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【終焉の絆】滅びを望むもの

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【終焉の絆】滅びを望むもの

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先行偵察
 
 洞窟内部。少し進むと、道は枝分かれていた。
 セレンたち、翠たちは別々の場所へと向かった。

「敵の殺気が満ちているわね」
「まあそんなものでしょう」」
 洞窟内部にいち早く入っていったセレンとセレアナは敵の気配をひしひしと感じていた。
 隠そうともしない殺意が彼女たちを嘗め回すように見ていた。
「……随分と入り組んでるわね? 壊して真っ直ぐな道にすればいいんじゃないかしら?」
「それで洞窟が崩落なんてしたらどうするのよ」
 セレンの発想にセレアナが突っ込みつつ、二人は曲がり角を曲がった。

 ザザッ

 と、二人の後方からバスターゴブリンが数体姿を現した。
 速やかに、忍び足で二人を追い曲がり角を曲がるバスターゴブリン。

 チャキッ――

「ハロー。そしてグッバイ」

 ザシュ

 大剣がバスターゴブリンの喉元を貫く。その顔は、安らかそうなものだった。
 セレン達はこの伏兵に気付いて、わざとおびき出したのだ。
 いきなり攻撃に仲間がやられ、驚きを隠せない生き残ったバスターゴブリン。
「戦場で突っ立ってると、死んじゃうわよ?」
 セレンの希望の旋律の切っ先が次なるバスターゴブリンを永久の眠りにつかせる。
 最後に生き残ったバスターゴブリンがあまりの戦力差の前に、無様に逃げ出す。
 その情けない背中に、青のリターニングダガーが刺さる。
 小さく呻き声をあげるバスターゴブリンの背中へ、セレアナが走る。
「逃げるべきタイミングは考えた方がよかったわね」
 バスターゴブリンの心の臓を背後から貫くセレアナ。
 刺さった星印の剣を引き抜かれたバスターゴブリンはドサリと倒れ、二度と動くことはなかった。
「死体処理、お願いね」
 セレンの命を聞いて、付いてきていた部下達が即座に死体処理を行う。
「にしても、結構入り組んでるのね。……さっきのお嬢ちゃんは平気かしら」
 セレンはマッピング情報をまとめながら、自分のすぐ後に入ってきた翠の事を軽く気にかける。

「洞窟を制覇するなのー!」
 セレンの思いとは裏腹に翠はすごぶる元気に洞窟を進行していた。
 手に持っている銃型HC弐式・Nでマッピングを行いながらルンルン気分で進んでいく。
「やっぱりこうなるのね……ユーフェミアも好奇心が疼いてるようだし」
「まぁ〜やることをやっておけばぁ〜いいんじゃないですかねぇ〜」
 頭を抱えるミリアと、至ってマイペースに話すスノゥ。
 二人の視線は先行する翠とユーフェミアを見守っている。
「何かあったら、お願いするわね」
 ミリアは自分が連れてきた部下達に声をかける。
「ふんふんふーん♪」
「それ何の歌?」
「探検のテーマなのー!」
 翠が勝手に探検のテーマソングを作り、歌い始める。
 その歌に誘われたかどうかはわからないが、前方からバスターゴブリンがやってくる。
「……そうよね。入り口であれだけいたんだから、内部にもたくさんいるわよね」
「まあまあ〜幸いそう数は多くありませんしぃ〜ちゃちゃっとぉ〜やっちゃいましょう〜」
 と、二人が話し込んでいる内に、翠がデビルハンマーをフルスイング。
 一体のバスターゴブリンがそれにぶちあたり、天井にぶつかって床に落下する。
 ピクピクと痙攣しているが、起き上がってきそうにはない。
「援護しましょうかぁ」
 スノゥが和やかに微笑みながら、七つの大罪が一つ“暴食”の力を借り、敵を喰らい尽くす。
 ぴぎぃと叫び声をあげながら、現れた巨大な口へ銃弾を乱射するバスターゴブリンだが、
 弾の無駄に過ぎず、そのまま為すすべもなく倒される。
「これで先に進め」
「……! ユーフェミア、翠! 今すぐ下がって!」
 ミリアが叫ぶ。二人は不思議な顔をしながらも後方へ下がる。
 それを確認したミリアはトリニティ・ブラストを前方へ発動。
 火、氷、雷の同時攻撃。それに晒されたのは無謀に走りこんできていたバスターゴブリン。
 と。

 ドガァアァンッ!!

「ば、爆発したなのー!」
「崩落するかも……! 皆、頭上に気をつけてっ!」

 崩落する可能性に備えて、その場で身構える四人。
 だが、何も起こらない。洞窟で崩落した箇所もなさそうだ。
「なんとかぁ〜なりましたねぇ〜」
「ええ。結構頑丈な作りなようね……その情報も送っておきましょう。
 って言うわけだから、くれぐれも気をつけて」
 ミリアが翠に注意をしようとするが、当の本人は元気に前進していた。
「気をつけながら、探検なのー!」
「……私が気をつければいいか。じゃあ情報を送りましょう」
「はい〜」
 ミリアたちは爆発時の情報もまとめ、洞窟内部の情報を仲間に送った。