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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

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『C』 ~Crisis of the Contractors~(前編)

リアクション

「さぁ、張り切っていくッスよ!」
「ふふ、兄さん張り切っていますね。私も少し楽しみです」
 トニトルス・テンペスタスに乗り楽しそうに、各部チェックをしている狭霧 和眞(さぎり・かずま)ルーチェ・オブライエン(るーちぇ・おぶらいえん)の二人。
 今回のイコンの模擬戦は三対三。和眞達の乗るトニトルス、葛葉 杏(くずのは・あん)橘 早苗(たちばな・さなえ)の乗る、レイヴンTYPE―C桜葉 忍(さくらば・しのぶ)織田 信長(おだ・のぶなが)の乗る第六天魔王の三機とトーマスのフリーダムを筆頭に、支援機グローリーと近接機ビクトリーのワシントンコントラクタースクールのメンバー。
『おまえ達、準備は良いか?』
 信長が和眞、杏に通信を送る。
『もちろんッスよ!』
『いつでもいけるわよ』
『トーマス達も準備は良いかい?』
『いつでもいけるぜ!』
『よし、それじゃ開始!』
「早速いくッスよ!」
 ケビンの合図と共に前に出たのはトニトルス。
「いくぞ忍!」
「出力安定いつでもいけるよ!」
「私たちも盛大にやるわよ!」
「はい!」
 先制をかけたのは第六天魔王のビームアイ。相手の射程外から撃たれるビーム。
『グローリー! 頼むぜ!』
『了解!』
 撃たれたビームに対しグローリーが前に出て、ビームシールドを展開し無効化する。
『牽制射撃開始!』
 迫るトニトルスにビクトリーが銃剣付きビームアサルトライフルの弾をばら撒く。
「こんなのへっちゃらッス!」
 弧を描くように突進し、牽制射撃を回避して接近。新式ビームサーベルを抜く。
『俺が前に出る!』
 フリーダムがトニトルスの迎撃に入る。トニトルスがサーベルを両手で構え、剣先をフリーダムに向ける。
「その構え、突きか! だが、それさえ分かってしまえば……!」
「兄さんチャンスです!」
「分かっているッスよ!」
 突きを繰り出す瞬間、トニトルスから射出されたのはワイアクロー。射出されたワイヤーはフリーダムに引っかかり、動きを制限する。
「これが狙いか……!」
 トニトルスはワイヤーが絡まるように動き、更にフリーダムの動きを制限していく。
「さぁ、これで逃げられないッス!」
「やるな!」
『フリーダム!』
『援護を!』
「ふふ、チャンスよ! 早苗、標準補正平気!?」
「位置固定。ターゲットロックオン完了。大丈夫ですよ!」
 中距離で機体を固定したレイヴンTYPE―C。
「ファイアーー!!」
 早苗の合図と共に、レイヴンTYPE―Cの両手のガトリングガン、ミサイルポッドを援護に入ろうとした、ビクトリー、グローリーに向けてフルバーストを開始。
「うおっ!?」
「うわっ!!」
 すさまじい弾幕に二機は一度後方へ離脱。
『狙い撃ちます!』
 弾幕をはるレイヴンTYPE―Cに向けてグローリーがスナイパーライフルの標準をあわせる。
「……シュート!」
 精密に合わされた射撃。だが、重装甲のレイヴンTYPE―Cに対し、大したダメージは与えられない。
「その程度じゃ、私は倒せないわよ!」
「くそ、もう一度――」
「私を忘れてはおらぬか?」
 再び、構えようとしたグローリーの前に弾幕に隠れ、移動していた第六天魔王。
「しまった……」
「受けるが良い! 第六天魔砲・魔法弾【ウィッチクラフトキャノン】を!」
 ほぼゼロ距離によるウィッチクラフトキャノンによる砲撃。
「うわあぁぁぁ!!」
 模擬戦用に威力は下げられているものの、盛大に吹き飛ぶグローリー。
「まずは、一機。だね」
「うむ、行くぞ!」

 レイヴンTYPE―Cの弾幕の中でほぼ、タイマン状態のトニトルスとフリーダム。
「まだまだっ!」
 ワイアーによる行動制限のあるフリーダム。トニトルスの繰り出す剣撃をうまく受け流していく。
『ほとんど動けないのになかなかやるッスね!』
『このぐらいで負ける俺じゃないぜ!』
「くらえっ!」
 トニトルスの攻撃を受け流した瞬間に、突きを繰り出すフリーダム。
「っと!?」
 フリーダムのサーベルがトニトルスの左肩を直撃。
「左腕、機動低下。まだいけますよ兄さん」
「了解ッス!」
「良い感じに入ったはずなんだがな……!」
「そろそろ終わらせるッスよ!」
 トニトルスの会心の突き。
「見切ってるぜ!」
 だが、それを今までの攻防の中で完全に見切ったトーマス。サーベルを右に弾き、コクピット向けてサーベルを突き立てる。
「……! タダでは終わらないッス!」
 弾かれたサーベルを縦に振るいフリーダムの左腕を狙う。
 和眞のコクピットに衝撃が襲う。トーマスのサーベルはトニトルスのコクピットを直撃。
「よし……!」
「あちゃ……負けちゃったッスね」
 フリーダムに引っかかっているワイアーを解除する和眞。
「そうですね。でも、私は楽しかったです」
「オレも楽しかったッス」
『悪いが俺の勝ちだ! じゃあな!』
 トーマスはそう和眞に連絡を入れて、戦場へ戻った。
「……兄さん、最後の一撃」
「確かに入ってったはずッス。それだけでも上出来ッスよ」

「杏さん、フリーダム、ビクトリーが接近してきます」
 レーダーを見ていた早苗が状況を杏に伝える。
「ありゃ、和眞君負けちゃったか」
『早苗さん、前に出ます、援護をお願いします』
『良いわよ。任せて』
『フリーダム、こちらが前に出る!』
『おう!』
 互いに第六天魔王、ビクトリーが前に出る。
「いくぞ!」
 第六天魔王がファイナルイコンソードを構え、突撃する。
「相手を分断させるわよ」
「任せてください」
 レイヴンTYPE―Cの援護射撃。
「うぉ!」
「くそっ!」
 即座に左右に割れたビクトリーとフリーダム。トーマスは対象をレイヴンTYPE―Cに変え、突撃する。
「ビクトリー! その首もらったぁ!」
 突撃してくる、第六天魔王。ビクトリーはビームサーベルを抜き構える。
「うおぉぉぉ!」
「奥義! 断空閃!」
 閃空の如き速度で、ビクトリーを斬り刻む。その反応についていけずビクトリーはその場に膝をついた。

「フリーダムに接近されちゃってますよ!?」
 レイヴンTYPE―Cの眼前にはフリーダム。
「まさか、弾幕を掻い潜ってこられるとは思わなかったわ」
「見たところ、近接武器はないな……。一気に終わらせてやる!」
 フリーダムがサーベルを構え、レイヴンTYPE―Cに迫る。
「こうなったら……」
「終わりだ!」
 突き出されるサーベル。
「そこっ!」
 レイヴンTYPE―Cはそれを最小限の動きで回避。左腕で、伸ばされた腕をがっちりとホールド。
「さぁ、終わりにしましょう!」
 空いた右腕にはガトリングガン。
「こちらも――」
 トーマスも左腕を動かそうと操作するが、動かない。
「しまった、さっきの戦闘の時、トドメの一撃が左腕に入っていたのか……!」
「私の勝ちね!」
 ゼロ距離で、大量の弾を浴びたフリーダムが無事なわけもなく。フリーダムはゆっくりと倒れた。