天御柱学院

リアクション

両翼、出撃！

『陽動で数も減ったし、西陣営の位置もあれで合ってるはずだよ』
『そうか、そろそろ動き出す頃合いだな。両翼出撃だ！』

　東陣営の最奥で綾乃と情報交換をしていた幸祐は、両サイドで目立たぬようにしていたヒルデガルド・ブリュンヒルデ（ひるでがるど・ぶりゅんひるで）とルーデル・グリュンヴァルト（るーでる・ぐりゅんう゛ぁると）、舞香の部隊へ指示を出した。

『了解しました。……ターゲットを確認。リミッターを解除。これより、殲滅を開始します』

　指示を貰ったヒルデガルドはターゲットの聡の元へ低空飛行で接近していく。
　上方ではパラソルチョコなど、各々の飛行集団で飛んでいる洋たちが聡を守っていた。

「吹雪、恭也の二人は薔薇学のルドルフを狙え。良いな」
『了解であります』
『わかったぜ』

　正子の撃破に喜んでいた吹雪と恭也に、洋はルドルフのクリスタルを狙うよう通信機で指示を出す。
　そこへ東陣際奥地にいた幸祐からの砲撃が飛んで来る。

「みと、洋孝、エリス。第二の砲撃に備えろ！」
『和輝、敵の位置は？』
『１２時の方角より砲撃主は動かない。だが、同方向、下方部より接近する者がいる』
『了解』

　和輝から敵の位置情報を貰い、ヒルデガルドと幸祐の攻撃から警戒する。
　ヒルデガルドの方も狙いを定めて、スピードを上げていく。

「最重要ターゲットを確認。優先して殲滅を開始します」
「来たぞ！　向かい撃て！！」

　みとは火・雷・氷術の弾幕を張り、洋と洋孝、聡で銃による弾幕を飛ばしていく。

「空対空ミサイル一斉射撃開始、剣の結界発動。防御力強化を行います。以上」

　エリスが防護結界を展開し、ミサイルを発射する。
　洋たちの攻撃をハイスピードで回避していき、エリスのヴォルケーノにダメージを与えると、そのまま聡のクリスタルを素早くとどめの一撃で赤くしたヒルデガルド。
　そのままヒルデガルドはこの場から離脱した。

「甘いです。機体を壊されても空は飛べるのですから。さあ、戦いを続けましょう。以上」

　ヴォルケーノから脱出したエリスは天女の羽衣で飛行を持続させる。

「これで全員機体を無くしたか」
「そうですね」
「だが、私たちはまだ戦える。空中砲台となって戦い続けよう」
「はい」

「最重要ターゲットを撃破しました」
「御苦労」
「引き続き妨害者の殲滅とクリスタルの攻撃を行います」

　幸祐に聡撃破の連絡を入れ、ヒルデガルドは右翼にいる仲間の下へ戻っていった。







「ちょ、ちょっと……まって。まだ、目が」
「そうね。両サイドが動き出した事だし、陽動はもういいかしら」

　妲己の振り回しに目を回している静香。
　陽動としての仕事を終えたと感じた妲己がそう言うと、静香は隠さずに喜びを露わにした。

「よかったー。もう僕の箒を引っ張らないんだね」
「櫻井校長！」

　ほっとしていた静香へレキの鋭い声が飛んで来る。

「え！？」

　ホークアイで光学迷彩で近づいてきた恭也に気付いたレキだったが、それよりも早く恭也が静香のクリスタルを青く染めた。

「３点いただきでありますよ」

　通り際に吹雪がそう言って通り過ぎていく。

『幸祐、ごめんなさい。不覚を取って静香のクリスタルを守れなったわ』

　悔しそうに妲己は幸祐へ連絡を入れるのだった。