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リアクション
( ぐぎぎぎぎ……! 畜生、畜生畜生! リア充どもめぇぇぇ! 必ず爆発させてやるでありますよ! )
【歴戦のダンボール術】でいったん退避した吹雪は、中で休息をとることにしました。ここで諦めて退いたわけではありません。傷を癒し復活して、街中をツリーにするのです。
そんなダンボール箱を誰も気づかずに通り過ぎていきます。後は、時間がたつのを待つだけでした。
「ん、なんだこれ? えらいことムカつくダンボール箱があるな」
その夜、巷を騒がすテロリスト共の噂を聞きつけた狩生 乱世(かりゅう・らんぜ)は、ミニスカサンタの姿でやってきていました。
とはいえ、他のサンタ少女たちとは存在感と迫力が違います。暗黒オーラを立ち込めたダーク女王様の雰囲気をかもし出していました。クリスマスイベントのキャンペーンガールとしてバイトをしているのですが、客が怖がって誰も彼女に近寄って来ません。どういうことでしょうか。
「ヤベェな。客来ないとバイト代出ねぇぞ」
店長に、「ちょっと休憩してきて。いや、ずっと休憩していていいから」と言われて持ち場を離れた乱世は、道端に捨ててある段ボール箱が妙に気になり近寄っていきます。
「なんだ。ただの段ボール箱か。うん、ただのダンボール箱だよな」
LV110の吹雪が潜んでいる【歴戦のダンボール術】は、そう簡単には他人に察知されません。スキル効果で、乱世もその正体を暴こうと言う気は起きませんでしたが、無性に蹴りたくなってきました。
「とりあえず潰しとくか。邪魔だしな」
オラオラオラ! と乱世は吹雪の入った段ボール箱をガンガン蹴ります。
( ぐ、ぐごごごごごっ! )
なんか人の感触がしましたが、彼女は問題にしませんでした。ベコベコに踏み潰してちょっとすっきりします。
「腹立つなー。なんか全然理解されてねぇし」
キャンギャルのバイトのミニスカサンタは、乱世の世を忍ぶ仮の姿なのです。その正体は、賑わう街に蔓延る悪を人知れず拘束して警察へ引き渡し、カツアゲやらひったくりやらキャッチセールスやらの被害から人々を守る必殺仕事人なのだと彼女は自負していますが、善良な民衆たちはわかってくれていません。
「……」
まあいい、それも必殺仕事人の宿命なのだと乱世は納得します。
クリスマス・イブの美しい夜です。輝かしいイルミネーションにクリスマスツリー、その下を楽しそうな人々が通り過ぎていきます。そんな彼らの幸せを影から守るのが彼女の役目なのです。
「ん?」
ふと、クリスマスツリーの数が多すぎることに気づいて乱世は目をしばたかせました。
装飾された街頭のクリスマスツリーに混ざって、自分の“クリスマスツリー”を披露している男たちがいました。
「メリークリスマス!」
乱世を祝福して、トニーやツリー隊の男たちがやってきます。サンタ服のコートを広げており、下は何も身に着けていません。
「うわー」
彼女は嘲笑気味に眉をひそめました。その貧相さ残念さに大いに失望したからです。
「カリスマー!」
「どこがカリスマだ。クリスマスを祝福したいなら、もっと立派なの持って来いっての!」
「なんだと! これでもかー」
男たちは自分のツリーをしごいてパワーアップさせました。ますますびんびんにいきり立ちます。
「うぜぇぇぇ! 女子力ゼロのあたいが、そんな軽薄短小ごときでビビると思ったか? 跪け! この変態ドM豚野郎!」
乱世は問答無用でボコボコにしてやることにします。
「ぐはぁぁぁぁっっ!」
「そんなタマの小ささを他人のせいにしてるテメェに、サンタの大役が務まるかボゲェ!」
くわっ! と男たちをにらみつけながら、彼女は言います。
「何を言う。お前だって、一人ぼっちの寂しいクリスマスだろうが。彼氏いるのか、え?」
トニーは倒れながらもびしりと指差します。
「お前は、本当は“こっち側”の人間なんだよ。悔しいのぅ悔しいのぅ!」
「余計なお世話だこの野郎! 恋愛なんざ興味のねえあたいだが、他人を妬んで迷惑かけるほど落ちぶれちゃいねえ!」
容赦なくトニー達を血祭りに上げた乱世は、にんまりしと提案します。
「だが、サンタは無理でも『トナカイ』なら務まるかもしれねえなあ? なんたってトナカイは服着なくて済むからな!」
「な、なにするー!?」
ツリー隊の衣装をぶんどって、荒縄で拮抗縛りにしてやります。
「……小っさ! 拘束縄の縛りで隠れる程度でカリスマツリーなんて、それ何の詐欺広告?」
乱世はトニーを四つんばいにさせてまたがりました。
「ただし、ハーネス(馬具)は装着させてもらうがな! おら、走れトナカイ! 今夜のお前らは輝いてるぞ!」
乱世は【ニュートラルウィップ】でびしびし叩きながら、トニーたちを走らせ出しました。街行く人たちがざわめき戸惑っています。
「鞭で調教される姿を周囲に見てもらうのはどんな気分だ?」
「〜〜〜〜〜〜!」
「その身を蝕む妄執に酔い痴れながら、重いソリを引いてキリキリ走れ! このケダモノめ!」
高笑いの乱世は、トナカイたちと街中へと消えていきました。
サプライズ満載のイブを、通行人たちにも楽しんでもらえたようです。
ちなみに。
キャンギャルのバイト代は出ませんでした。
○
「せっかくパーティーの準備をして待っているのに、遅いじゃないか」
その夜、城 紅月(じょう・こうげつ)はプレゼントも万全に、ゲストの到着を待ちわびていました。
聞くところによると、彼の姉は雅羅たちと楽しいパーティーを満喫してきたとか。ひとりだけ仲間はずれとはなんたることでしょう……なんてことを言うはずもありません。
彼は彼でイブの夜を楽しむのです。
今夜もまた、変な奴らが出張っているそうです。テロの情報をしった紅月は【根回し】スキルでトニー達ツリー隊の情報を手に入れていたのでした。
「俺の家に来るのかな。待ってるよ……ふふっ」
おもてなしは喜んでくれるでしょうか。考えただけで興奮してきます。
罠を仕掛けて、スキル【光学迷彩】で潜んで待っていることしばし。
「酷い目にあったぜ。気晴らしに、この部屋でツリーを飾らせてもらおう」
ほうほうの体で逃げてきたトニー達が、紅月の部屋へとやって来ました。用心しながらこっそりと入ってきますが、紅月には気づいていません。そのまま【トラッパー】スキルが発動し、あっさりと捕獲されてしまいました。
「メリー・クリスマス。サンタさんだよ」
特製アイテムの【まっすぐドリンコJ】を飲みながら紅月が姿を現します。
「な、何だお前は?」
「そうつんけんするなよ。『体と心に消えない甘いお仕置き』をしてやるんだからさ」
前置きもそこそこに、紅月はさっそく刺激的なプレゼントを施し始めました。
「傷ついているじゃないか。街中でずいぶんと酷い人たちにイジメられたんだね。可愛そうに」
オリジナルに生成した【粘膜保護薬“聖夜”】のまろやかな感触が男たちの傷を癒し感度を高めていきます。
「俺は、他の人たちみたいに退治とか撃退とか痛いことしないから安心してよ。気持ちよくしてあげるんだよ」
身動きの取れないトニーたちに、紅月は【ゼゾナンド・ハイ】を着せてやります。
「自分だけ着てないって、恥ずかしいよね?」
こだわりたっぷりの紅月は、“着エロ”です。最近は、何でもかんでも脱がせばいいと考えている奴が多すぎる。そんな美学のないエロを紅月は好みません。
「イイ声で啼いてよ。二度と俺無しではいられないようにしてあげるから」
溢れる【開拓精神】でトニーの弱いところを開拓していきます。
この可愛そうなツリー男は、これまで社会から痛い目を見せられっぱなしだったのです。だから、こんなに捻くれてしまったのだね、と紅月はよく理解して優しく扱ってやります。荒々しく責めるのではなく、甘い感覚をしみこませるように弄び始めます。
「おおっぅ!」
トニーは、全身を走る快楽に身悶えしました。
「ほら。怖くないからね。力を抜いて、全て俺に任せてよ」
紅月の熟練の技術が、トニーに濃密な痺れを与えます。【貴賓への対応】で丁寧に愛撫して、ひと時の夢を見せてあげるのに十分なおもてなしでした。
「あ、あああっっ。……クリスマスがこんなに気持ちのいいものだったなんて……」
「そうだよ。もっといいことをしてあげるからね」
「はぁぁぁぁ……、最高だぁ……、俺のクリスマスツリーが、甘く破裂しそうだ……」
「遠慮せずに吐き出していいんだよ。昇天しても、まだまだプレゼントはあるからね」
何回イクかな〜、と紅月はクスリとしました。
【吸精幻夜】の効果もあいまって、トニーは愉悦に打ち震えます。
「♂×♂の熱い飛沫のホワイトクリスマスだね」
しっとりねっとりとした幸福のクリスマスの夜は過ぎていきます。
「いつも病院の方が忙しいですし、紅月には寂しい思いをさせてますから。今日は早く帰ってきました」
紅月のパートナーレオン・ラーセレナ(れおん・らーせれな)は、クリスマスの夜には紅月を喜ばせて上げようと、いつもより早く戻ってきました。きっと彼の帰りを待ちわびていることでしょう。驚かせてやりましょう。
「……」
部屋の扉を開けたレオンは、トニー達と楽しい一時を過ごす紅月を見つけ、微笑みます。
「紅月、何をやっているのですか?」
「……!?」
紅月は、とても驚きました。早く帰ってきた甲斐があったというものです。いや、そうではなくて。
「彼らは、どちら様ですか? なんだか、つまみ食いをしているように見えますが」
「い、いや、クリスマス・テロで」
紅月の台詞にレオンはやれやれ、と首を横に振ります。テロとか何をわけのわからないことを言っているのでしょうか。
「紅月、テロって何です? そんな言い訳は聞きませんよ」
「いや、本当だって」
「あくまでそう言い張るつもりですか。そうですかそうですか……」
トニーにはスキル【裁きの光】を浴びせて沈黙させておいてから、レオンは笑顔で迫って来ました。
「それ程に私のお仕置きが欲しいのですね。わかりました。たっぷりと啼かせてあげますよ」
レオンは紅月が使っていた【粘膜保護薬“聖夜”】を見つけて手にとりました。
「準備がいいですね。待っていたのですね」
微笑のレオンは紅月を抱きすくめます。紅月が息遣いも荒く何か言っていますが、もう聞こえません。
「え? 俺に使うな? 何を言ってるんです。使わないと痛いですよ」
じたばたと騒ぎ始めた紅月を、レオンは優しく押し倒します。
「医者の言う事は聞きなさい」
紅月に“お注射”をしてあげましょう。
「私だって溜まってます。ホワイトクリスマスしましょうね」
「あ、あああっっ」
今度は紅月がイイ声で啼く番です。
じっくりこってりと、搾り取られるようなホワイトクリスマス。
素敵なパーティーを楽しんだのでした。
こうして、イブの夜はつつがなく過ぎていきましたとさ。
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