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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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 ヴァイシャリー 某所
 
『おうおう、始まったな。景気の良いことで』
 強盗 ヘル(ごうとう・へる)アルマイン・スカウターのコクピットで呟く。
 迅竜からの全武装一斉発射により、bisタイプから離れて独自行動していた“ヴェレ”たちはその場に足止めされている。
 アルマイン・スカウターは彩竜の護衛を担う重要な機体だ。
 そのメインパイロットであるザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)は決意を込めて言う。
『いきなり厳しい戦いですが……この機体ならやれます! 行きますよ、スカウター!』
 
『ちょっといいかな?』
『少し話があるんでな』
 通信帯域へと入ってきたのは黒崎 天音(くろさき・あまね)
 そしてその相棒ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)
 愛機イスナーンを駆って独自に救援に駆け付けた彼。
 彼は金鋭峰にタシガンや駐留武官の件で世話になったという理由もあり、念竜と彩竜の件では少しばかり協力していたのだ。
 研究所にいた彼は、念竜と彩竜のテストパイロットを経験した。
 その経験から得られたものを、彼はすぐ近くで戦う彩竜のウォーレンへとアドバイスしていく。
 
 アドバイスが功を奏し、彩竜から送られてくるデータはより鮮明なものとなる。
 それに満足したように微笑むと、天音は機体の首を僅かに動かし、百合園女学院の方を向かせる。
『ラズィーヤさんは、どんなに大変でも微笑みしか見せないだろうけれど……少しでも助けになりたいね』
 
 その言葉に応えるように、ヘルが言う。
『もちろんだ!』
 
 すると今度は、玖純 飛都(くすみ・ひさと)が通信へと入ってくる。
『よければタイミングを合わせてくれ。前回試験運用した有機メカの改良版を使う。上手くすれば更に戦い易くできるはずだ』
『これなら発見しにくくそれ自体は全くの無害。故に散布してもまず気付かれません。レーダーに映らないものでも発見できます。しかし、味方、特に竜シリーズへの影響は?』
 すかさず飛都の相棒――矢代 月視(やしろ・つくみ)が確認する。
『だからこそ迅竜に防衛機能を組み込み、影響下に置く事でそれを避ける』
『上手くいけば敵機を自滅の形に追い込むことも可能ですか』
『敵機の構造がはっきりしない以上前回以上の確約は出来ないな。敵が、例えば機晶脳化とかオーバーロードのようなスキルを使うか、人と機械を接続させたり機体と契約するような機能を使ってくればこちらにとっては理想的以上の…パイロットも巻き込んだ効果が期待できるんだが』
 
 するとヘルが豪快に言う。
 
『細かいことはいいんだよ。お前等が秘策を用意したってんならそれを信じるだけだ。そうだろ、ザカコ?』
『ええ。もちろんです!』

 この言葉を合図としたように、“ヴェレ”へと向かうアルマイン・スカウター。
『見えなきゃ無敵に見せられるかもしれねぇが、もうそれは通じないぜ。見付けたぜ! そいつの力場の薄い場所を! お宝を見付けるのは俺の得意分野だぜ――やれ、ザカコ!』
『ええ』
 応えると同時、ザカコは迅竜格納庫にて待機する者達へと通信を入れる。
『みんな、行きますよ!』
 待機する者達――イルミンスールの後輩たちがザカコの合図を受けて一斉に飛び出す。
 アルマイン隊の総攻撃だ。
 
『行くぞ!』
『ザカコ先輩を援護するんだ!』
『先輩に続け!』
 
 五機のアルマイン・マギウスからのマジックカノンが“ヴェレ”を撃つ。
 次いで五機のアルマイン・ブレイバーがマジックソードで次々に斬りかかる。
 
『先輩!』
『今です!』
 
 そして、アルマイン・ブレイバーがすべて安全圏へと飛び退ると同時。
 アルマイン・スカウターが超高速機動からカタールで斬りつける。
 
『自分もいきます!』
 
 彩竜からのサポートによって障壁の薄い場所を見抜かれた“ヴェレ”が一連の攻撃を防げるはずもなく。
 イルミンスール生の連携によって、見事に“ヴェレ”は撃破されたのだった。