リアクション
エピローグ
「今回の事では、ホントに世話になりました」
スタインはシズルとレティーシアに頭をさげた。
「そんな……いいんですのよ、お礼なんて……」
「そうよ、私たちはやるべき事をやっただけ」
「いいえ。今回のことでは皆さんに、色々いやな思いもさせてしまいました。いくら、ミュゼットの事で気が立っていたとはいえ、当たり散らしたり、わがままを言ったり……自分で自分の至らなさに気付かされた気がします」
「そんなの……愛する人の生死がかかってるんですもん。当たり前ですわ。もし、わたくしがスタインさんの立場なら、きっともっとパニックになって、みんなに迷惑をかけまくっていたと思いますわ」
「あははは」
シズルが笑う。
「なんですの? その笑い」
レティーシアが横目でにらむ。
「なんでもない、なんでもない! 迷惑なんて思っていないわよ。困った時はもちつもたれつ……じゃないの」
「……ありがとうございます。それで、今日、お屋敷にお邪魔したのはささやかにお礼を……と思って」
そういって、スタインは持って来た箱を二人に差し出そうとしてやけに軽いのに気付く。そして箱を開けて頭を抱えた。
「なんてこった。これ、空箱だ! 間違えた」
そのとき、
「お兄ちゃん!」
可憐な声とともに、ミュゼットが現れた。
「ミュゼット!」
「お兄ちゃんたら、間違えて空の箱を持ってったでしょう? ほら、皆さんへのお礼はこっちよ」
そういって、ミュゼットがうんしょ、うんしょと大きな木箱を引きずってくる。その中にはスタインが畑で育てた野菜や果物が入っていた。
「まったく、もう……。お兄ちゃんたらよく確かめもせずに出発しちゃうから。慌てて追いかけて来たのよ」
「はははは。スタインらしいわ」
シズルが涙を出して笑う。
「でも、よかったわね、ミュゼットさん。すっかり元気になったみたいで」
「はい、皆さんのおかげです!」
「それにしても……ずいぶんたくさんの野菜ですわね。こんなに頂いてよろしいんですの?」
レティーシアが興奮気味に言った。
「ええ、野菜ならいくらでもあるから、いつでもお分けしますよ」
スタインが笑顔で答える。
それから、二人はしばらくシズルやレティーシアと話をした後、仲良く連れ立って家路についた。
「よかったですわね」
レティーシアがその後ろ姿を見ながら微笑む。
「ええ」
その隣でシズルはうなずく。そして思った。
あの兄妹にいつまでも幸あれと。
はじめまして。こんにちは、天宮あるとです。
今回、初シナリオを書かせていただきました。
まだまだ修行中ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。
まっすぐスタイン君自分を見てるようでしたが
無事にミュゼットちゃんを助ける事が出来てよかったです
また、みなさまからのアクションに
楽しいものが多くて、とっても助かりました。
また、熊の習性をよく知っておられる事が多くてびっくりしました。
それでは、また次のシナリオでお会いできることを願って。