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リアクション
「……」
腰まである長い茶髪にすらっとした体つき、茶色いデニムに赤いホットパンツを身につけた少女がうつろな目でこちらを見ていた。
「ナンパのつもりが、藪から蛇が出てきたみたいね……」
セフィー・グローリィア(せふぃー・ぐろーりぃあ)はそんな女性を見ながらつぶやいた。
「ご無事ですか!?」
そこへ駆け込むようにして北都やクナイ達が飛び込んできた。
セフィーはそんな北都達に後ろ姿のまま手を振って無事の合図を送る。
「……ぐるるっ」
「え」
セフィーの前の方から、小さく、唸るような声が聞こえてきた。
まるで狼のような声、全員が警戒する。
「どこかに狼が潜んでるみたいだね……」
「前!」
周りを居回す北都に、吹雪は前方を指さした。
そこには先ほど、棒立ちで立っていた少女が居るのだが格好が変わっていた。
手を地面につけて、まるで狼のように四つん這いになってこちらを威嚇していた。
「まさか……人狼!?」
マリアは気が驚いた声を上げる。
人間の狼。まさに人狼になっているマリアには見えたので、まさかと思ったのだった。
「見ての通りよ」」
「見ての通りって言われてもねえ……って、え。その縄どこから?」
北都は、セフィーが縄をどこからとなく取り出したことに驚いた。
セフィーは威嚇する人狼に、怖がるどころか顔をにやけさせた。
「じ……人狼!」
「な、付いてきたの!?」
北都達の後ろで、先ほどのパン屋の娘が怯えた表情で立ち尽くしていた。
全員がパン屋の娘に気を取られていると、人狼は地面を蹴り、宙を飛んだ。
「逃げて!!」
北都が慌てて叫ぶ。
人狼は一直線にパン屋の娘へと飛ぶ。
「っ――」
「大丈夫ですか!?」
腕を押さえて座りこんでしまった娘にクナイは”ヒール”や”応急処置”するために駆けつける。
人狼の鋭い爪は容赦なく娘の二の腕に横一線切り傷を作っていた。
「ウォオオーーーーッ!」
人狼になった女性が、4本足で城下町へ向けて走り去ろうとしていく。
犬のように身軽に駆け走っていく女性に、北都や吹雪達は思わずあっけにとられてしまう。
しかし、1人だけ。セフィーだけはその行動を読み、”超感覚”で女性の前へ立ちはだかる。
が、体制を低くして走り抜けるため、捕まえる暇さえ与えず通り抜けてしまうと思えた。
「逃がさないよっ!!」
セフィーは声をあげると、片手で縄をくるくると回してほどくと、女性に向けて投げかける。
「え、あれ?」
人狼の吠える方を見て、思わずマリアは戸惑った。
いつの間にか、人狼となった女性は胸を強調するようにぐるりと縄を巻かれていた。
「あなた達の企みを教えてもらえるかしら」
「グルルゥ」
「答えなければかみ殺すわよ?」
「…………城。城が我ら住処。そこから人間達を襲う」
「そう」
セフィーは繋いでいるロープを持ったままさらに計画について問い詰めるが、それ以上の事ははぐらかされ答えを聞くことが出来なかった。
「ということは、城の入り口を固めれば大丈夫ってことだよねえ」
「はたして、そうでありますか?」
「え」
吹雪は地面をじーっと睨む。
「地下通路ね?」
コルセアの言葉に吹雪は頷いた。
マリアは、その様子を見てようやく一筋縄ではいかないと分かった。
なるほど、城の出口は門だけとは限らない、地下通路があった。
「とりあえず僕とクナイは図書館に行って人狼について調べてみるよ」
「そうですか……吹雪さんは?」
「自分は同じように人狼が出てこないかコルセアと回ります」
吹雪はそう答えるとセフィーを振り向いた。
相変わらず縄で縛った女性を触りながら、様々なことを問い詰めていたセフィーは吹雪にようやくして気がつく。
「ん? あたしは城にいくよ」
「で、その人狼はどうするんですか?」
「憲兵にでも預けるさ」
セフィーは笑って答えた。
このあと、北都達は人狼の住処が城であることを伝記から見つけることに成功した。
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