校長室
冬のSSシナリオ
リアクション公開中!
何がどうしてこうなった ――ニルヴァーナ、繊月の湖畔。 現在開発が進められ、大小様々な建造物が造られている。 それらの中に混じり、その巨大な建造物は存在していた。 その建造物の名は風雲レティロット城。 城主レティロットが用意した様々な難関という名のアトラクションを備えたテーマパークである。 城、という名の通り天守閣をモチーフにした巨大な造りであるが、勿論ただの城ではない。凄い城である。 何が凄いというとこのテーマパーク、大体三週間くらいで完成したらしい。三夜城ならぬ三週間城。スゲーと言うより、色々と心配でならない。主に耐震性とか耐久性とか。 調査の手が入ったら埃が出るに違いないので、通報するなよ? 絶対するなよ? いいな絶対だぞ? 後は城が変形してロボットになるとか噂がある。その真実は定かではないが、都庁だってロボットに変形するこの時代。城が変形してもなんらおかしい所は無い。 ――さて、舞台はそんなレティロット城の入り口である城門へと移る。 城門前には複数の者達が存在していた。武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)とツール・エクス(つーる・えくす)、大岡 永谷(おおおか・とと)、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)と佐々木 八雲(ささき・やくも)、シオン・グラード(しおん・ぐらーど)と西条 桃華(さいじょう・とうか)、そして布袋 佳奈子(ほてい・かなこ)とエレノア・グランクルス(えれのあ・ぐらんくるす)である。 共通点が契約者、という事くらいしか見当たらない面子であったが、皆戸惑いの表情が隠せないでいる。 それもそのはず。彼らはこのレティロット城に、自らの意志で来たのではない。レティロット配下の黒服に連れてこられたのである。それも突然だ。 『――ようこそ挑戦者たち。あちきは混沌(カオス)の守護者、レティロット』 城門に備え付けられたモニターに映し出されたのは、城主レティロットことレティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)。ゴスロリ衣装を身に纏い、画面越しに戸惑う者達へと語りかける。何故か手にはマイクではなく拡声器が握られていた。 城なのに何故ゴスロリ姿なのかは、という件については今回関係無いだろうし割愛させてもらう。尺の都合という物があるのだ。 『突然の事で驚かせて申し訳ありませんねぇ。ちょいと今回はこの風雲レティロット城のお披露目、という事で皆さんにお付き合いいただいたわけなんですねぇ』 お付き合い、とレティシアいうが実際は半強制的である。ちなみに断固拒否した者は段ボールに詰められて運ばれていた。人一人入れる段ボールだなんてゴミになってしょうがないというのに色々と優しくない。 『さて、今回皆さんに挑戦していただく難関のラインナップはこのようになっていますよぅ!』 そう言ってレティシアがフリップを取り出す。そこには【風雲レティロット城 アトラクション一覧】という題が書かれ、題の下にはアトラクションのラインナップが載せられていた。 ラインナップは以下の通りである。 壱、試金石の壁 弐、虎陣池 参、キノコでポン(何故かこれだけ訂正線が引かれている) 肆、ツガル海峡 伍、オチール洞窟 陸、カート戦 『これらの難関を皆さんには挑戦してもらいますよぅ。この城を頑張って攻め落としてくださいねぇ……できる物なら、ですがねぇ?』 そう言ってレティシアが振り返る。その視線の先に並ぶのは、ルイ・フリード(るい・ふりーど)、神崎 輝(かんざき・ひかる)と神崎 瑠奈(かんざき・るな)、そしてドクター・ハデス(どくたー・はです)とヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)である。 彼らが腕を組み、ドヤ顔をしているのを見てレティシアが満足げに頷く。 『彼らはこの城の守護者ですよぅ。それじゃ、一言お願いしますねぇ』 そう言ってレティシアから拡声器をルイが受け取り、通称ルイ☆スマイルという名の飛び切りの笑顔を浮かべた。 『さぁさぁやって参りました風雲レティロット城! 城を守る側のルイ・フリードです! いやぁこういう催し物は賑やかでいいですねぇ! 私は賑やかな事が大好きですよ! でもそう簡単に難関はクリアさせませんので、皆さんそのつもりでお願いしますよ!』 それだけ言うと、今度は輝が拡声器を受け取った。 『神崎輝でーす♪ ボク達の難関もそう簡単にはクリアさせませんよー? 後失敗したら罰ゲームもありますよー♪』 『神崎瑠奈だにゃー♪ 難関に頑張って仕掛けを作りましたにゃー♪ 頑張れば何とかなるんじゃないですかね〜? 根拠はありませんが』 そして、輝達からハデスが拡声器を受け取る。 『フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部にして、風雲レティロット城の天才科学者ドクター・ハデス! この城に挑む愚か者共よ、簡単に攻略などできると思うな!』 『ご主人様……じゃなかったハデス博士の命を受けてヘスティアも皆様の攻略を阻止させていただきます! 御覚悟なさってくださいね!』 最後、ヘスティアから回ってきた拡声器をレティシアが受け取る。 『さて、こんな感じですかねぇ。ああ、あちきは彼らの難関の先にある天守閣で待っていますよぅ。あ、ちなみに今回はゲストとしてセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)もこの天守閣へ来て頂いてますよぅ』 『……あのさ、ゲストって言われても何であたしいるのかわからないんだけど』 話を振られたセイニィは戸惑いの表情を隠そうともせずに言う。が、レティシアは全く聞いちゃいない様子で画面へと向き直る。 『皆さんの挑戦、ここから見物させて貰いますねぇ。では、頑張ってくださいねぇ』 『いやその前に何であたしがここに居るのかまず説明を……ってねぇ聞いてるの――』 セイニィの声を残しつつ、モニターはプツリと音を立て真っ黒な画面へと変わった。