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【第五話】森の中の防衛戦

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【第五話】森の中の防衛戦

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 突然の爆発に驚いたような素振りを見せたものの、すぐにサタナエルは荷電粒子砲の発射を再開した。
 狙いは迅竜のブリッジ。
 今まさに荷電粒子砲の一撃が放たれようという瞬間、護衛艦のArcemが間に割り込んだ。
『させるかぁっ!』
 機外スピーカーで叫ぶ夏侯 淵(かこう・えん)
 荷電粒子砲の直撃を至近距離から受け、流石のArcemもただでは済まなかったようだ。
 大きなダメージを受け、付近に不時着するArcem。
 一方のサタナエルはまたも攻撃準備に入る。
 
 だが、サタナエルが新たな攻撃を繰り出すよりも早く、淵が再び叫んだ。
『今だ……撃てぇっ! ネージュ!』
 機外スピーカーで叫ぶと同時、何発もの砲声が鳴り響く。
 
 飛来した砲弾は次々にサタナエルへと炸裂した。
 ブリッジを狙うことに集中していたせいで回避が遅れたのだろう。
 サタナエルは被弾を許してしまう。
 
『日頃からよく遊びに行くイルミンスールだもの、大好きな人達の為に護りたいんだ!!』
 同じく機外スピーカーで叫んだ声が響く。
 声は少女と思しきもので、必死さがひしひしと伝わってくる。
 
 サタナエルに炸裂した砲撃はウィッチクラフトライフルによるものだ。
 そして、この砲撃を行った機体こそ、ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)ホワイトスノゥ・オーキッド
 迅竜付近で防衛行動に従事していたホワイトスノゥ・オーキッドは、迅竜の危機を聞いて戻ってきたのだ。
『射線は通っているからっ! このまま撃ち続けてっ!』
 続いて聞こえてくるのはサブパイロットのラディーチェ・アコニート(らでぃーちぇ・あこにーと)の声。
 可能な限りウッチクラフトライフルを撃ち続けるホワイトスノゥ・オーキッド。
 
 状況が状況なだけにサタナエルは緊急ワープを敢行。
 その場を離脱する。
 
『撤退……した……』
 ホッとしたのか、ネージュが息を吐く音がホワイトスノゥ・オーキッドのスピーカーを伝って外に響く。
 だが、未だ二機の“フェルゼン”が迅竜へと迫っているのだった。
 
『――きゃあっ……!』
 機外スピーカーからネージュの声が響く。
“フェルゼン”の一機がすれ違い様に、ホワイトスノゥ・オーキッドへとフックを叩き込んだのだ。
『……っ!』
 咄嗟にラディーチェが反応したおかげで、機体への直撃は避けられた。
 だが、拳を受けたウィッチクラフトライフルが破損してしまう。
 
“フェルゼン”はというと、それ以上ホワイトスノゥ・オーキッドに固執することはない。
 あくまですれ違いざまに攻撃しただけで、迅竜へと全力走行で向かっていくのだった。