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リアクション
プロローグ
「それじゃ瑛菜おねーちゃん行ってくるね」
「気をつけるんだよ。アテナ」
そんなやり取りをして熾月 瑛菜(しづき・えいな)は森の調査に向かうアテナ・リネア(あてな・りねあ)を見送る。
「うーん……アテナを見送るってのはどうもなれないな」
アテナの姿が見えなくなった所で瑛菜はそうミナホに漏らす。
「どうしてですか?」
「普段は一緒に行動してるし……あたしが見送られる立場ってのはそれなりにあるんだけどね」
アテナが自発的に自分のもとを離れて行動するというのは多くないと瑛菜は言う。
「ミナホは何か知らないか?」
アテナが自分のもとを離れて行動してまで村が大きくなって欲しい理由を瑛菜は聞く。
「し、知りません……よ?」
祭の夜にしたアテナとミナホが交わしたとある約束は瑛菜には秘密という事になっていた。
「……ま、いいか」
アテナが自分に隠し事をするなら大なり小なり理由があるのだろうと瑛菜は思う。その隠し事にミナホが関わっているなら、今自分が気にする必要はないとも。
「それより村の案内は昼からだっけ?」
「あ、はい。瑛菜さんの他にも村を案内をさせてもらう予定です」
瑛菜の他にも街道作りの時に世話になった契約者や偶然村に訪れていた契約者がミナホと瑛菜の話を聞きつけ、自分も案内してくれないかとのことだった。ミナホとしては当然断る理由はないし、瑛菜としても特に拒否する理由はない。結果としてちょっとした観光ツアーのような感じになっていた
「鍾乳洞の調査の方は今は父が管理していますが、それなりの人数の契約者の方が集まったみたいです。人手が足りないってことは多分ないかと」
「森にしても鍾乳洞にしても何事も無く調査が終わるといいけど」
やっぱり自分も参加すべきだったかと瑛菜は思うが、それはアテナの気遣いも無駄にするとため息を吐いてその考えを流す。
「……っと、瑛菜さん。少し村の様子を見てきますね。案内する所の確認もしたいので」
「了解。楽しみにして待ってるよ」
そうして出ていくミナホを瑛菜はまた見送った。
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