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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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数分前 迅竜 ブリッジ

「迅竜、葦原島上空に到着。戦域到達まで後、600秒」
 コンソールを操作し、共用モニターにマップを表示しながらダリルが報告する。
 その報告を受け、ルカルカは凛とした声音で応えた。
「主砲のチャージを準備。準備完了後、葦原組と通信を繋いで」
 ルカルカの指令に、すかさずルースが復唱しつつコンソールを叩く。
「主砲エネルギー充填準備」
 ルースがコンソールを叩き終えると、共用モニターにエネルギー充填の準備開始を告げる旨が表示される。
 その表示がフェードアウトすると、代わって今度は準備状況を示すグラフが表示された。
 準備は順調のようで、エネルギーの充填に必要なメインエンジン他各種箇所の稼働率は淀みなく上昇していく。
 そうしている間にもマップ上に表示された迅竜のマーカーは動き続けている。
 気付けば、戦域到達までの予想時間が300秒を切っていた。
 到達予想時間を見て取ったルカルカは、通信機のスイッチを入れた。
 艦内全域を対象とした設定にし、ルカルカはマイクに向けて告げる。
「本艦はこれより戦闘区域に入る。総員、第一種戦闘配備」
 全艦が慌ただしくなるのを感じながら、ルカルカはその時を待つ。
 モニターに表示された戦域到達までの時間はもう残り60秒。
 ルカルカが艦長席に座り直し、深呼吸すると、丁度良いタイミングでルースからの報告が入った。
「主砲準備完了。即時エネルギー充填開始可能」
 更にタイミングの良いことにダリルの報告も入る。
「迅竜、戦域に到達。なお、既にこの地点より戦域は本艦主砲の射程内である模様」
 矢継ぎ早に入ってきた報告を受け、ルカルカは一度目を閉じる。
 ほんの一瞬、考え込むように瞑目していたルカルカだったが、意を決したように目を見開く。
 目を見開いたルカルカは即座に立ち上がると、ブリッジすべてに響き渡る声で言った。
「全砲門開け、粒子砲エネルギー充填、目標は敵集団中央部。発射と同時に各機発艦、各砲門はそれを援護せよ」
 ルカルカの指令が飛ぶが速いか、すぐにダリルがコンソールを叩く。
「全砲門展開。粒子方エネルギー充填開始」
 既に準備は整っていたこともあってか、エネルギーの充填率は順調に上がっていく。
「メインエンジン、主砲砲身、その他各種動作正常。主砲発射随時可能。艦長、命令を」
 ルースの言葉にルカルカは一度深く頷いた。
 そして、立ち上がったまま右手を前に突き出し、声の限り告げる。
「迅竜、主砲発射――てーっ!」
 ルカルカが命令を発した直後、迅竜に搭載された荷電粒子砲から凄まじい量と勢いで光の粒子が溢れ出す。
 前方へと放たれた光の粒子の奔流は目標――戦域中央へと一直線に伸びていった。
 すぐさまルカルカは艦長席のマイクから全艦放送で次なる指令を出す。
「イコン部隊は全機発艦。粒子砲の軌跡を追う様に突撃し、戦域を突破せよ」