天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 前編

リアクション公開中!

【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 前編

リアクション

■□■4■□■ ヒーロー・ヒロイン集合!

そのころ、過去のルカルカ・ルー(るかるか・るー)の家にて。
現在のルカルカは、
鍵を開けて罠を解除し、がらんとした部屋に入って行った。
「このころのルカが、なぜ静香さんの家に入り浸ってたか、よくわかるわね」
ルカルカが独りごちる。
この時代、世界中を飛び回り、子どもながら傭兵活動をしていたルカルカだが、
日本での一時逗留先の一つが新百合ヶ丘だったのだ。
両親も特殊任務で他国にいたため、ルカルカは一人暮らしで、
静香とはご近所さんの友人だった。
「一緒によく買い食いしたっけ」
ゴミ箱に捨てられているコンビニの袋を見て、微笑するルカルカだが。
「……来たわね」

★☆★

ベレッタを構えて突入してきた少女に、
ルカルカがソファに座って笑顔を向ける。
「誰?」
「未来のルカ」
過去のルカルカは、銃を構えたままつぶやく。
「たしかに、ルカにそっくりだけど……。
それに、この家に侵入できる人がそうそういるなんて思えない」
「信じてくれる?
お願い。この時代の静香さんに危険が迫ってるの。
戦うのは大人に任せ、静香さんを偶然を装って守って。
お礼にこの絶品チョコバーを箱であげるわ」
「たしかに、静香さんのお家が、今、大変みたいだけど……。
うん、わかった。
静香さんはお友達だから、引き受けるよ」
こうして、過去のルカルカは、未来のルカルカへ協力をすることになった。
「あと、このデジカメで、
普段の静香さんもいっぱい撮ってね
貴女と並んで写った写真とか食事中とか笑ってる所とかね」
デジタル一眼POSSIBLEを差し出す未来のルカルカに、
過去のルカルカがたずねる。
「どうして?」
「事情があって来られない人に、せめて写真を見せてあげたいの」
ルカルカは、ラズィーヤが静香を心配していると考え、
写真をお土産にしたら喜んでくれると思ったのだ。

★☆★

泣いて逃げ回っていた小学生の静香は、
友人のルカルカと合流して安心する。
「ルカルカさん!
あのね、なんだか危ない人がいっぱいいるんだ。
ルカルカさんも逃げた方が!」
「大丈夫、ルカが守るよ」
そんな会話をしていると。

物陰から、
ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)が、
アンパンを食べながら見守る。
「こうしてると張り込みの刑事っぽいな。
まあ、ロザリンドとか、ルカルカがいるし、大丈夫だとは思うが……」

ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)
雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)も、
物陰から静香を見つめていたが、
ショックを受けていた。
「こ、この可愛さは危険ですね……
1人で歩いていたら間違いなくテイクアウトされてしまいます!」
「あ、危ねぇ、思わずパパとママの友達だよとか
嘘をついて自動車に連れ込みたくなってしまったぜ……」

こうして、ロイヤルガードたちにこっそり見守られまくる静香だが。

「おう、悪いな、嬢ちゃん!」
薄汚れた服装の少年が、静香に体当たりしようとしてきた。
「!」
この時代のルカルカが、静香との間に割って入り、守る。

「げえっ! あれは!」
ラルクが、顔をしかめる。

「てめえ、カタギじゃねえな?」
「そっちこそ」
ルカルカに対峙しているのは、過去のラルクであった。
「まあいい。てめえらみてえなお嬢ちゃんが、
ストリートチルドレンとして磨き上げた俺の拳に勝てるかよ!」

「よりによってなんでこんな!」
ラルクにとっての黒歴史が、今、目の前で展開してしまっていた。

「やめてください!」
ソアが、魔法少女に変身して飛び出す。
過去への影響を少なくするための変装も兼ねてであった。
「魔法少女ストレイ☆ソア、ただいま参上です!
良い子のみんな、画面を見る時は部屋を明るくして離れて見てくださいね!」
「どっち向いてるんだよ!」
「ああっ、登場シーンは敵は動かないのがお約束ですよーっ!」
ソアがカメラ目線でポーズを取っていた隙に、
過去ラルクは過去ルカルカに殴りかかる。
「ッ!!」
過去ルカルカが銃を乱射する。
「わっとおお!!」
過去ラルクがたたらを踏む。
「あっ、日本では銃刀法違反ですよーっ!」
ソアが、光術で威嚇して止めようとするが。
「魔法はいいの?」
「そ、それは!」
過去ルカルカに言われて、ソアが困る。

「とりあえず、寝てろ!」
「ぐあっ!?」
黒歴史を皆に見られた現在ラルクが、過去の自分をぶん殴って気絶させる。

そうこうするうちに。

「よー姉ちゃん、良いモン持ってんじゃねーか。
ちょっとジャンプしてみな」
過去のセシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)が、
小学生の静香のカツアゲをしていた。
当時、放浪の旅を続けていたセシルは、
ボロボロの服とぼさぼさの髪で、とてもやさぐれた姿であった。
「え、僕……」
ルカルカにもらったチョコバーを取られて涙目になった静香だが。
「って、なんでアメリカ出身の私がこんなところにー!?」
現在のセシルがすっ飛んできて、
過去のセシルを捕まえる。
「なんだよ、ねーちゃん、邪魔すんじゃ……!?」
「ふふふふふ、口のきき方には気をつけましょうか?」
現在のセシルが、過去のセシルに笑顔のままで言う。
「弱い者いじめしちゃダメよ。
静香さんにチョコバー返しなさい。
あなたにもあげるから」
現在のルカルカも、お説教に加わる。
「そうですよ、
みんなで仲良くするのが一番ですよっ」
ソアも言う。
「かわいい女の子は、カツアゲより魔法少女になるといいぜ!」
ベアが魔法少女コスチュームを、過去のセシルに差し出す。
「さあ、一緒に変身です!
あなたのハートにサンダーブラスト!」
「こ、こうか?
サンダーブラスト!」
ソアと過去のセシルが一緒にポーズを取る。

「あれ?
皆さんと一緒に行動すればお嬢様っぽくなると思ったのですが、
ちょっと違うような……。
でもまあ、更生の兆しですし、いいですよね」
現在のセシルは、そう言ってうなずくのだった。