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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 前編

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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 前編

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■□■2■□■ 桜井家の事情

そのころ、静香の実家、桜井家では。

スーツ姿で決めたヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)と、
エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が、
桜井家の借金返済のため、事務処理を行っていた。
なお、スーツなのは
「びじねすまん」な気持ちからのヴァーナーだが、
「小学校の卒業式」にしか見えない。

「新百合ヶ丘みんなで助け合おう隊
名づけて SYMTT です!
町のえらい人にも相談するです!
とりあえず、静香せんせーのおお家がたいへんになったら
まわりのみんながどれだけたいへんになるか、
シャンバラ電機のノートパソコンで財産管理でけいさんです!」
パソコンを操作するヴァーナーだが。
「って、これ、ボクの知らない単位の、
てんもんがくてきな数字になってるです!?」
「億とか兆とか京とかは、まだ普通だが……」
エヴァルトがうなる。
「いやー、なんだか急にすごい額になっちゃったみたいで」
「皆さんにもご迷惑をおかけしてしまって」
頭をかく静香の両親に、エヴァルトが迫る。
「桜井負債、もとい、桜井夫妻!
そもそも、安請け合いで保証人などなるのがいけないのです!」
「「ご、ごめんなさい」」
「エヴァルトおにいちゃん、こわい顔しちゃダメです」
めっ、とヴァーナーが言う。
「……俺、こわい顔か?
まあ、ともかく……書類で残っている以上、そう簡単に無効には出来ません。
しかし、連帯保証人とはいえ、元々は借りた人が返すべきもの。
保証人となった直後に、
相手方が失踪、あるいは破産……となれば、十分計画的な犯罪として考えられるはずです。
もちろん、法律上はそうでない可能性も高い。
ですが……抜け道はあります。心情に訴えかけるのも一つの手段ですしね」
エヴァルトが、ちょっと傷つきつつも、提案する。

事務員にも協力してもらって、
調査を行ったヴァーナーが言う。
「なんだか、最近、お金を借りてきた人の中に、
アルバ・フレスカちゃんの関係者の人がおおいみたいです」
「なに!? アルバ・フレスカだと!?」
エヴァルトは、すぐさま、リストに上がった悪徳業者を訪ねた。

「おまえらが違法行為を行ったことはわかっているぞ!」
「君たちが違法行為を行ったことはわかっているんだ!」

エヴァルトと全く同じことを、つぁんだが言っていた。
「……何をしている?」
「えーと、どうせこいつら悪徳業者なんだから、シメて、
僕がお金をちゃんと有効活用してやろうと……」
「悪徳なのはおまえもだろうが!」
「痛い! 痛い!
いたいけな少女をシメるのは違法行為だよ!」
「やかましい!」

★☆★

そういったことがありつつ、
エヴァルトとヴァーナーにより、
アルバ・フレスカの手の者に増やされた、
桜井家の借金は、元の額に戻るのであった。

しかし。

「エヴァルトおにいちゃん、この数字、なんて読むですか?」
「……すさまじい額なのは変わらないようだな」
「どうもありがとうございます」
「これで、元の生活に戻れます」

静香の両親に感謝されつつも、
借金は、すぐになんとかなるようなものではないようであった。
「とにかく、元通りで、よかったです!」
ヴァーナーが、本当の親子のように、静香の両親と抱き合う。
「まあ、桜井校長が校長になる理由がなくならずにすんだのはよかったが」
そうつぶやく、エヴァルトであった。