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リアクション
昼食をはさんで午後、生身戦闘の会場には沢山の生徒が観客として集まっていた。
「おー。集まっているな」
デジタルビデオカメラ片手に会場にやってきた国頭 武尊(くにがみ・たける)。
「あ、こんにちは、武尊」
せつな、ナナシと共にやってきたコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)。
「こんにちは」
「やぁ、君達か。なかなか集まっているな」
「だね。僕も少し驚いているよ」
「まぁ、各校の生徒も交えたドリームマッチだもんな」
「うん、パトリシアにサーシャ姉弟、それから各校の生徒も一人ずつ入っているし」
「こんな勝負滅多にないですからね。気になる人が多いんでしょう」
「さてさて、せっかくだし、俺もしっかり観戦させてもらおうとするかな」
一方、舞台。そこには小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)、笹奈 紅鵡(ささな・こうむ)、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)、セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)、パトリシア、サーシャ、ミーシャ、アカデミーとワシントンの生徒一人ずつが集まっていた。
「人数差が結構ありますが、大丈夫ですか?」
ミーシャが周りを見回す。チーム編成は美羽、紅鵡、セレンフィリティ対セレアナ、パトリシア、ミーシャ、サーシャ、アカデミーの生徒とワシントンの生徒の三対六。
「まぁ、今回は別に勝敗が重要というわけではないからね!」
「あたし達相手にあなた達がどこまで戦えるのか、大切なのはそこなのよ」
「なるほどね」
「ルールは、気絶する、場外に出るか、降参するか、だよ」
「もちろん、人数差があるからって手加減していると怪我しちゃうからね!」
「そういうことなら本気でいかせていただきますね」
「……(こくり)」
「さて、それじゃ作戦会議をしたら始めましょう」
セレアナの言葉にお互いが配置につく。
「さて、あたし達は三人。どう戦おうかしら?」
「私が前に出るよ」
「というか、必然的にそうなっちゃうよね」
「確かにそうね。美羽が前で翻弄して、あたしと紅鵡が後ろから狙い撃つ感じね」
「うん、それで行こう!」
「了解!」
「さて、あちらは三人だけれど、かなりの実力者達よ。油断していると一瞬で全滅させられてしまうわ」
「一気に攻めますか?」
「紅鵡やセレンに足止めされて、その間に美羽にやられてアウトね。あなたたち姉弟は回避出来るかもしれないけれど他のメンバーがやられるわ」
「後ろの二人を止めれば勝機はあるかしら?」
「……そうね。その間に数人で美羽を止められれば行けるかもしれないわ」
「なら、私の出番ね」
「その守りは私がしよう」
「あなたは、アカデミーの生徒ね」
「ヴェインという。パトリシア殿の守りはナイトである私が引き受けた」
「なら、僕たちは美羽さんの妨害ですね」
「よっし、俺も手伝いますよ! あ、俺はWCSのクリス! フェイタルリーパーやってます! よろしく!」
「クリスさんだね。よろしく」
「大体は決まったわね。私は臨機応変に前後衛動くわ」
「セレンそちらは良い?」
「えぇ、いつでも良いわ!」
「それじゃあ、スタート!」
セレアナの合図と共にお互いのチームが動き始める。
「うおぉぉぉ!!」
美羽が黄金の闘気を纏い、パワーアップ!
「美羽さん、僕たちがお相手いたします」
「……お手柔らかに」
「三対一で悪いですが、お相手してもらいますよ!」
「別に大丈夫だよ! いっくよー!」
美羽が高速で移動を始める。
「おおぅ、速い!?」
「姉さん」
「……うん」
その高速についていっているのはサーシャとミーシャ。クリスはすでにおいてけぼりを喰らっている。
「超えられない壁を目の前にしてる気がします! でも、できる限りはやらせてもらいますよ!」
クリスは大剣を構え、目の前を高速で動く三人を見据える。
「それ!」
「……えい」
「よっ! はっ! とうっ!」
サーシャとミーシャの体術を避ける美羽。
「…………」
「っと」
「チャンス!」
「そこです!」
一度動きの止まった二人。そこをついて美羽が攻撃を繰り出そうとした瞬間をクリスが捉え、大剣を振るう。
「とと!?」
攻撃を中断して咄嗟にバックする美羽。
「ありがとう、クリスさん。よく見ていましたね」
「人観察は俺の趣味ですからね! 二人とも、少し動きが遅くなる時間帯が存在していましたから」
「さすがにずっと体感速度を変えてはいられませんからね」
「……クールタイム」
「ということで、一時的に体感速度を戻す時間帯が存在するわけです」
「だからですか」
「うわぁ、危なかったぁ……。でも、よく見ていたね。えっと……」
「クリスです。よろしくお願いします!」
「クリスだね。ほんのちょっとの時間だったのにビックリしたよ」
「さすがに俺は高速で動けませんからね。ささっ、続きと参りましょう!」
「そうですね」
「うん! じゃあ、いっくよー!」
「さぁて、あっちのお二人さん目掛けがんがん撃たせてもらうわよ!!」
パトリシアが、魔導書を展開、雷術やバニッシュを連射する。
「あたし達を狙ってきたわね……」
「こちらも狙い撃つよ!」
「魔法は任せなさい!」
セレンフィリティが擲弾銃バルバロスを構え、魔法向けて射撃。擲弾が魔法にあたり爆発。魔法を相殺させる。
「ターゲットロックオン……目標を狙い撃つ!」
その間に紅鵡が対物機晶ライフル(紅鵡専用)を構え、スナイプを使い、パトリシア向けて精密射撃を行う。
「だが、私だ」
ヴェインがパトリシアの前で大盾を構え、紅鵡の銃弾を防ぐ。
「あれ、ナイトかぁ……」
「厄介ね……」
「ありがと、ヴェイン! さぁどんどんいくわよ!」
「さて、私も行くわよ!」
パトリシアと共にセレアナが氷術やファイアストームを撃ち出す。
「美羽に頼るしかないわね……。隙を狙って援護しましょ」
「ボクがやります。魔法の方をお願いしてもいいかな?」
「えぇ、任せるわ」