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理不尽世界のキリングタイム ―デブリーフィング―

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理不尽世界のキリングタイム ―デブリーフィング―

リアクション

 また新たな犠牲者が出てしまい、状況は刻一刻と悪化していく。
 次第に生き残り達に焦りが出てくる。
「……この状況、拙いのだよ」
「ああ、拙すぎる」
 リリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)ララ・サーズデイ(らら・さーずでい)の表情にも、焦りが浮かんでいた。
「さてどうするのだ……このままでは何を言おうが結局は殺されるのだよ」
「くそッ! なななめ……あのボタンさえなければ……!」
 ララがなななが時折出すボタンに目を向ける。誰かを爆死させる際に押しているボタンだ。今は手になく、近くにあった台の上に置いてある。
「……ふむ、それなのだよ」
 リリが頷くと、こっそりと取り出したのは【おもちゃのリモコン】と【使い魔:ネズミ】だ。
「リリ、どうするつもりだ?」
「あのボタンが無ければいいのだよ。ララ、耳を貸すのだ」
 そう言うと、リリはララに耳打ちする。
「……成程。そういう事か」
 納得したように頷くララに、リリは紙の束を渡す。
「よし、実行するのだ」
 そう言ってリリは【ネズミ】にも何か指示を与えた。その指示を受けた【ネズミ】は敬礼し、【おもちゃのリモコン】を持って行動を始める。
「解った……ななな、いいか?」
 ララが立ち上がると、なななは「どうぞ」と促す。
「実は実は、私は研究所が敵でない事に気付いていたんだよ。だからトラブルシューティングでは人を傷付けなかったんだ。詳細はこのレポートに書いてある、読んでくれ」
 ララが紙の束を見せると、なななは「拝見しましょう」と受け取りペラペラとめくる。
「……ふむ……容疑者ララ、これは一体どういうことでしょうか?」
 だがすぐになななは紙の束からララを見る。
 紙の束は、本当にただの紙の束であった。中には何も書かれていない、真っ白なだけである。
「これはあれですか? 馬鹿には見えないとかそう言う類ですか? それとも、反逆者には見えるとか?」
「ああ、いや、それはだな……」
 肩をすくめて見せるララ。
「どうやら容疑者ララは反逆者のようですね……ん?」
 手を伸ばし、ボタンを掴むななな。だが違和感に手を見ると、
「あれ?」
掴んでいたのは【おもちゃのリモコン】であった。
「探し物は恐らくこれなのだよ、ななな」
 リリがなななに言う。その手にはなななが使っていたボタンがあった。
「ああ、そういう事ですか」
 納得したように頷くななな。それを見て勝利を確信したのか、リリが高笑いを上げる。その横にララが立った。
「貴様の武器は既にリリの手にあるのだよ」
「散々好き勝手してくれたが、もうこれで終わりだ」
「自分の武器で散るのだ、ななな!」
 勝ち誇るリリがボタンを押す。
「……あれ?」
「どうしたリリ、早く押すんだ」
「……押しているのだ」
 だがボタンを押しても何も起きない。
 なななは手に持った【おもちゃのリモコン】を見ると、リリに向けた。
「えいっ」
 すると、リリが爆散した。残機は無い為、復活は無い。
「な……!? ど、どういうことだ!?」
「いや、そのボタン単なる演出用のハリボテですし。別に押さなくても出来るんですよね。何でもいいんですよ」
「そ、そんな馬鹿な……!」
 慄くララに、なななは言った。
「例えば、こんなでも」
 そう言うとなななは指を鳴らす。
 直後、ララの身体が爆散する。リリ同様、ララも残機は無かった。
「……さて、いい加減デブリーフィングを進めましょう」
 そう言ってなななが皆に向き直った。