リアクション
執筆の幕間1 「むにゃむにゃむにゃ……。ふふふふ、最高のリアクションだ。賞賛の嵐だ。ふはははは……」 夜更かしは苦手なのか、書いている途中でドクター・ハデスはいつの間にか眠ってしまったようです。 「兄さんったら、いったい何を書いていたのかしら……」 ちょっと興味を持って、高天原咲耶が、ドクター・ハデスが打ち込みを行っていたパソコンのモニタをのぞき込みます。その顔が、みるみるうちに真っ赤になっていきました。 「な、な、な、な、何!? これは!!」 自分がすっぽんぽんにむかれる場面の描写を見て、高天原咲耶が悲鳴をあげました。 実際には、全年齢対応なので大したことはありませんが、女の子としては、自分がすっぽんぽんになるという記述だけで憤慨ものです。 「どうかしたのですか?」 高天原咲耶の声に驚いて、アルテミス・カリストとデメテール・テスモポリス(でめてーる・てすもぽりす)もやってきました。 「続きは、私が書きます。兄さんには任せてなんておけません」 ドクター・ハデスを起こさないようにして机から排除すると、高天原咲耶が代わりに打ち込みを始めました。 承 「リン、いいかげんにやめな!」 「あはははは、やっておしまい!」 なんとかリン・ダージを止めようとしたココ・カンパーニュでしたが、相手は聞く耳を持ちません。 一斉に、柏餅爆弾とちまきミサイルが発射されました。 「このくらい……!」 両手をクロスさせて、ココ・カンパーニュがガードします。鍛え抜かれた肉体は、コイノボリの攻撃などいとも簡単に跳ね返しました。が、しかし、ちまき爆弾の効果を受けて、ぼろぼろにされたココ・カンパーニュのゴスロリドレスが千々に千切れ飛びます。 「おお、ありがたや、ありがたや」 逃げ回っていた村人たちが、足を止めてココ・カンパーニュを拝みました。 「えっ、ちょっ……、いやん」 さすがに、ココ・カンパーニュも恥ずかしくなってあわててたっゆんな胸と下の方をそれぞれ手で隠しました。しっかりと見られると、やっぱり恥ずかしいものです。 ココ・カンパーニュの両手がふさがったのを見るや、コイノボリたちが今がチャンスと、柏餅を一斉発射してきました。 ココ・カンパーニュ絶体絶命です。 「させぬ!」 そこへ、突如、アガレス・アンドレアルフスが飛び込んできました。翼の一閃で、飛んできた柏餅爆弾を弾き飛ばして、ココ・カンパーニュを守ります。 「大丈夫ですかな、お嬢さん。この大英雄たる我が輩がやってきたからには、もう安心じゃ。ささ、早く、そこに落ちているコイノボリの抜け殻を着るがよい」 「ありがとうございます」 アガレス・アンドレアルフスに言われて、ココ・カンパーニュがお礼を言いつつコイノボリの抜け殻を拾ってそれで身をつつみました。ちょうど胸の所がぴったりで、他の女の子たちのように手で押さえなくてもずり落ちたりしません。 「なんて強い人だ、よければ弟子入りさせてください」 「よかろう。だが、今は、目の前の敵を倒すことの方が大切じゃ」 「はい、師匠」 アガレス・アンドレアルフスに言われて、ココ・カンパーニュはあらためてコイノボリたちと対峙しました。 ★ ★ ★ 「早く、中に隠れて! ここは、わたくしが食い止めます」 大剣を構えたペコ・フラワリーにうながされて、高天原咲耶とアルテミス・カリストが村の集会所の中へと逃げ込みました。中には、すでにたくさんの人たちが避難しています。 「大した攻撃はできないにしても、凄く嫌らしい攻撃です。それにしても、数が多すぎますね」 村人たちの避難誘導をしていたアルディミアク・ミトゥナが、コイノボリたちを大人しくさせる何かいい方法はないのかとみんなの顔を見ました。 「ええっと、ショックを与えればいいのじゃ。びっくりすれば、きっと魔法が解けて元のコイノボリに戻るのじゃあ」 ビュリ・ピュリティアが言いました。なにしろ、魔法をかけた本人の言葉ですから、信憑性があると言いたいところですが、きっとという言葉がちょっと引っ掛かります。 「私は通りすがりの微少女魔法使いですが、これをお使いなさい」 そう言って、高天原咲耶が、持っていたツッコミ用スリッパをアルディミアク・ミトゥナに渡しました。 「この魔法のスリッパで突っ込みを入れれば、きっと相手は、お約束で茫然自失となるはずです」 高天原咲耶が保証しました。 「ならば、それにさらに強化魔法をかけてあげるアル。あっ、ボクは、通りすがりの謎の魔法使いアルよ」 そう言って現れたのは、バニラ・テシガチャ(仮名)という謎の魔法使いでした。 「魔術方程式を組み替えて、確実にディスペルできるようにするアル。ええと、どの、こうの、むにゃむにゃ、ちちんぷい……」 何やら意味もなく複雑な儀式をして、バニラ・テシガチャがツッコミ用スリッパに魔法をかけました。スリッパの上に、「何出屋念」という文字が浮かびあがります。 「これで、バッチリのはずアル」 バニラ・テシガチャが自信を持って言いました。 |
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