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リアクション
プロローグ
今年の夏は、気怠い空気が薔薇の学舎を包んでいた。
毎年この時期は、目を潤わせてくれる薔薇たちが一休みする時期。大変つまらないこの季節に拍車をかける要因の1つに天気があった。
8月となったのに、雨続き。夏らしくもない空に、ルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)は溜息をつくばかり。
珍しく晴れた空を見上げても何かあるわけでもなく、噴水のある広場で1人佇んでいた。
「……何か面白いことでもなければ、校長も退屈されることだろう」
じりじりと照りつける太陽の光、それを受けて煌めく噴水のしぶき。ささやかな煌めきを前に、ふとアレのことを思い出す。
「そうだ、見られないのであれば、作り出せばいいではないか!」
生徒を講堂に集めて提案したのは、夏の気怠さを吹き飛ばすような夏祭り。
他校にも親善露店をお願い出来ないか使いを出すつもりだという大がかりなお祭りに、一同はお祭りに向けて準備を進めました。
その間、頑張っている企画チームや全力で遊んだ人たちには、夏の課題免除や普段はイエニチェリとその親しい者しか入ることの許されない特別な庭園でのティーパーティへお誘いもあるなど、様々な噂が飛び交い始めてしまいますが、ルドルフは全ての噂を否定することなく微笑むだけで、真実を教えてくれませんでした。
これは、何かあるに違いない! 皆が確信してますます盛り上がる中、とうとうその日を迎えたのです。
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