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2023春のSSシナリオ

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2023春のSSシナリオ
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リアクション

■上司と部下、だけでなく

ヒラニプラの教導団基地にて。

長曽禰 広明の書類仕事を手伝っていた、
月摘 怜奈(るとう・れな)の口数が少なくなったのを訝しみ、
長曽禰が訊ねる。
「ん、元気ないな。どうした?」
「いえ、そういうわけではないのですが、
実は……」
怜奈が、おずおずと切り出す。

「あれから何となく、口調を意識はしているのですが……。
砕けた敬語というのも難しいものですね。
自分でも何となく、まだ硬いのかなとは思うのですが……」
クリスマスに出かけた際に、
口調が硬いと言われ、そのことを怜奈は気にしていたのだった。

「なんだ、そんなこと考えてたのか。
真面目だな、おまえは」
「いえ、そんなことありませんよ。
けっこういいかげんなところもありますし」
「真面目な奴は全員そういうこと言うんだよ」
長曽禰は、声をあげて笑った。

「あのな、オレが言いたいのは、
つまり、普通に接してくれればいいってことだ。
お互い、生身の人間同士なんだからな」
「人間同士、ですか?」
「ああ。オレと月摘で、なにか大きな違いがあるか?」
そう言われて、怜奈は苦笑する。
「違いは、いろいろありますよ。
長曽禰さんは、立派な上司ですし。
教導団でのキャリアや……。
男女の違いもあります」

そう言ったところで、怜奈は、
「男女の違い」という自分の言葉を妙に意識してしまった。
(私、そのことも、意識しているのかしら……?)
振り払うように、冗談めかして続ける。

「それに、年齢の違いも」

「お、おまえも、オレを年寄り扱いする気か!?」
「だって、たしか、長曽禰さん、今年で」
長曽禰は、8月に不惑を迎えるはずだ。
「それ以上言うな!」
耳をふさいで首を振る長曽禰を見て、怜奈は、ぷっと吹き出す。

「……私も、大人になったと思っていたのですが。
案外、皆、そうでもないのかなって気がしなくもないです」
「そうだぞ。
だいたい、20代なんてオレから言わせれば、まだかわいいもんだ」
「そ、そんなことない……!」
言いかけて、怜奈は慌てて訂正する。

「……ありませんから!」
「かわいい」という言葉に無意識に反応したのだが、
そんなじゃれ合いをしている自分の意外さに、怜奈はハッとする。

「ほら、な」
長曽禰が、いたずらっぽくニッと笑う。
怜奈も、それに合わせて、笑顔を浮かべたのだった。