校長室
【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために
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同時刻 レティーシア家 客室 「頑張ってください……とは言いません。ただ、無事に元気になってくれさえすればそれでいいんです」 結和・ラックスタイン(ゆうわ・らっくすたいん)はベッドに眠る二人――董 蓮華(ただす・れんげ)と遠野 歌菜(とおの・かな)を優しげに見つめた。 だがその瞳は哀しげでもある。 ――ソーサルドクター。 それは、結和だけにしか辿りつけない境地。 そこへと辿り着いたことで、彼女はアヴドーチカ・ハイドランジア(あう゛どーちか・はいどらんじあ)から迅竜医療セクション班長の任を受け継いだ。 今では、エメリヤン・ロッソー(えめりやん・ろっそー)とアンネ・アンネ 三号(あんねあんね・さんごう)に助けられながら医療セクションを背負って立つまでになった。 新たな班長となった彼女が最初に行った治療が蓮華の治療だった。 科学と魔法の二つの長所を併せ持ち、患者を内部から治すことが可能な彼女の能力。 このおかげで、傷つき痛み、焼けついていた蓮華の神経は元通りになるまで回復した。 後はリハビリを残すのみだ。 彼女をずっと見つめ続けているスティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)の目は優しい。 ゆえに蓮華はまだ心配はいらない方だ。 問題なのは歌菜。 先日の戦いで大量の怨念を心で受け止めてしまったせいだろう。 今も彼女は眠り続けている。 そして、その傍らには月崎 羽純(つきざき・はすみ)が今も付き添っている。 そのまま羽純はずっと歌菜の手を握り続けていた。 今は緊急時ということもあって、鬼龍 愛(きりゅう・あい)も手伝ってくれている。 それが結和には嬉しかった。