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【第五話】森の中の防衛戦

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【第五話】森の中の防衛戦

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 同時刻 迅竜 第一格納庫
 
「一足先にパラミタ世界に足を踏み入れた兄は、イコンの事故に巻き込まれて死んだとの断片情報を聞いたわ」
 {ICN0005238#プラヴァー}のコクピットで庭坂 まりあ(にわさか・まりあ)は怒りをたぎらせながら、パートナーである国吉 遥(くによし・はるか)に話しかけた。
「前回公表された『偽りの大敵事件』の断片と照らし合わせると、イリーナ中尉が家族を失ったのと同じ事故のようね――」
 自らの記憶を照らし合わせ、彼女は何度も確認した事実をもう一度確認する。
「――なら兄は事故死ではなく、天御柱学院や九校連に殺されたって事じゃない」
 迅竜が初陣に臨んだ時から乗艦していたまりあだけに、『偽りの大敵事件』の一端を聞いた時は驚きを禁じ得なかった。
 そして、それと同時に凄まじい怒りもわいてきたのだ。
 まりあに同調するように、遥も不満を口にした。

「パラミタ化手術で強化人間を輩出する天御柱学院は酷くグロテスクな存在だし……現地種族と契約する他校と比べ傲慢だと、思います。いわば強化人間は地球人としての存在を奪われた不可触賤民――」
 パラミタ化の影響なのか、遥の感情は乏しい。
 喋り声にもそれが感じられた。
「天御柱学院以外の九校連に対して嫌悪感はないのだけれど、まりあがやりたいなら仕方ないよね」
 まりあを見つめる遥。
 遥かを目をまっすぐに見つめ返すと、まりあは深く頷いた。
 
 機体のシステムを起動するマリア。
 OSが起動し、モニターにも明りが灯る。
 簡単な機体トラブルと偽って出撃は遅らせてあった。
 
 もはや迅竜イコン部隊は全員出撃しており、残っているのはまりあ達だけだ。
 ロックボルトが外れ、プラヴァーは一歩前に踏み出す。
 そのまま格納庫の中ほどまで来たプラヴァーは銃剣付きビームアサルトライフルを壁に向けた。
 そして、まりあは躊躇なくトリガーを引いたのだった――。