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デスティニーパレードinニルヴァーナ!

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デスティニーパレードinニルヴァーナ!
デスティニーパレードinニルヴァーナ! デスティニーパレードinニルヴァーナ!

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序章


 ニルヴァーナ。
 伝説の大陸と謳われ、一万年の時を経て開かれた回廊から足を踏み入れると文明は失われていた。
 自然すら捻じ曲げられた大地に、経営者ヴォルト・デスティニーは「ニルヴァーナにも素敵な夢を」とデスティニー・セレスティア(デスティニーC)を設立したのだが――ごらんの有様である。
「閑散、ってやつだな」
 まだ開園には早い時間帯。
 それでも開園待ちの客一人さえ居ないゲートを見て浦安 三鬼(うらやす・みつき)は言葉を漏らした。
 荒廃した大地へ無造作に建てられたオープンゲート。
 グランドオープン当初のニルヴァーナ事情もあり、人々に忘れ去られた娯楽施設。
 つまりこのデスティニーCはそういう状況なのだ。
「これはまた、再建に骨が折れそうだぜ」
「そんなことじゃ駄目だよ三鬼!」
 零した嘆息に魔威破魔 三二一(まいはま・みにい)は腰に当ててていた手を突きつけると、
「あたしたちは骨折しても笑顔でいなきゃいけないの! 遊園地は笑顔と夢に溢れた空間なのよ! 皆に笑顔や夢を与えるには、あたしたちが笑顔と夢を持たなくちゃ!」
 目を輝かせて硬く拳を握った。
「いや、今のは言葉のあやなんだが」
 三鬼はそう突っ込むのだが、三二一は本当に言葉通り骨折しても笑っているのだろうと予測出来てしまう。彼女はそれほどの情熱を遊園地に注いでいる。それを知っているから、「ま、俺も手伝うけどよ」と三鬼のモチベーションも上がっていた。
「あら? 珍しいところで会うわね」
 そこへ話しかけてきたのは、白い髪を左に纏めた多摩 黄帝(たま・きてい)。二人を見止めると、奥にあるものに気付いた。
「ここって、もしかして遊園地?」
「そうだぜ」
「でも、えらく寂しい状態ね……ひょっとして――」
「デゼニ、もとい、三二一! パラミタだけじゃ飽きたらず、こんなところまで遊園地を作っていたのね! 全く油断も隙もあったものじゃないわね」
 話を遮ったのは穿蛇亜 美々衣(せんたあ・みみい)だった。黄帝とほとんど変わらぬ容姿。区別を付けやすくするためか、美々衣は白髪を右で纏めている。
 そんな彼女から好戦的な視線を向けられた三二一だったが、
「作ったのはあたしじゃなくて、デスティニーさんだけどね」
 さらりと受け流す。
 負けず嫌いな美々衣は尚も食い下がろうとするが、
「やっぱりデスティニーだったのね。通りで。また手伝わされているのね。お互い苦労するわね……」
 黄帝の同情に返した三二一の言葉。
「遊園地は夢の国なのよ。それを活気付かせるなんて、素敵なことだと思わない?」
 それを聞いてしまうと争うよりも違う気持ちの方が膨らんでくる。
「例によって失敗ってやつね。仕方ないわね、協力してあげるわ」
「ありがとう! 美々衣や黄帝が居てくれると心強いよ!」
 ここに夢のタッグが結成した。
「ところで私、思うのだけど、デスティニーって経営能力無いんじゃ……?」
「……言ってやるなよ。おっさんにだって事情があるんだ」
「そ、そうね」
 確信をついた黄帝の質問は三鬼によって流されることとなった。
「さあっ、パレードまで時間が無いわ! 早速準備よ!」
「って、まだ開園さえしてないぜ?」
「甘いわ三鬼! 砂糖にコーヒーを入れるくらい甘いわ!」
 ビシッ! 風切り音までさせて指差す三二一。
「来てくれた皆を楽しませるにはそれまでの準備も大事よ! アトラクションの改修に協力してくれる人たちが大勢居るわ。その中でもパレードは大トリを飾るイベント! それらに負けないくらい大々的なものにしないと!」
「三二一の言う通りだわ。私たちも着替えてパレードに備えましょう」
「そうね」
 そんな話をしていると、
「ねえ、あれってもしかして……」
「三鬼と三二一じゃない!」
「遊園地の神様だ!」
「わあっ! 握手、握手!」
「私は写真を!」
 何故かわからないが、歓声と共に人が近寄ってきだした。
「ほらっ、早速お客様が来てくれたわ! 皆、頑張りましょう!」
『ええ!』
 駆け足で関係者ゲートへと向かう三人。
 その後ろを追う三鬼はポツリと一言。
「良く考えたら、それってただコーヒー味の砂糖じゃねぇか」
 そりゃ甘いわ。