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■たいむちゃんと闇鍋大会!

白波 理沙(しらなみ・りさ)は、
友人の空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん)を誘って、鍋をしようとしていたが、
いつのまにか「闇鍋大会」の開催が決定していた。
理沙のパートナーの
ピノ・クリス(ぴの・くりす)
ランディ・ガネス(らんでぃ・がねす)は、
はたしてまともな食べ物を持ってきてくれるのか?

「不安ね……」
そう思いつつ。

「理沙は、たいむちゃんに一縷の望みを託すのだった」
「理沙ちゃん、誰に向かって話してるの?」
「ううん、こっちの話」

鍋の味付け担当の理沙は、
皇帝ペンギンゆる族のピノに向き直る。
「材料、何持って来た?
順次、投入しようと思うんだけど」
「えっとね、ピノ、ラーメン食べたいな!」
ピノがインスタントラーメンを投入する。
「って、普通、麺類はシメなんじゃないの?
まあ、いいか」
「あとね、お菓子もいっぱいもってきたの!」
ピノが、カラフルなカラーチョコやジェリービーンズなどを開封する。
【スプーン】でよそって、そのまま、鍋に向かって。
「これ、きれいだよねー」
「ちょ、待っ……」

ざらざらざら。

色とりどりのお菓子が鍋に投入された。

「いや、まあ、たしかに食べ物ではあるけど、だけどっ……!」
だいたい予想できたことではあったが、
理沙は、どうすれば、鍋の味がなんとかなるか考えていた。

「しょうがねえなあ。ピノは。それじゃ腹の足しにならねえだろ?」
ランディが、
肉などのガッツリ系食材を持ってきていた。

「まずは、フライドチキンだろ。
それに、味噌カツ、ハンバーガーっと」

「わーい、ピノ、ハンバーグ好きー♪」

「鍋に入れるのはどうかと……」
理沙が言うが、
すでに、鍋の中は、お菓子の色で超カラフル&肉類の油でギトギトになってる。

「あはは……」
苦笑するたいむちゃんに、
理沙が助けを求める。
「お願い、たいむちゃん、時間を巻き戻……すのは無理でも、
なんとかならない!?」
「大丈夫。
こんなこともあろうかと、ニルヴァーナの食材を持って来たわ!」
今日はうさぎスーツ姿のたいむちゃんは、大きなリュックサックを背負ってきていた。

「おお、なんだかすごそうだな!」
「たいむちゃん、すごーい!」
ランディとピノも期待の視線を送る。

「お願い、たいむちゃん!
この鍋に希望をもたらして!」
理沙が、たいむちゃんを拝むように言う。

そして、たいむちゃんの取り出したのは。

「じゃーん!
これは『セミ人間の抜け殻』だよ!」

セミ人間とは、
ニルヴァーナに出現したとかしなかったとか噂されている、
伝説の生物である。
世界樹の樹液を吸って枯らしてしまうとかなんとか。

「それって……」
理沙が青ざめる。
「ていうか、すでに食べ物じゃない気が……!」

「大丈夫、大丈夫!」
そう言いつつ鍋にセミ人間の抜け殻を投入しようとするたいむちゃんだが。
理沙は、セミ人間の抜け殻が鍋に投入される直前、
ひっつかんで、ランディの口に突っ込んだ。

「こ、これをたいむちゃんに食べさせちゃいけない気がする!
許して、ランディ!」
「ぐはっ!?
いや、なんとか食べられ……もぐもぐ……グフゥ!?」

ランディは、そのままぶっ倒れる。
セミ人間の抜け殻は人間サイズなので、セミ人間に覆いかぶさられているようにも見える。

「あー……もったいない」
たいむちゃんが残念そうにする。

「そんなことより、今、ここにある鍋を食べましょう!」
理沙が、無理やり話題を逸らす。

【おたま】で、鍋を皿によそって、食べてみる3人だが。
油がギトギトしているうえに、
とろけた色とりどりのお菓子が甘い香りを放っている。

「これって、想像以上に……」
「……おいしくないねー」
「……なんでこうなったのかなあ?」
理沙もピノもたいむちゃんも絶句していた。

結局は、鍋の存在は忘れることにして、
ピノの持ってきていたお菓子で口直しすることにする3人であった。
それは、普通に楽しい女子会だったとか。