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リアクション
■幕間:調査
「石女神に使われていた技術と似たものがニルヴァーナでも?」
「ああ、そうだ。少なくともオレの見立てでは一部地域でのみ使われていた技術の流用だったようだな」
「一部というと――」
「件の施設近郊だ。インテグラルらが生物的な技術だとすればあれらは機械的な技術、つまり機晶技術の応用に近い」
「やはり施設とやらを調べないと駄目か。教導団はいつごろ行くつもりなんだ」
「それは立場上教えられないな。技術に関しちゃオレの私見を述べているようなもんだからいいけどな」
玖純の質問に答えられる範囲だけ長曽禰は答えた。
彼のHCが鳴る。
見ればルカルカから連絡が届いていた。
そこには添付された写真の子について調べて欲しいと書かれていた。
「……熾天使? いや、ニルヴァーナ人か……どっちだ?」
いちごが写真を覗き込んだ。
その瞬間、彼の瞳孔が開いたのに九条は気付いた。
「なにかあった?」
「――ちょっと思い出した」
彼は言うと長曽禰の目を覗き込むように見つめた。
そして告げる。
「おれ帰るね」
「だ、大丈夫なのか?」
「――うん」
口角を釣り上げて彼は笑う。
ボロッと彼の皮膚が剥がれ落ちた。
いちごはそれを隠すように口を覆う。
逃げるように彼はその場を後にした。
「今のは……」
九条と月摘が視線を厳しくした。
どうしますか、と長曽禰に視線を向ける。
「今はいちごよりも優先すべきことがある。行くぞ」
採取した唾液の検査結果を待つことにした九条以外の人たちは長曽禰と共にオリュンポスが暴れているという廃墟に向かった。
しばらくして九条の下に教導団員の一人が歩み寄ってくる。
「こちらが検査結果になります」
「ありがとう」
受け取り、検査結果を確認する。
「……一致」
彼女の頭に浮かんだのは口角を釣り上げて笑ういちごの姿だ。
九条は長曽禰に連絡してこの事実を教えた。
事態はすでに動いていた。
そのことを長曽禰たちが知るのはいちごの消息を調べるように郊外の廃墟を調べていた者たちに連絡をした時であった。
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