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炬燵狂想曲

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炬燵狂想曲

リアクション

・猫狂騒曲
 
高円寺 海(こうえんじ・かい)の応援要請を受けて匿名 某(とくな・なにがし)杜守 柚(ともり・ゆず)フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)の家に向かった。
「雅羅ちゃん、大丈夫ですか?」
 雅羅の部屋に入った柚は炬燵に入って猫耳が付いている雅羅を見ると、駆け寄って頭を撫でる。
「雅羅が猫化したって本当か? って……本当だな」
 続いて入って来た某は炬燵を見ると、続いて海を見て、
「なぁ、俺達に電話をした後雅羅の猫耳付きを撫でたのか?」
「なんでそう羨ましそうな目でオレを見るんだよ。雅羅を撫でるわけないだろう」
 某のにやけた表情を見ると、海は呆れたような表情で言った。
 ちっ……と軽く舌打ちをすると、某は雅羅の様子を観察し始める。
 柚はと言うと、雅羅を撫でながら炬燵に入りたいと炬燵をちらりと見たが杜守 三月(ともり・みつき)の視線があり、なかなか炬燵に入る事は出来なかった。
「でだ。どうやって救出するかだよな……」
 海は集まった顔を見渡しながら話を切り出した。
「あ、私達は外で猫化した人達を救出しに行って来ますね」
「ん? 何か救出する方法を見つけたのか?」
 海は某と一緒にフレンディスを見ると首を傾げた。
「いえ……ただ単にこの家に大人数で居ても意味がないと思います。それに私の案はこの家で振り回すと危ない物を使いますから」
 そう笑顔でフレンディスは言うと、腕に付けた鉤爪・光牙を見せる。
「爪を使い猫化した人々を助けるとは、なかなかやりますね。ご主人様」
 フレンディスの言葉に忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)が絶賛の声を上げる。
「確かにその爪だとこの家壊す可能性があるな。まぁ、アレだな。雅羅の奴が関わってる時点でロクな事件じゃないと思っていたが……あーフレイ? その炬燵に近寄らねえ方がいいぜ?」
 フレンディスに突っ込みを入れながら、ベルクがうんうん。と頷く。
「ロクな事件じゃないってなんですか! 雅羅ちゃんはこんなに可愛いのに!」
「そうだな。俺様もそう思うぜ!!」
「えっ?」
 ベルクの言葉に文句を言った柚は、横から聞こえて来た肯定にぎょっとして横を向いた。
 そこには、柚と炬燵の間に入ろうとしているゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)がちゃっかりと雅羅の髪を櫛で撫でていたのだ。
「お前、どっから入って来た!」
 海はゲブーを指差すが、
「んぁ? 普通に玄関からだぜ。お前らが入って行くのを見て付いて来たんだよ」
 ゲブーはそう言いながらも、持って来た猫じゃらしを雅羅の眼の前で振り始める。
 猫のようになった雅羅は手で猫じゃらしを掴むような仕草をする。
「わ……私も!! 三月ちゃん、持って来た猫じゃらしを頂戴!」
 柚はゲブーと雅羅とのやり取りを見て対抗心を燃やしたのか、強い口調で言うと三月から猫じゃらしを受け取り猫じゃらしを振り始める。
 いいですねーとフレンディスは炬燵を見やるが、先ほどベルクに釘を刺されたせいで雅羅猫争奪戦に参戦できずにいた。
「お前ら……遊ぶのもいいがちょっとは解決方法考えろよー」
 ベルクが争奪戦組に声を掛けるが、三人……いや、二人は聞いていないようだ。
「……で、何か判ったか?」
 海は争奪戦の横で炬燵を調べていた某に声を掛ける。
「いや。何も読みとれないな」
 横に首を振った某に三月が「あっ」と何か閃いたようで解決策を言おうとした時だった。
 遊び疲れてぐったりとし始めた雅羅の胸を揉もうと、ゲブーが両手をわきわきとさせ始めるのを見たベルクがこっそりとフレンディスに耳打ちをしたのだ。
 ベルクの耳打ちに頷いたフレンディスは、鉤爪・光牙をゲブーに飛ばし鉤爪を後ろから固定させる。
「はいはい。雅羅さんが油断していますからってセクハラはタブーですよ!」
 少し怒ったようにフレンディスは言うと、ポチとベルクに外に出ようと合図を出した。
「それじゃあ私達は行きますね。この人が家に近づかないように遠くに捨てて来ます」
 フレンディスはそう言うと、ゲブーを引きずったまま家から出て行った。
 
 雅羅の家から出たフレンディス達は、取りあえずこの住宅街で猫化した人々を助けようと炬燵を探そうとした時だった。
「なんだか魚のいい匂いがします」
 鼻をひくつかせたポチがフレンディスとベルクに言うと、匂いの元をたどり走り始めた。ポチの後を追った三人は公園にたどり着くと、そろって足を止めた。
「公園?」
 いぶ傾げながら公園に足を踏み入れると、そこは火鉢を準備している歌菜と羽純の姿があった。
「そこで何しているのです?」
 思わずフレンディスは歌菜に声を掛けた。
 声を掛けられた歌菜はフレンディス達を見ると、串に刺さった魚を見せた。
「これで猫化した人々を引き付けようかと……」
 串に刺さった魚を見て、ポンとフレンディスは手を打った。
「なるほど。その手がありましたか……マスター、ポチ。私達も手伝いましょう」
「……おー」
「わん」
 やる気がなさげなベルクとポチは手を挙げたのだった。