リアクション
○ ○ ○ 数日後。 「何がいいかしらね……。システィ、これと思うものがあったら教えてね。私より瑠奈と仲がいいんだし」 「ん? ……ああ」 橘 舞(たちばな・まい)のパートナーのブリジット・パウエル(ぶりじっと・ぱうえる)はシスティ・タルベルトと共に瑠奈の部屋を訪れた。 瑠奈の部屋はオレンジ色を基調とした、明るい雰囲気の部屋だった。 クローゼットの他に洋服ダンスがあり、床の一部にはい草のラグが敷かれている。 ハンガーラックには百合園の制服や、普段着がかけられていて。 机の上には教科書やノート、文房具といった勉強道具と、写真立てなどが整えられて置かれていた。 円が話を通してくれていたお蔭で、問題なく部屋に入ることができ、サーラ、モニカと共に瑠奈の部屋の中を探していく。 ブリジット自身は、瑠奈の記憶を呼び戻せるような品物を選ぶことが目的だった。 システィは自ら選ぼうとはせず、部屋の中や瑠奈の机の上に飾られた写真、ブリジット達の様子を眺めているだけだった。 「瑠奈はあんな状態だけれど……あなたは元気でよかったわ」 選びながら、ブリジットはサーラに話しかける。 「とにかく、瑠奈を見つけた以上私にも責任があるし、瑠奈には記憶を取り戻してもらわないと困るのよ。 退団願いも渡せないし……」 「退団?」 それまで黙っていたサーラが聞き返してきた。 「ええ。元々幽霊団員みたいなものだったしね。瑠奈の考えには賛同できないし、辞めるわ白百合団」 「どうし、て」 か細い声で、サーラはブリジットに問いかける。 「辞めなくても生徒会執行部は、春にはなくなる予定よ。瑠奈はいなくなるのよ? ……ブリジットさんとか、パラミタで生まれ育った人達にもっと受け入れてもらえるようにって、瑠奈は頑張ってた。 白百合団は、地球人の子供がリーダーの団体だった。それを、瑠奈はパラミタ人の指揮のもとの団体としようとしている。ブリジットさんはそれが嫌?」 「それが嫌なんじゃなくて……まあ、私も瑠奈の考えを理解しきれていないかもしれないわね。 でも、こういう話も瑠奈としなければ意味がないでしょ」 ため息をつきながら、ブリジットは瑠奈の持ち物を見ていく。 「私はともかく、皆には瑠奈がまだ必要なのよ。ティリア1人じゃ団をまとめきれない」 瑠奈の持ち物を見ながら、ブリジットは記憶の中の瑠奈に語りかける。 「あなたを必要としている人たちがいるのに……あなたは恋人のこととか、団を去って自分だけ姿消そうとか……挙げ句に記憶喪失なんて……。 あなたは無責任で身勝手よ」 (ねぇ、あなたどこにいるの?) ブリジットは心の中で瑠奈に呼びかける。 森の中で見つけた瑠奈は、以前の瑠奈と違い過ぎた。 彼女の心はどこに在るのだろう――。 |
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