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リアクション
■第二幕:廃墟に集う者たち
ハデスたちのいる廃墟の向かい側、似たような廃墟の屋上で辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)が身を隠すように中腰姿勢で周囲の様子を覗っていた。しばらくすると幾人かの者たちがハデスたちのもとを訪れるのが見えた。
「あれは……」
辿楼院の見つめる先にはハデスとヘスティア、そしてペルセポネ・エレウシス(ぺるせぽね・えれうしす)の姿がある。そこへ訪れたのはアリス・ウィリス(ありす・うぃりす)と及川 翠(おいかわ・みどり)、ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)、サリア・アンドレッティ(さりあ・あんどれってぃ)の四人だ。
これほど距離が離れていると何を話しているのか聞き取れない。
口の動きで判断しようにも位置が悪く読み取り難かった。
「ふむ……」
街の方に視線を向けると、路地を通ってアルミナ・シンフォーニル(あるみな・しんふぉーにる)がこちらへ近づいてくるのが見えた。その上空には小型飛空挺が飛んでいる。ここからでは判別できないがイブ・シンフォニール(いぶ・しんふぉにーる)が乗っているのだろうと辿楼院は判断する。
「現状は手筈通りじゃな。ではわらわも行くとするかの」
彼女は言うとハデスたちのいる廃墟の屋上へと飛び移った。
「極秘書類があると聞いて〜」
「フハハハ! あるともここにな!!」
バサッと書類を取り出して及川に見せつけるように前へと突き出した。
彼女はそれを掴むと「ほうほう」などと言いつつ読み耽る。
サリアも書類の内容が気になるのか及川の隣から顔を覗かせていた。
ハデスは及川の隣に立っているミリアに視線を向けると告げた。
「ミリアとか言ったな。どうだ、我が部下ヘスティア、ペルセポネと機晶合体してみる気はないか?」
「……えっ? 機晶合体? まぁ面白そうでは……」
「よし。さあ、機晶合体せよ! 魔術師型合体機晶姫オリュン・マギウスよ!」」
「わかりました、ハデス博士。ミリアさんとの機晶合体をおこないます」
「わかりました、ハデス先生っ! 機晶変身っ!」
「って、返事ぐらいは聞きなさいっ!?」
ミリアの言葉をスルーしてヘスティアとペルセポネの二人がハデスの声に応えて動き出す。
ヘスティアはミリアの背中に抱き着くと背部のコンテナ内部に身を移す。
コンテナがヘスティアを格納したままミリアと接続する。機械音が鳴り、遠距離攻撃用の武器ユニットが下部および両側部から出現した。続いてペルセポネの身に着けていた鎧がミリアの胸部や腹部に接続されパワードスーツのように外部装甲を形成する。装甲は折り重なりローブのような姿へと可変した。
最後にヘスティアの手にしていた機晶銃が腕部に繋がってロックされた。
フルアーマーとはこの状態を指すのだろうと見る者が見れば思うに違いない。
「ミリアさんかっこいい〜」
「ねー!」
「お姉ちゃんすごい」
三者三様の感嘆の声にミリアが少し恥ずかしそうに頬を染めた。
そんな彼女たちのやり取りを物陰から窺がっていた辿楼院がその様子を訝しんでいる。
辿楼院の視界の端、アルミナが来ると思っていたところに別人がやってくるのが見えた。思わずそちらに振り向いた。やってきたのはエレナだ。富永の姿は見受けられない。
彼女がやってくることに気付いたのだろう、ハデスがエレナの方に視線を送る。
「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクターハデス! ククク、先日いただいた、この機密文書と、ついでに財布。返して欲しければ、我がオリュンポスの新兵器の実験台となるがいい! もし諸君が勝てれば、この書類は返してやろう!」
「諸君?」
エレナは自分以外いないはずなのに、と足元を見た。
そこには機晶ドックのきぃちゃんがいるがこの子のことを指しているわけではないだろう。
彼女が振り返るとそこにはアルミナの姿があった。
「ボクたちがこれを相手にするのかー。きつそーだよね」
アルミナは言うとエレナに微笑みかけた。
共闘しようということなのだろう。
二人は機晶合体を果たしたミリアと対峙した。
今にも戦いを始めそうな三人の様子を、光学迷彩で身を隠しながら眺めていた柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)はチャンスを窺っていた。武道大会の時にハデスを撃退していた彼だったが……。
「あの野郎、前に何かパクっていたのか。にしては被害届もきてないんだが……極秘書類ってどこからパクっていったんだ、あの現在進行形厨2病め。まぁいい、今回ハデスとOHANASIすれば全部分かるだろ」
ニヤリと悪役のような笑みを浮かべた。
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