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リアクション
「はあああ、ううううう……」
坂下 鹿次郎(さかのした・しかじろう)はため息ばかりついていた。
川原には、恋人や親しい友人達といちゃいちゃ花火を楽しんでいる十二星華の姿があった。
「こんな場所に、エメネアを呼ぶなんて……信頼あっても雪は鬼でござる」
携帯ゲーム機で気を紛らわせたいが、パートナーの姉ヶ崎 雪(あねがさき・ゆき)に没収されてしまっており、ログインできないストレスで、ため息が止まらなくなっていたのだ。
「ふぐぐぐご、ぼほほほごごご? ふわーほほひひははほ♪」
とはいえ。
隣を歩くエメネア・ゴアドー(えめねあ・ごあどー)は、雪が選んだとっても可愛い浴衣を纏っており。
食べ物を大量に口に含み、きちんと喋れずにいてもとにかく、可愛かった。
「巫女装束も最高ながら浴衣姿も新鮮で可愛いでござるな!」
思わずぎゅっとしたくなる鹿次郎だが、拳を握りしめて我慢しておく。
「おふはひも、よふにあっへまふよぉ〜」
お2人も良く似合ってますよ、とエメネアは言っているらしい。
鹿次郎と雪も、雪が選んだ大人っぽい浴衣を纏っていた。
「自然のもぐもぐ空気の中楽しむ事ももぐもぐたまにはしないと」
雪はエメネアよりも大量に食べ物を抱え、口に運びながら歩いている。
「ははは、2人とも何を言っているのかわからないでござる。兎に角、花火を落ち着いて楽しめる場所を探す――宝探し的な冒険に行くでござるよ」
鹿次郎がそう言うと。
「ほぐー!」
「もぐもぐー!」
エメネアと雪が焼き魚やフランクフルトを持った手をあげ、賛同する。
「しかし、落ち着いてもぐもぐ楽しめる場所といったらもぐもぐ、人のあまりもぐもぐいないところもぐ。となるともぐもぐ屋台がないじゃない! もぐもぐそれは大変。シートもらうもぐもぐわもぐもぐ」
雪は抱えていた焼き魚に串焼き、リンゴ飴その他を口につっこむと、近くの屋台に突撃。
地面に敷くはずだったシートに、大量の食べ物を置いて縛って、風呂敷の様にして抱える。
「出来ればもぐもぐ補充が出来るもぐもぐ場所でもぐもぐ」
「どうかんです〜ぱくぱく」
エメネアも同意見のようだった。
「ははは、そうでござるな」
「ふはーっ」
アイスクリームを食べ終えたエメネアの手が、片方空いた。
そのチャンスを逃さず、鹿次郎は彼女の手を握りしめた。
「場所を決める前に逸れると困るでござろう?」
「……そうですねー」
「此方で何か出ても今迄の様に必ず助けて守るでござるよ」
「はい〜!」
エメネアは嬉しそうににこっと微笑んだ。
顔に少しクリームがついている。舐めてしまいたい。そんな衝動に駆られるが、それも今日は我慢だ! 我慢だ鹿次郎!
花火を観る人々から離れて。
岩が転がっている場所へと出た。
「足下、注意するでござるよ」
鹿次郎はエメネアと慎重に岩を登って。
岩の上で並んで花火を観ることに。
雪はといえば。食べ物を食べつくしてしまい、屋台に向かって駆けていってしまっていた
エメネアの手の中にはまだ、沢山の串焼きが入った袋がある。
「どうぞ〜」
そのうちの1本を、エメネアは鹿次郎に差し出した。
「いただくでござる」
鹿次郎は野菜と肉の串焼きを、エメネアと微笑み合いながら食べていく。
パパン、パン、パン――。
大きく咲く光の花を観ながら。
「今後も二人でこうして色々な所へ遊びに行こう」
鹿次郎がそう誘うと。
「奢ってくださるのなら〜。喜んで。お小遣いも欲しいですぅ」
そんな返事が返ってきた!
○ ○ ○
パン、パン、パパン――。
空に咲いた光の花を見て、思わず「すげー」と声を上げた。
「ああ、昼間の惨劇の光景が、光の花に変わっていくよ」
ふうっと嘆息し、
柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は隣にいる人物に目を向けた。
「そうですね。日中は……色々ありました、ね」
アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)は僅かに苦笑する。
川原をパトロールしていた彼女は、タコイカ巨大魚騒動に巻き込まれ、色々と楽しい事に……いや大変な目に遭っていたのだ。
パン、パン、パパン――。
黄色と、真っ赤な光の花が咲く。
「うん、やっぱ夏の夜は花火だよなー。こういうのはのんびり観賞するに限るわ、うん」
恭也とアイリは、丸太の上に腰掛けてのんびり空を眺めていた。
アイリが花火だけではなく、人々を見渡せる場所がいいと言っていたため、少し高い位置から。
光の花を観賞しながら、人々の様子も気にしていた。
「流石に昼間みたいな馬鹿騒ぎは起きないよなー」
「ええ、羽目を外している方もいるようですけれど、遊びの範囲内ですね」
酔っぱらって踊ったり、歌ったりしている人達を見ながらアイリが言った。
ドン、パン、パパーン。
「おー、結構でかいの打ち上げんだなー」
「綺麗……」
大きな大きな光の花が空を支配した。
パン、パン、パパパン、パーン。
続いて、多くの光が空へと発射される。
次々と暗い空に、色とりどりの明るい花が咲く。
「たーまやー、ってか」
「ふふ、小さな光の星の集合体みたいですね。僅かな時間で空の彼方に消えてしまう……流れ星みたい」
次の花が空に咲き、そして消えていく――。
「世界が平和でありますように……」
アイリは美しい花の星に、そう願った。
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担当マスターより
▼担当マスター
川岸満里亜
▼マスターコメント
ご参加ありがとうございました。
こちらのリアクションの執筆担当は以下となります。
冷泉みのり
1〜5ページ、9ページ前半
川岸満里亜
6〜16ページ(9ページは後半のみ)
■冷泉みのり
こんにちは、冷泉です。
かき氷早食い大会に参加してくださった方々へ感謝を。
今回はイラストシナリオということで、私自身初挑戦でドキドキしてました。
どのイラストもとても素敵なので、イラスト参加された方はリアクションと合わせてお楽しみください。
川岸マスターの許可が下りたので、ちょっと宣伝を。
かき氷早食い大会をしましたカンゾーとチョウコが在籍する種もみ学院のシナリオを、八月の上旬頃に出したいと思っています。
前回の続きとなりますが、初めての方も大歓迎です。
ガイドをちらっと見ていただけたら嬉しいです。
■川岸満里亜
お世話になっております、川岸です。
軽快なアクション、ありがとうございます!
イベントは気軽で良いですね〜。活き活きとした皆様が見られて楽しかったです。
また皆様とこうして楽しい時間を過ごさせていただきたいです。
イラストシナリオとのリンクですが、一部無理やりリンクを入れたような形になってしまい、申し訳ありません!
シナリオに参加された方も、されていない方も、是非イラストシナリオの方もご覧くださいませ!