リアクション
◆エピローグ:むしゃくしゃしてやった。もちろん反省はしていない。
「ねえ、みんな見て見て! サンタさんが来てくれたの!」
夜が明けると、ルシアは自室にみんなを招いて、改めてクリスマスパーティーを開きました。
それほど広い部屋ではないのですが、それなりに楽しめそうです。それぞれが食べ物や出し物を持ち込んでわいわい盛り上がります。
ルシアは、昨夜配られたプレゼントを一つ一つ嬉そうに見せてくれながら、目いっぱい感謝の意を表していました。
その喜びっぷりに、サンタ役を引き受けた者たちは、自分まで嬉しくなってきそうです。
「ありがとうサンタさん。こんなにたくさん。私昨夜のことは忘れないわ」
「よかったですわね。ルシアの想いがサンタさんに届いたのですわよ」
エンヘドゥの言葉に、皆が頷きます。サンタ役は、なんとなく目配せをし合い微笑んだのでした。
「クリスマスの奇跡ですわね。私も一時ながら、人間の姿に戻ることが出来て楽しかったですわ」
魔法の時間が切れて、またモモンガに戻ったブリュンヒルデですが、よいクリスマスイブだったと頷きます。
「ところで、私にキスをしてくださった方は、どなただったのでしょうか?」
○
さて、ここは空京にある病院の一室。
あのモテない二人組みは、いつも通り全身包帯ぐるぐる巻きの状態でベッドで寝ていたのでありました。
夜這いテロを敢行したものの、結局見つかってしまい、靴下に詰めて川に流されていたのです。ここに運ばれてきたのは、もう決まっていたことでした。
さわやかなクリスマス当日の日の光が窓から差し込んできています。
楽しかったイブの夜を思い出して、少年は呟きました。
「イブの夜に誰かにプレゼントするって、いいもんだな。俺、幼女ぱんつ手に入れたよ」
「それ、プレゼントされてるし。その後棍棒持ったお父さんにボコボコにされたんだって? 後で返して来いよ」
「大丈夫だって。代わりに俺のぱんつあげてきたから。自分の履き古した靴下に入れて、な。サンタのぱんつなんて普通は手に入らないぞ」
「プレゼントじゃなくて、ゴミを置いてきただけか」
「ほぼ全て失敗だったが、返り討ちにされた他のフリー・テロリストたちも結構充実した夜を送ったみたいだな。今度みんなで寄り集まって、自分で買ってきた抱き枕に夜這いするんだ。これは萌える」
「自己完結に辿り着いたなら大変結構だ。また大勢に迷惑かけたけど、こうして隔離できれば問題なさそうだし」
「ツリー隊とか言う連中も、真っ白になって燃え尽きたんで満足しただろう」
「今度、皆で寄り集まってツリー鑑賞会を身内で開くらしいな。これはこれで、完結ってことか」
「それにしても、お前はいつまでテロに付き合うつもりなんだ。おかげでボロボロだろ」
「相変わらずわかってないな。二人の仲じゃないか……」
そう言うと、片方はまたしても不自由な身体でにじり寄っていったのでした。
用意してあった大きな靴下に入り、隣の少年の布団へともぐりこんで行きます。
「イブの計画が終わったら渡そうと思っていたんだ。おれ自身のプレゼントを。受け取ってくれるよな?」
「……え、いや、だからやめろ。そんなバカな」
「何度も言ってるだろ……。オレ、ずっと前からお前のこと……」
「いや、待て落ち着け。じわじわと擦り寄ってくるな」
そしてまた、少年の悲鳴が狭い病室こだまするのでありました。
「アッ―――!」
メリー・クリスマス!
皆さんのクリスマスはどうだったでしょうか。
そして、恋人達がいつまでも幸せでありますように……。
夢が叶いますように。
皆様、おつきあいありがとうございました。
車修理です。皆さまにはいつもお世話になっております。
今回はコメディ調でお送りいたしました。
全体的に軽めの描写になっています。
濃密なシーンやシリアスな描写を求めておられた方は物足りなく思うかもしれませんが、ご容赦ください。
例によって『アレ』な感じのシーンも満載です。
「なんてこった!?」と笑って許していただければありがたいです。
なお、今回も個別コメントは一切書いておりません。リアクション描写のまま受け取っていただいて結構です。
いずれにしても、このリアクションがあなたと楽しいひと時を過ごせるよう祈っております。
またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。