校長室
こどもたちのおしょうがつ
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「おなかいっぱい……うーん……ちょっとねむいかも……」 大きなうさぎのぬいぐるみと一緒にご飯を食べたセルマちゃんが目をごしごしこすっている。 「眠っていいですよ。後でお布団に運んであげますから」 「この子もいっしょにねるー……」 「いっしょに、運びますね」 鈴子の優しい声に、こくりと頷いた後セルマちゃんは横になって目を閉じた。 うさちゃんを抱っこしたまま。 「いっしょ、いっ……」 そして一緒、一緒とつぶやきながら、深い眠りに落ちていった。 「お疲れ様。どうぞ」 子供達がお風呂や、寝室に向かっていき静かになった頃、紫音は大人達に、デザートとホットココア、甘酒などの甘い飲み物を出していく。 「ありがとうございます」 鈴子はココアを受け取って、ほっと息をつく。 子供達は可愛いけれど、ひっぱりだこだったせいで、彼女もとても疲れていた。 「いっしょにねてきていいよ! あとのことはまかせてねーっ」 そう鈴子に声をかけたのは首謀者のリーアだが……。 「みんなかわいがってあげるんだから〜♪」 何故か、彼女も6歳くらいの子供になっていた。 「みんながねたら、いっしょに森にあそびにいくのでございますよ〜」 そして、いよちゃん(壹與比売)にぐいぐい腕をひっぱられている。 「ふふ……みなさんを寝かしつけて、一緒に休ませていただきますわ。リーアさん達はどうか危ないことだけはしないようにしてくだいね」 「あたりまえよー。ねー、いよちゃん」 「あぶなくなくあそぶのでございますよ〜、リーアちゃん」 リーアちゃんといよちゃんは顔を合わせて笑いあう。 「看てるから大丈夫だよ」 微笑みながら、紫音が鈴子に小さな声で言う。 「よろしくお願いします」 微笑みながら、鈴子は紫音に頭を下げる。 そして、セルマちゃんを抱き上げ、子供達の寝室へと向かうのだった。 「甘いデザートまだたくさんあるぞ〜。けど、食べ過ぎないようにな」 お外に飛び出しそうな子供達を、セルマはスイートポテトやぜんざいで引き止めていく。 もう日が暮れてしまったから。お遊びの時間は終わりなのだ。 「……さむいよぉ、おねえちゃんおふろ」 遅くまでお外で遊んでいた外見4歳のそうじくん(弥涼 総司(いすず・そうじ))は、半泣き状態でガタガタ震えながらログハウスに戻って来た。 「おお、すぐにお風呂に入れてやろう」 すぐに駆け寄ってきたのは……アーデルハイトだった。 「ううううっ、うわーーーん、うわーーーん」 途端、そうじくんは大声で泣き始めてしまった。 「こりゃ、急いで風呂場に……」 「やーだーーーーっ。うわーん」 泣きながら、そうじくんはログハウスの中を駆け回り始める。 泥だらけなので、お家の中が汚れていってしまう。 「うぬぬ、それ以上動き回るようなら、体を凍りつかせてしまうぞ?」 アーデルハイトが脅しても、そうじくんは泣き止まない。 「だめですよ!」 子供達用の寝室から鈴子が駆け付け、そうじくんを捕まえる。 「おねえちゃん、おふろー!」 途端、そうじくんはぎゅっと鈴子に抱きついた。 鈴子がつけていた桃色の割烹着が汚れてしまった。 「こんなに冷たくなってしまって……早く温まりませんと」 しかし、そんなことは気にせず、鈴子はそうじくんをお風呂へと連れていくことにした。 「あたま、ひとりであらえなーい。だれか、あらってくれー!」 そこに、シャンプーパットを首に下げた外見6歳の男の子、がりゅうくん(武神 牙竜(たけがみ・がりゅう))が走ってきた。 がりゅうくんは、はだかんぼうだった。 「はいはい、手伝わせていただきます」 「それじゃ、たのむかの」 鈴子がそうじくんとがりゅうくんの手を引いてお風呂に向かおうとし、アーデルハイトは子供達の世話に戻ろうとするが。 「んんん……ちぇんじ!」 突如、がりゅうくんは鈴子の手を振りほどいた。 「チェンジ?」 鈴子が不思議そうな目でがりゅうくんを見る。 がりゅうくんはこくりと頷いてこう言った。 「ちぇんじ!といえば、こうたいなんだって言ってた! そのあとにシスターさまにおこられてたけど、おとこならおぼえておけって! せいしょのありがたいおことばなんだって!」 がりゅうくんを育ててくれた、神父さんからのありがたい教えだそうだ。 「そんな教え聞いたこともありませんが……」 鈴子が眉を寄せ、アーデルハイトの方を見る。 「ありがたいおことばかのう……」 アーデルハイトは何故かため息をついていた。 「きれいなおねーさん、てつだってー!」 がりゅうくんはアーデルハイトに飛びついていく。 「そうね、やっぱり入浴はアーデルハイト様にお任せしようかし……」 「うわーーーーーん!!!」 鈴子の言葉を大泣きでそうじくんが抵抗する。 「おとなの、でっぱいはあらってもらうときにぶつかってじゃまなんだぞ!」 「おとなのひとがいいんだもん!!」 がりゅうくんとそうじくんは、女性のお胸の好みの問題でもめ始めてしまう。 「よいよい、時間はかけれぬが2人で手伝えばいいのじゃろ」 吐息交りにアーデルハイトが言うと、がりゅうくんとそうじくんは顔を輝かせて「うんっ」と、とっても元気な返事をした。 「冷えた体に温かいお湯を突然かけると、痛いですから。温いお湯からかけますよ」 鈴子は優しく、裸のそうじくんにお湯をかけて体を温めてあげていた。 「お湯を流そうかの。目、つぶってるのじゃぞ?」 アーデルハイトも丁寧にがりゅうくんの頭を洗ってあげていた。 ただ勿論。 二人とも、この子供達の本当の姿も知っているし、記憶が残ることも知っているのだから。 裸になって入ってくれるようなサービスはしてくれなかったっ。残念! 体を洗ってもらった後、そうじくんとがりゅうくんは一緒に湯船に入って、掛け合いっこをしたりして遊んだ。 だけれどすぐに飽きてしまい、ちぃぱいとでっぱいについて語り合いながら、湯船の中でうとうとしだす。 鈴子がなかなか上がらない二人を案じて、様子を見に行ったところ。嬉しそうな微笑を浮かべながら、二人は眠っていたという。 お湯の中で見た夢の中では……好きな子と一緒に楽しくお風呂に入っていたようだ。 「きゃーっ」 「えっち、えっちー! へんたいー!!」 「なんじゃ!?」 子供達の叫び声に、慌ててアーデルハイトが駆け付ける。 「や、やめなさ〜い!」 子供達用の寝室の中で、ちょうどエリザベートが魔法を放とうとしていた。 「やめるのは、魔法もじゃ!」 アーデルハイトの言葉に、エリザベートの手が止まる。 瞬間、外見6歳のきりくん(七刀 切(しちとう・きり))が、エリザベートの胸にタッチ! 即、後方へと跳ぶ。 「これはこれでぐっとだよぉ」 そしてバッと駆けていき、他の女の子達の胸にもタッチし、隙あらば揉みまくっていく。 「こどもの悪戯じゃししかたがな……」 そういうアーデルハイトの元にも、きりくんはジャンプしてきて、胸にタッチする。 「エリザベートとおなじくらいだねぇ。わるくないよぉ」 途端、アーデルハイトのこめかみがピクリと動いた。 「アホなことしとらんで、もう休まんかい!」 べちんと、アーデルハイトはきりくんのお尻を叩いた。 「うええええーん。ぶったーーーー」 きりくんはお尻を押さえて泣き出してしまう。 「皆びっくりしていますよ。もう休みましょうね」 鈴子が駆け寄って、きりくんの頭を撫でていく。 途端。 「……しょーらいにきたいだねぇ」 きりくんは鈴子の胸をもんで、にへらと笑みを浮かべた。 鈴子の胸は日本人の標準よりちょっとだけ大きいくらい。きりくんの好みではないようだ。 「………………………………ねましょうね」 にっこり。 鈴子は微笑んで、きりくんを隅の布団に押し込んだ。 そして、子守唄を歌って、寝かしつけたのだった。 目が覚めた後……きりくんは土下座をするも、女の子達に袋叩きにされたという。