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神楽崎春のパン…まつり

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神楽崎春のパン…まつり
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○     ○     ○


 パーティは遅くない時間に、お開きとなった。健全な学生達のパーティなので。
 お土産や衣類を受け取って、協力者達は帰宅していく。
 片付けを手伝って、残ってくれている者もいた。

 パーティが終わって、少し経った頃。
 神楽崎優子は来客の知らせを受け、自室へと戻った。
「遅くなってすまない」
 部屋の前にいたのは、――武尊だった。
「車の調子が悪くてな……あと、これの確保にも少し手間取っちまった」
 武尊が差し出したのは、白百合商会から回収した衣類。アレナのものとしてネットで取引されていたものだ。
「ありがとう。すまない……体調、優れないんだろ?」
「ん? いや、身体の調子は悪くない。ただ今日は一つ、頼みがある」
「何だ? 何でも言ってくれ」
 優子の声は優しかった。
 彼女は武尊が不治の病にかかっていることを知っているから。……病名は知らないけれど。
 世話になってきた彼に、出来る限りのことをしてあげたいと心から思っていた。
 武尊は拳を握り締めて、吐き出すように言う。
「君が吉永番長と相思相愛の仲だって事は知っている。だが、知っていたとしても行動せずには居られないんだ!!」
「そうし……?」
 優子が怪訝そうに眉を寄せる。
 彼女の口から、竜司への愛の言葉など聞きたくはない。武尊は優子の言葉を遮って、荒々しく言葉を続ける。
「身と心は吉永番長に譲っても、彼には譲れないモノがある」
 突如、武尊は両膝を床についた。
「か、神楽崎」
 両手を床につき、頭を床につき……
「オ、オレの た、為に ぱ、ぱん つ くっ(て)、ください!!」
 土下座して床に額をこすりつけながら、武尊は思いの丈を神楽崎優子に伝えた。
「……国頭……今、なんて?」
 優子も膝を床について、武尊の肩に手を置きながら尋ねた。
「た、頼む……ぱん、つ、くれっ!!」(注:パンツくださいの意)
 絞りだすような声で必死に武尊は言った。
「もちろんだよ。キミだけの為に、用意しよう」(注:パン作るの意)
「ほ、本当か!?」
「ああ。それに何か誤解をしているようだが、私と吉永はそういう関係じゃない」
 優子は武尊の手を引いて、立ち上がらせる。
 そ の と き。
 ばたばたと足音が響いた。
 ロイヤルガード宿舎の廊下に、いてはならない生物の姿があった。
 それは、パンツマスクを被った生き物達。
「くっ、宿舎の中まで……」
 優子が病気の武尊を庇おうとする。
「まぁやちゃん、キミに決めたっ! パンツは頭や顔装備でないと教えてあげなさい!」
 突如、アルコリアの声が響く。
「はあい。そしてじゃあくなぱんつテロりすとにせーぎのてっついを……!」
 小さな女の子―ー眞綾の声が響き、彼女はアルコリアにより変態達の方へと思い切り投げられた。
「さよならティンさん」
 ひらりと肌蹴た白ランの下には、いくつもの爆弾が巻かれていた。
「逃げろ……!」
 シーマが駆け込んでくる。
「魔道書、ナコト! コントラクター・アルコリアに従え! 魔力開放のタイミングを合わせなさい!」
「イエス、マイロード! サロゲート・エイコーンの装甲すら砕くこの魔力を……総て、開放いたしますわ!!」
 禁書目録、指輪4つで魔法攻撃力を上げたアルコリアと、2つの指輪と堕落の羽根ペン、血のインクで魔法攻撃力を上昇させたナコトが、何を思ったのか――突然パラダイス・ロスト! 封じていた魔力をすべて解き放つ。
「虹のアミュレットよ……! 七難八苦から人を護り給えっ!」
 シーマは虹のタリスマンに最後の望みを託す……が、パラダイス・ロストは無属性だった。
「テロりすとにフィナーレだよ〜!」
 眞綾の小さな身体が、パンツを被った男達に直撃――。

どっかーーーーーーん

 爆弾と魔力が激しい爆発を起こす。
 パンツと男達が宿舎の屋根を突き破って吹っ飛んだ。
「神楽崎ーーーーっ!」
 武尊は優子の腰に飛びついて倒し、彼女のパン…を命がけで守った。
「ここが……ナラカか……」
 シーマは誰一人守れず、倒れた。

 ――そうして、白百合商会との大激戦の末、優子とアレナのリビングは粉みじんに吹っ飛んだ。
 運びこんだ洋服も家具も全て、綺麗になくなったのだ。
 用意したダミーの衣類も、イングリットのスク水も、の古着も。
 一つの悪を滅ぼすために、犠牲となった彼女達のパン…に、多くの者が涙したという。

 めでたしめでたし。





 ……ちなみに、アレナの本当の下着は、衣装箱の中で眠りについていた香苗がその類稀なる欲望力で守ったという。
 彼女が持っていれば、出回ることはないだろう。

 もう一つちなみに、毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)はその全てを撮っていた。
 自爆テロリストと化した半妖精の姿も、ロイヤルガード隊長を押し倒した四天王の姿も。
 十二星華サジタリウスのものと称されていたシースルーの下着達も。
 パーティで楽しむ学生達。
 花火となった変態さん達も。外で縛られていたため、九死に一生を得た変態さん達の姿も。

 後に大佐は、全てをネットで公開する。
 ただし変態に限り、『シースルーの下着を身につけて、ドヤ顔でセクシーポーズを決めている写真』に合成したものを。
 イルマ・レスト(いるま・れすと)も、予定通り個人情報付きの彼らの写真をネットにアップした。

 そして彼らは社会的に抹殺された。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございます。
この後、友人宅を渡り歩く2人の姿が目に浮かびます。

楽しいアクションをありがとうございました!
やっぱり変態さんが少なめでしたね。精進いたしますっ。

サジタリウスの衣類24点分をお持ちで、宿舎にたどり着いたと思われる方には白いメインディッシュ的なアイテムをお送りしました。
(反映まで少し時間がかかるかもしれません)

貴重なアクション欄を割いての私信等ありがとうございます。
あまりお返事を書く余裕が持てず申し訳ありません。大きな励みになっております。