リアクション
■遠い記憶
彼女は夢を見ていた。
懐かしい夢だ。
大勢の大人たちが叫んでいる。
「パラミタのやつらは機晶技術をもっていないんだぞ!」
「そうだ! 文明の遅れた者たちに気を使って俺たちの世界が滅んだらどうするつもりだ!?」
「彼らには彼らの世界がある。わしらの勝手でそれを摘み取るなど……」
「イアペトスの変調は聞いておろう? そんな甘いことを言っている場合ではないのだ。ファーストクイーンも我らの言うことに賛成してくださったからこうして戦いが始まったのではないか! 何をいまさら甘いことを言うか!!」
「彼らは強い。現にここ最近は機晶姫のメンテナンスも追いつかん」
「ああ、このままでは逆にこちらが攻め込まれてしまいかねない」
「エンキの研究は遅々として進まないようだが私たちにはニビルがいるではないか。シャクティといったか、研究は順調だと聞き及んでいるぞ。あれさえ完成すればパラミタのやつらなど恐れるものではないわ」
「しかし――」
景色が変わった。
「よいか、あやつらは科学者として、研究者としてしてはならんことをした。わしらは彼らの暴挙を止めねばならない。イアペトスを、ニルヴァーナを助けるためにも彼らの力を借りるべきなのだ。もっと早くにわしらはそれを理解するべきであった……話し合いという努力を怠ってきたわしらの言葉に彼らが耳を傾けてくれるかはわからんが――後は頼んだぞ。彼らの協力があれば戦争は終わるはずじゃ」
「うん、わかっ――」
ザザッとノイズが奔る。
いきなり扉が開かれ幾人もの男たちがわたしの大事な人たちを切り刻んでいく。
逃げろ、と誰かが叫んだのが聞こえた。
わたしは逃げた。
にげた……たったひとりで。
『わすれるな。その翼はかれらとの友好の絆に――』
ふと、エンジェルが涙を流していることに久瀬は気付いた。
彼女に近づきハンカチで拭う。険しい顔つきが少し和らいだように見えた。
「夢は記憶を整理するために見る、という話を聞いたことがありますが……」
久瀬は咳に戻るとペンを奔らせた。
手紙を書き終えると彼は椅子に座ったまま目を瞑った。
すぐに眠りはやってきた。
お初にお目にかかりました。
そうでない方はお久しぶりです。砂鳥です。
一か月、お待たせいたしました。この場を借りて心からお詫び申し上げます。
ここ最近謝ってばかりで私の言う「もうわけない」ほど軽い言葉もないのではなかろうかと感じています。
シナリオガイドの案内不足でアクションに悩んだ方も多かったと思います。
次回はそのあたりにも気をつけたいと思います。
さておき、当シナリオは長編の起承転結の起にあたります。
今回のアクション判定の結果、戦闘は起こりませんでした。
いちごを回廊施設に向かわせるというものがあれば展開は大きく異なっていたでしょう。
称号の付与条件も厳しかったせいか該当なしだったので応急処置として情報の開示をしてみました。
といっても少しだけですが。
称号付与の難易度に関しては今後気をつけたいと思います。
そしてホラーと銘打っておきながら全然ホラーではなくなっています。
これに関しては前面的に私の力不足です。すみませんでした。
次回はついに過去シナリオで登場したパラミタ古代種族を人体実験に使っていた施設が舞台です。
詳細は次回シナリオガイドで載せますが、大きく分けて『戦闘』『調査』の二つになると思います。
戦闘に関しては今回のシナリオで登場したいちごと戦う可能性もあります。
調査に関してはニルヴァーナとパラミタが戦争をしていた理由や石女神の造られた経緯などが発見できる予定です。
今回のラストで軽くネタバレしていますが。
なにはともあれこのたびは当シナリオにご参加いただきありがとうございました。
またお目に合える日を楽しみにしています。