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人狼と神隠しとテンプルナイツ

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人狼と神隠しとテンプルナイツ

リアクション

 城の前で、マリア達は苦戦していた。
「グオオオオオオオオオオ、おまえたちにじゃまはサセナイ!」
 巨大人狼は指輪を何度も光らせ、人狼達を動かしていた。

元は一般市民……そんな彼らを傷つけるのは心が痛むね」
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)はため息をつきながら、襲いかかってくる人狼達を銀でできた棒で殴っていく。
 物理的ではあるが、傷つけずに気絶させる一番良い方法だった。
 それでも気絶しない人狼達も居るために、メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)はとどめと、”ホワイトアウト”で人狼達を凍らせていく。
「そうですね、しかしなんとしてもあれを倒さなければ……」
 メシエは向こう側に見える巨大人狼を見上げる。
 ただでさえ人狼にならないために、巨大人狼の半径1メートル以内に近づけない。
 そのうえで、ケガをさせられない人狼に襲われ。まさに翻弄されていた。

「オマエタチぜんいん、いけにえになれおおいなるもののタメニ!」
「このままじゃ……」
 マリアは、足はもつれ、手にもしびれをきたしており、もう戦う気力が限りなく削られていた。
 次第にマリアの周りには人狼が集まり、一斉に襲いかかりそうになる。
 もうだめかとおもったそのときだった視界に、マスクをつけた女性が入り込んだ。
「え……?」
 謎のマスクに、思わずマリアは理解が追いつかない。
 謎のマスクをつけた女性は”ブライトマシンガン”を構え、次々と人狼達の足下を打っていく。
 なぜか、血は出なかった。
 その後ろには、見覚えのある少年が槍を持ってつついている。
 これも、しっかり刺さっているはずなのに血は出ていなかった。
 (どういうこと……?)
 マリアの頭の中で疑問が渦巻く。あの仮面の正体は……いったい。
「あれ、そういえばあの人……?」
 少年に見覚えがあった、あれは紛れもなくコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)だった。
 ということは、あの女性は小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)らしい、証拠にはみ出ているさらっとした緑色の髪に見覚えがあった。
 周りに居る人狼達を一通り倒し終えると、美羽は近づいてきた。

「助っ人登場だよ!」
「美羽さん?」
「えっ、もうばれてた!?」
 思った以上に早く正体がばれてしまい、美羽は少し残念そうにマスクを外す。
「それ、いったい……」
「クルセイダーマスクだよっ! 知らない?」
 まったく知らないと、マリアは首を横に振った。
「グランツ教の闇……わかった、マリアには後で教えてあげるよ。今はとりあえず……」
 美羽はそのまま、人狼達、その奥にいる巨大人狼を見上げる。

 しかし、マリアにとって驚くことはこれだけで終わらなかった。
 突然、爆音が鳴り響き爆風と炎が巻き上がる。
「ふっ、汝は人狼なりや? ってか元は人間だったかも知れんが、容赦はしねぇよ?」
 柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)空へ浮かび上がり、高笑いをあげながら、人狼達へ向かって”トイボックス”による対戦車砲が連発される。
 次々と人狼達は吹き飛ばされていく。

 しかも、それだけではないもう一人、”空飛ぶ箒”により空から、星のような物が次々と人狼達へ降り注いでいく。
 人狼達は電撃を受けると、その場に次々と気絶していった。
「愛と正義と平等の名の下に! 革命的魔法少女レッドスター☆えりりん! 人民の敵は粛清よ!
 藤林 エリス(ふじばやし・えりす)は空を浮かび、”シューティングスター☆彡”を手加減しながらも次々と地上へと降らせる。
 地上では、思わぬ空からの奇襲に、エースとメシエが危険にさらわれていた。
「お、お嬢さん!! おてやわらかにっ!!」
 空に向かってエースは叫ぶと、エリスは「あら」と気がつき、シューティングスター☆彡をやめる。

「おいおい、そっちは町人がいるじゃねぇか! こっちへ行け!」
 が、暴走している恭也には届かなかったらしく、引き続き笑い声を上げながら次々と対戦車砲が発射していく。
 気がつけば、どうやら人狼は危険だと判断してなのか、対戦車砲の落ちてくる場所を予測して逃げていく。
 それすら、恭也は楽しみながら、町人の居ない場所へと誘導していっているようだった。
 まもなくすると、丸っこい戦車(M4)と角張った戦車(99式)が入ってくる。
「お、姉貴!」
「ったく、無茶な注文をしてくれるもんだ」
 角張った戦車(以降99式)の天井につけられているハッチから
上半身だけ体を出して、柊 唯依(ひいらぎ・ゆい)はため息をついた。
「しかしこれは……全力で迎撃したほうが良さそうだ」
 にやりと唯依は笑みを浮かべると、続けて不穏な言葉を続けた。
「それじゃあ、楽しい戦争、始めようか?」
 唯依は足下、ハッチの向こう側に向かってなにやら言葉を発すると、砲撃台がぐるっと回転し始める。
 それと、同時にまるで世界大戦を思わせるような爆風が各地で起こっていく。
 爆風の強さで思わず、建物の壁、窓が吹き飛ぶほどに。

「む、むちゃくちゃだ」
 コハクがジト目で、唯依と恭也を比べて見ながらつぶやいた。
 恭也は相変わらず笑いながら、唯依は軍師のように楽しそうに砲撃をぶっ放していた。
 最初はマリアも、容赦ない攻撃に慌てたが、今はもうどうでも良くなってしまった。
 (直接人狼にも当たってないようですし)



「ほら! なにをぼさっとしてるのよ!」
 空からエリスの声が響く。
「ボスをさっさと倒すわよ!」