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リアクション
19・協力
桐生組の面々で、火焔を包囲している。オリヴィア・レベンクロンが博識を使って、彼の火がある範囲よりは飛ばないことに気がついた。
等距離を取って、その幅を狭めないよう皆で円陣を作る。
円は二重に出来ている。
内側の円に、桐生円がいる。光学迷彩により見えない射撃を食らわせて火焔の行動妨害、嫌がらせ的な援護をしている。
ミネルバ・ヴァーリイも内側にいて、時折飛んでくる火の粉をキマク盾や高周波ブレードで攻撃をはじきとばす。火焔の火は、武器をも溶かす。数度の攻撃でキマク盾が溶けてきている。
三人はSPタブレットを砕きながら、円を維持している。
ロザリンド・セリナは、ミネルバと共に防御に徹している。はやり博識の力を駆使して、火焔の弱点を探っている。
桐生ひなも盾を使って、防御している。既に穴だらけだ。はやりSPタブレットを使用しているが、既に消耗が激しい。
「どこかで、一斉攻撃をしないと。このままじゃ、持たない」
「ヒールにパワーブレス、アリスキッスと揃ってるのじゃ。妾にまかせるのじゃ」
ナリュキ・オジョカンは疲れの目立つ子に補給を行なっている。
牛皮消 アルコリアも前方円で戦いだ。
「なにやら様子が変ですっ。弱ってきてるのではないでしょうか。」
火焔が悶えている。元々燃えている間はずっと苦痛に襲われているのだ。長い時間、乗り移ることも戦うことも出来ずに立ちつくし、苦痛が限界に来ているのか、それとも、身体が燃え尽きそうなのか。
「次々と身体を変えないと、火を維持できぬのかもしれないのう」
ランゴバルト・レームが言う。
ナコト・オールドワンは前衛で円の形を護っている。
シーマ・スプレイグは、事前に桐生組面々の姿、音声をプロジェクターに記録していた。
疲れてる一同を見て、2基のブースター点火、プロジェクターにて桐生組の面々の画像を投影する。
火焔からは、これまで二重だった包囲網が、投影の妙で三重にも四重にも見えるはずだ。
「これが、ボクの機晶の盾だ…っ!」
七瀬歩は、火に焼かれ悶える火焔を見て、
「かわいそう」
思わず呟いた。
「火が消えればいいのに」
「そうだね、消してみようか」
円が言う。
「みんなの力を合わせれば、凍らせることが出来るかもしれない」
ひなが言う。
「一斉にじゃ、少しでも火が残れば、其の焔で氷が解けてしまうぞ」
それぞれが余力を絞って、氷術を一斉に火焔に打つ。
火が消える。と同時に火焔が凍った。そのまま足元からバリバリと崩れ落ちてゆく。
「獣母、獣母はどこだ?」
崩れ落ちる瞬間、火焔の声が戻った。
「死んだよ」
誰かが告げる。
「そうか」
苦痛から開放され、安らかな顔となり、粉々になる火焔。そのまま大地に吸収される。
20・結界
その瞬間、戦っていた魔物が一斉に祠を目指した。
松平岩造は、隠形の術を使って、姿を消して敵に襲いかかる。
武器は高周波ブレードを使って、得意な剣技攻撃を使って敵を斬る。忍者は忍術だけが全てじゃない、剣技も大事である事も知っている。忍犬がほえる。何か変異があるのだ。
「おかしい」
それまで、トリッキーな動きをして学生たちを翻弄していた魔物がひたすら、祠を目指して突進してくる。
ファルコン・ナイトは、武器は妖刀村雨丸を使って、剣技で、それら魔物をひたすら斬る。加速ブースターを使って、スピードを生かした戦いをしている。
「岩造様、封印を護らなければ!」
「前に出るな、祠の周囲を固めろ!」
岩造が叫ぶ。
鬼院尋人も呀雷號と共に戦う。
弐識太郎は、襲ってくる魔物を容赦なく殴り飛ばしている。「軽身功」を活用、機敏に動いて小さな魔物を次々と撃退する。
スキル「心頭滅却」によって火・冷気・眠り・毒への抵抗力を身につけた身体を、葦原太郎左衛門の盾となるよう、動かす。
「葦原殿、体力の温存を。きっと八鬼衆がくる。小物は我々にまかせてくれ」
エヴァルト・マルトリッツは、機関銃を乱射している。煙幕が起こる。
「正面は任せたぜ」
太郎に叫ぶ。
エヴァルトは、側面から後方を護っている。リロードの隙をライトニングブラストのスキルで補い、魔物が進入しないよう、ひたすら撃つ。
南臣光一郎は、反対側の側面を護る。スプレーショットによる弾幕を張ることや、シャープシューターによる狙撃を行なっている。
「ストッピングパワーは、こいつらには効かないか」
手や足を、獣によっては頭を打ち抜かれても、魔獣の群れは、祠への進軍を止めない。
「おい、獣母は死んでるんだろ、小物が多いとはいえ、何でこんな次から次に」
大きな怪物や魔獣はほぼ仕留められ、蛙や蛇、蝙蝠などが変化した形が、次々と皆を襲ってくる。
虎鶫涼が事前に仕掛けた糸やメイベル・ポーターが作った落とし穴にも次々と魔物が引っかかり息絶える。
涼は、まだ隠れ身を解いていなかった。
「まだ八鬼衆が攻めてこないぜ、こいつら、なんで祠に群がる」
少し離れた岩場に、旅の女が座っていることに気付いた。手ぬぐいで頭を覆った肉付きのよい中年の女だ。
竹筒の茶を飲んでいる。
「こんな場所で休憩か。酔狂なのか、それとも」
涼は姿を現し、女に近寄る。
「何してるんだ」
「そちこそ、戦わなくていいのかい、皆、必死だよ、動物も人も」
「あんたは怖くないのか、この景色が」
「ああ、八鬼衆だからね、この程度では怖くわないわ」
「あんたはなぜこっちに来た?」
「…!」
涼は、自分が女に謀られたことに気が付いた。
慌てて祠へと走る。
景山悪徒が光学迷彩とブラックコートでの気配断絶を行い、皆に気付かれないように祠に近づく。腕をぶんぶん振りながら歩いている。
手にした包みを大きく振り投げる。
祠を護る人々が包みに気付き、一斉に銃で撃つ。
銃を大量に受けた包みは、太郎左衛門の前に転がる。無灯の首だ。多くの血が流れる。太郎左衛門が首を持つ、其の手が熱く爛れる。それでも太郎左衛門は首を離さない。
「後は呼び覚ますだけじゃ」
砂の葉は見ている。
無灯の首。命が宿ったかのように、太郎左衛門に噛み付くところころ転がった。祠の封印を破り、中に据えてあった仏像を薙ぎ倒す。
山が揺れる。
陵山が崩れ現れる巨大な怪物。
と共に、黒い影が空に舞い上がり消える。
砂の葉が立ち上がった。
「大太、久しぶりじゃの、長い封印であった。これで、道人様の時が動く」
そのまま姿を消す。
いつの間にか、周囲の木々が燃えている。銃撃戦で起こった火なのか、砂の葉が放った火なのか。
21・幽巫
房姫
天守閣で房姫は燃えさかる山陵を見ていた。
「戦況は不利なようです。ハンナが判断を誤らないようにしなければ」
ハンナは、ナカラ道人の復活を阻止するために、大量破壊兵器の使用まで考えている。もし使われては、葦原の自然は壊滅してしまう。
房姫が話し相手としているのは、橘 柚子(たちばな・ゆず)だ。外見は10歳程度で巫女装束を纏う少女、柚子と一日を過ごした房姫は、彼女が見た目通りの愛らしいだけの子どもではないことを感じでいる。
「房姫様、大丈夫どすえ、そんなことにはなりまへん。きっと皆がこの葦原明倫館をナカラ道人から護ってくれます」
「そうだといいのだけれど。ナカラ道人の復活は、封印された5000年前から予見されていました。シャンバラが新たな道を探るこの時期、もしかしたら・・・」
黴の匂いがする。
柚子は、晴明縁の十二天将(式神)である天乙貴人を使役として使っている。
「天乙」
小声で呼び出した。天乙は、房姫の袖口にもぐりこむ。
木花 開耶(このはな・さくや)が空を見上げる。
「何やら、湿気た匂いがしますわぁ。雨でも降りそうどす」
儚げな美少女、開耶は何やら不審な気配を感じ取っている。
英霊安倍 晴明(あべの・せいめい)も自身の持つ式神の十二天将を呼び出した。
「私の式神も連れてゆけ」
こそこそ式神と話している。
「蟲籠が前に来てるんだろ、こんな場所にいつまでにいていいのかい」
トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)も異変を感じている。スキル・超感覚で確りと周囲を警戒し、武器を手に何時でも戦える態勢を取っている。
「其の通りですわ、そろそろ戻りませんと」
トライブは、気安く房姫の手を取る。
「あんた、本当にきれいだな」
蘭堂一媛は、殺虫剤を持ち歩いている。
「蟲籠が来たら、これをかけてやる!」
一媛は蟲籠との戦いを楽しみにしているようだ。
レン・オズワルドは、天守から空を見ていた。
「早く戻ろう、空がおかしい」
焔で空が赤く染まっている。山が燃え煙が上がる。其の煙が不可思議だ。
こちらに向かってくるように見える。
レンが一同をせかす。
しかし霧の方が早かった。
刹那。
房姫は黒い霧に包まれたかと思うと、そのまま空高く宙に浮き、消え去った。
22・癒
戦場では怪我人の手当てが続いている。
カチェア・ニムロッドは政敏と共に祠の攻防に参加していた。祠の倒壊で土砂の生埋めになったものたちを政敏と共に掘り出している。
二人の上にも土砂が降り注いだ。しかし誰かが突き飛ばしたのだ。
其の誰か、葦原太郎左衛門の足が見える。慌てて砂を掘る二人。
弐識太郎も砂に埋もれる瞬間に誰かに押された。其の手には見覚えがある。
太郎左衛門だ。
「勝負の約束を果たしてくれ」
太郎も必死に土砂を掘る。
ランゴバルト・レームが、太郎左衛門の様子を見る
「我輩は出番じゃな。一角獣の角を用いて復活を行うとするかのう」
角をかざす。
「天照す光よ、傷を癒し再び活力を」
太郎左衛門の顔に生気が戻る。
続く。
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担当マスターより
▼担当マスター
舞瑠
▼マスターコメント
葦原明倫館キャンペーンの第一話です。皆様、ご参加ありがとうございます。
剣豪やニンジャ、奇想天外な時代劇ならではの悪役をちりばめて物語を紡いでいこうと考えています。
第二話は3月29日にガイドを発表します。宜しくお願いします。