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ダイエットも命懸け!?

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ダイエットも命懸け!?

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第一章

「俺、ダイエットは別に必要ないんですけどねぇ……」
 先頭を歩くマリエル・デカトリース(まりえる・でかとりーす)たち女性陣を見ながら、葛稲 蒼人(くずね・あおと)は呟いた。その横では、御凪 真人(みなぎ・まこと)も頷いている。
「あ、もしかして御凪もですか?」
「ええ、まあ。……『も』、ということは君もなんですね」
「パートナーが」
「ええ、パートナーが」
 二人は呟いた後顔を見合せ、苦い笑みを浮かべた。
「引き摺られました。あそこの黒髪ポニーテールの巫女さんに」
 蒼人が、マリエルの横で楽しそうに笑っている神楽 冬桜(かぐら・かずさ)を指さす。と、くるりと振り返った冬桜に、
「指さすのはお行儀悪いんだよ!」
 と注意された。振り返ったのはそのためだけで、すぐにまた前を向いて談笑を再開する。蒼人は再び苦笑した。
「大変ですね」
「いつものこととも言えますけどね。御凪は?」
「俺ですか? まあ、こちらも似たようなもので」
 言いながら向けられた視線は、セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)に向かっていた。
「ダイエットをする、と言うのでやむなく。体重が気になるなら食べなければいいのでは、と思うのに食べるんですよねえ……」
「つい作りすぎてしまい、結果食べすぎてしまうそうですよ?」
「というか、気にするほど太ってませんよね。俺のパートナーも、君のパートナーも」
「それでも気にするのが女性だそうで」
「結果振り回される俺達、ですね」
「「……はあ」」

 二人が同時にため息を吐く一方で、先頭を歩くマリエルと冬桜とセルファ、七瀬 歩(ななせ・あゆむ)は食欲の秋について話していた。
「どうしてこんなに美味しいものがいっぱいなんだろうね?」
 唇に人差し指を当て、考えるように歩は言う。
「ね! モンブランはもちろん、アップルパイやスイートポテト、かぼちゃのタルト……美味しいよね!」
「和菓子だって捨てたものじゃないわよ。栗の風味がしっかり生きてる栗きんとんや、芋あんがたっぷり詰まった大福。すっごい美味しいんだから」
 冬桜とセルファが力説し、
「あぁ〜、話を聞いてるだけでおなか空いちゃうよぉ〜!」
 悶えるマリエルと、
「美味しく食べるために、今日は走りまわっちゃうよ! ダイエットはみんなでやれば怖くないんだから!」
 意気込む歩。
「そうだよね! みんなで一緒にやればきっと痩せるよね! 目指せ減量だよ!」
 おおー! と冬桜が右手をあげて元気よく言う。
「ケガしないように気をつけてよね」
 ヒートアップしていく面々にセルファが声を掛けた。
「セルファくん、やさしー……」
「やっ、優しくないわよ別に! 怪我したら手当する人が大変になっちゃうから言っただけよ!」
「ううん、セルファさんは優しいよ。あたし知ってる、セルファさんみたいなのをツンデレって言うんだよね?」
「なっ!? べっ、別にあなたたちを心配してるわけじゃないって言ってるでしょー!?」
「じゃあ怪我しないように気をつけようねー」
 そう歩が締めくくる。
「ツンデレ、ですか。なるほど」
 顔を真っ赤にしたセルファに真人が言うと、「#%&’%$〜!」と、翻訳不可能な言語が彼女の口から飛び出した。照れ隠しなのか、背中をぱしぱし叩いてから早足で歩いて行ってしまい、真人がそれを追いかける。
「なんかいいなあ、ああいうの」
「何か言ったか?」
 ぽそりと呟いた一言に蒼人が反応し、冬桜はふるふると頭を振って「なんでもない」と笑った。
「なあ冬桜、今度何か作ってくれないか?」
「え?」
「嫌ならいい」
「ううん、作るよ! 腕によりをかけて美味しいものいーっぱい作っちゃうんだから! 一緒に食べようね♪」
「ああ。約束」
 そんなやり取りの後仲良く歩く二人を見て、歩は「青春だねえ……♪」と呟くのだった。