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リアクション
■□■3■□■ 静香、百合園へ
そのころ。
七瀬 歩(ななせ・あゆむ)は、
犯人を探すために、
静香とラズィーヤの近辺を調べるため百合園周辺を捜索していたが。
(あれって?)
百合園女学院を見つめている、過去の自分を発見する。
「お嬢様学校かぁ……。
うーん、きっとあたしだとついていけなかったよねー。
皆すごいお淑やかだし。
……でも、ちょっと、ちょっとだけ行ってみたかったかも」
歩の家は、父の事業の失敗で、
暮らしが苦しくなり、歩も高額な授業料を理由に入学を断念している。
幼稚園の頃の友人が通っているため、話は多少、聞いていた。
(この頃は……確か、お父さんのお仕事がダメになった頃だなぁ。
家のお手伝いとかしながら色々考えてたっけ。高校行かないで働こうとか)
でも、契約者になった歩は、
今は、パラミタで百合園生になっている。
(……結局ここに来て、でも我侭が言えて、それを許してくれてホントに感謝してる)
両親のことを思い返して、歩は、過去の自分に話しかける。
「憧れだよね、百合園」
「お姉さん?」
きょとんとする過去の歩に、現在の歩は言う。
「これから色々悩むこと多いと思うけど、
貴女が大切に思う人は貴女の幸せを願ってくれてる。
それだけは忘れないで」
「……うん。
みんないい人ばっかりだもん!」
現在の歩に両手を包み込まれて、過去の歩は、朗らかに笑った。
★☆★
そうしていると。
「百合園女学院……」
冬蔦 日奈々(ふゆつた・ひなな)を案内してきた、
過去の静香が、歩と同じように、百合園に憧れの視線を送っていた。
「見つけましたよ、静香校長!」
アルバ・フレスカが、ハサミを振り回して走ってくる。
「きゃあああああ!?」
静香が慌てて逃げようとするが。
「待て、アルバ・フレスカ!」
「『男の娘の大切なもの』は、ボクたちのものだー!」
スポイトを持った小ラズィーヤと円も、反対側から走ってきた。
「ちょ、円ちゃん、何言ってるの!?」
「なんかノリでこうなったけど、手に入れたらお金くれるってー」
「ダ、ダメだよ!?」
円を、歩が止めようとする。
「だ、誰か助けてー!?」
過去の静香が悲鳴を上げていると。
空から、
姫宮 みこと(ひめみや・みこと)と、
本能寺 揚羽(ほんのうじ・あげは)が降ってきた。
「ぐはっ」
「がふっ」
「ぎゃふっ」
アルバ・フレスカと小ラズィーヤと円はつぶされる。
「え? え?」
「えーと、今のうちに逃げて!」
歩は、過去の自分に言う。
「あれ? おかしいですね。地面に降りたと思ったのに」
「さるよ、まだ犯人はわからないのか?」
みことと揚羽の下から、小ラズィーヤが躍り出て叫ぶ。
「こらーっ!
何してるんだ、お前ら!」
「何って、タイムトラベルを繰り返して、
時空を行き来して、犯人を捜そうと思っていたんです」
「犯人は妾が捕える。安心するがいい」
「って、タイムトラベルしまくってただと!?
そんなことしたら、よけい、時空のゆがみが発生するだろうがー!」
「きゃあああああああああああああ!?」
「うわあああああああああああああ!?」
みことと揚羽は、小ラズィーヤにタイムワープさせられ、
全裸で現在のヴァイシャリー湖に放り込まれた。
★☆★
「小ラズィーヤさん!?」
さらに、現在の静香も駆けつけるが。
緋柱 透乃(ひばしら・とうの)と
カメラを3台持った月美 芽美(つきみ・めいみ)が現れた。
「確か静香君って結構な人気者だったわねえ。
写真を取れば、ほしがる人が大勢いそうだし、
過去と現在の静香君のツーショットとかすごくレアよね。
そういうわけだから2人の静香君、特に過去の方の写真を取らせてもらうわ」
「私はあんまり興味なかったんだけど、芽美ちゃんに連れられてきちゃったよ。
でもまあ、しょうがないから、邪魔する人は地祇じゃなくてもちぎって投げちゃうよ!」
芽美がカメラを構え、透乃が戦闘モードになる。
「「ええええ? 何言ってるの!?」」
現在の静香と過去の静香の声がハモる。
「今だ!」
「今です!」
小ラズィーヤが現在の静香の、
アルバ・フレスカが、過去の静香のスカートをめくる。
「きゃー! ベストショット!」
芽美がカメラ3刀流で撮影する。
「待ちなさい!」
「スカートめくりは乙女の敵よ!」
現在と過去の小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が同時に現れた。
「「ダブルシャイニングウィザード!!」」
「ひでぶ!」
2人の美羽が、他の十嬢侍を踏み台にして、
アルバ・フレスカの頭に同時に蹴りを放つ。
倒れたアルバ・フレスカに、現在の美羽はストンピングを行い、
過去の美羽はピンクのランドセルで殴りまくる。
「毎日、通学で鍛えられてる小学生をなめないでよね!」
ズタボロになったアルバ・フレスカがつぶやく。
「な、なんで、こんなに暴れてるのに、
スカートの中が見えないんですか……」
「「これが乙女の魔法よ!」」
2人の美羽が同時に叫ぶ。
★☆★
「ざんすかがいないから即席タッグ組んだけど、
なかなかやるわね」
「お姉さんもね!」
「なんだか知らないけど
アルバ・フレスカは悪い奴だから、ぶっ飛ばしていいってきいたざんす!」
「って、ざんすか、いる!?」
現在の美羽が驚いて叫ぶ。
「やっぱりちぎって投げるのは地祇じゃないとね!」
「ぎゃあああああああ何しやがるざんす!?」
「うわあああああああどうしてこの時代でまでー!?」
しかし、透乃が、ざんすかとつぁんだをちぎって投げた。
「よくもざんすかを! アルバ・フレスカ、許さないわ!」
「ボク、何もしてないじゃないですか!
エリート宦官である、十嬢侍をなめないでください!」
美羽に怒られるアルバ・フレスカだが、意地で復活する。
★☆★
「仮面雄狩る、参上!」
リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)が、
いつもの仮面をつけて現れる。
中原 鞆絵(なかはら・ともえ)に憑依した、木曾 義仲(きそ・よしなか)も一緒にいる。
「アルバさん!
静香校長にひどいことするなんて許さないんだから!」
「な、なんだかすっごーい!」
アルバ・フレスカと因縁のある、
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)と、
たまたまついてきて、目を輝かせている過去のネージュも現れた。
「くっ、次から次へと面倒な人たちが!」
「子どもが政争の具にされるのは昔からよくあること……。
これだけ世が様変わりしても、
そういうところは変わりないの……ですか」
鞆絵に、立ち居振る舞いについてきつく言われているため、
言葉使いに気をつけつつも、義仲が嘆く。
「トモちゃん、静香校長たちをお願い!」
「いいでしょう、仮面雄狩る!
あなたとの決着、つけてあげます!」
仮面雄狩ること、リカインに対峙するアルバ・フレスカだが。
「あたしを無視するなーっ!」
ネージュが、空飛ぶ魔法↑↑で、アルバ・フレスカに飛び掛かり、押さえつける。
「さあ、あたしごとやって!」
「ちょ!? やめ!?」
「あら、本当にないじゃないの」
仮面雄狩るが、アルバ・フレスカのスカートをめくって言う。
「じゃあ、髪は女の命なんていうけれど、さて宦官にとってはどうなのかな?」
「くっ!?」
アルバ・フレスカが身をよじり、仮面雄狩るのハサミが一閃。
鈍い音を立てて落ちたのは、アルバ・フレスカの角であった。
「実はボクはアリスではないのです!
こんな着け角は不要!」
アルバ・フレスカは叫ぶなり、もう片方の角も放り投げた。
「なんですって!?」
「その角でつかれたの、あたし!?」
驚く仮面雄狩ると現在のネージュだが。
「お、おねえちゃん……」
「この角を投げやがったのは誰ざんすか!?」
「って、ざんすか!?」
ざんすかが、過去のネージュに襲い掛かろうとしている。
「誰でもいいからぶっ飛ばしてやるざんす!」
「ぎゃあああああああああああああ!?」
現在のネージュが、過去の自分をかばって、お星様になった。
「おねえちゃああああああん!?
あ……お手洗いお手洗い……」
過去のネージュは、そそくさと立ち去った。
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