。
「もう、よろしいですか?」
「律儀に待っていてくれたんだな」
「模擬戦ならでは、ですよね。別に悪い事ではありませんし。奇襲理由もありませんから」
ニコニコしながら答えるミーシャ。
「それじゃ、仕切りなおしだ」
煉が自在で多数の刀剣を作り出す。
「……姉さん」
「……うん」
警戒する二人。
「せつな、頼むぜ」
「はい」
小声でせつなに呟くと煉が前に出る。
「行くぞっ!」
行動予測で二人の移動先を見極め、そこに向けて刀剣を発射する。
「っとと」
「……!」
その精確な攻撃にペースが乱れる二人。
「姉さん行くよ」
「……うん」
二人が、攻撃対象を煉に絞る。
「来たな」
煉は二人の攻撃を歴戦の飛行術でかわしていく。
「そこ――っと!?」
「……これは……!」
加速していた二人の身体が一瞬揺らぐ。それはせつなのヒプノシスによる一瞬の思考速度低下。
「そこだ!」
「うっ……」
その一瞬を煉が捉える。光条兵器でサーシャを場外に吹き飛ばす。
「せつなさんですか……! いままでの煉さんの動きはこのフラグのため……!? ですが!」
すぐに態勢を立て直し、せつなの懐へ入り込む。
「あっ……!」
そのまませつなの腕を掴み、背負い投げ。
「わわっ!」
せつなを封じる。
「これで……」
「終わりだな」
だが、ミーシャの首元にはすでに煉の光条兵器がつきつけられていた。
「……みたいですね。お見事。僕達の完敗です」
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