First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last
リアクション
7 再び・乗り込む人々
大鋸に見切りをつけたカーシュ・レイノグロス(かーしゅ・れいのぐろす)は、軍用バイクで列車に並行して走っている。1人で潜入しようとしているのだ。
スピードを揃えて、列車に飛び乗ろうとしたとき、
背後から
「ワーッハッハッ!」
笑い声が聞こえる。
後ろから白馬で追ってきてるのは、全裸の変熊 仮面(へんくま・かめん)だ。
「カーシュ、お前乗車券あるのか?降りろ!今すぐ降りろ!」
「引っ張るな!死ぬっ!死ぬっ!」
カーシュは既に飛び移っている。
「静かにしろっ!」
「なんでそんな悪いことばかりいうの・・・ううっ!悪事ばかりして。なんて子なの?お母さん悲しいわ・・」
「いいから、黙ってろ。いつからお前は俺の母さんなんだ!」
カーシュは、変熊を押しやる。
「いいから、そこで待ってろ!戻ってきて遊んでやるから」
カーシュは隠れ身で姿を消す。
去ってゆく電車。残され立ち尽くす変熊。
「むぅ!俺に内緒で悪事を働くとは…。俺が正してやらねばなるまい!」
白馬と共に、再び列車を追いかける。
カーシュはピッキングで列車内に潜入、変熊がついてきていないことを確かめると、近くにいた男に声を掛ける。
「傭兵として雇ってくれ」
カーシュが声をかけたのは、黒地に赤と金をあしらった着流しを着崩して、肩口からは刺青をはだけさせた、どこからどうみても極道なオトコである。
「いいだろ」
誰に相談することなくカーシュを室内に招きいれた。
着流しのオトコは、大草 義純(おおくさ・よしずみ)だ。今は大代紋 忠仁(だいだいもん・ただひと)という偽名を使っている。
蒼空学園の義純は、普段は大人しい生徒を装っているが実は・・・だ。
義純は、スナイパーライフルを構え、出て行く。
「わしは、最後部を守るからのぉ、ここは任せるぜ」
すぐに蝶ネクタイを締めた背の高い男がやってきた。義純から話を聞いたらしい。
「Aと呼んでくれ。よろしく。傭兵大歓迎だっ。」
「名前も聞かないのか?」
「明日も会えれば聞いてやる!」
笑いながら去っていくA 。
Aが去った後に、全忠が立っていた。
「こっちだ」
案内する全忠の言葉にカーシュが苦々しく笑う。
「大鋸と一緒じゃないのか。まさかお前と、ここで会うとはな」
単独で潜入するものがいることを大鋸は知らない。
事前に潜入者から聞いた場所で、待機している。
少しずつ人数が増えていることにも気が付いていない。
ゴザルザ ゲッコー(ござるざ・げっこー)は、夜陰にまぎれて、大鋸の一行に加わっている。
「お前、前からいたかぁ」
「拙者は目立たないでござるから、気が付かなかったのであろう」
「まあ、いい」
いつのまにか桐生 円(きりゅう・まどか)とオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)もミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)と一緒に大鋸の後ろを歩いている。
夜も遅い。
大鋸は細かいことはどうでもよくなっている。
8 襲撃
高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)が線路に耳をつけている。
列車が走る振動が聞こえてくる。はじめは微かだった揺れは徐々に大きくなっている。
レティシア・トワイニング(れてぃしあ・とわいにんぐ)目配せする。
「そろそろくるぞ」
一同が線路脇に待機する。
「よぉ、そろそろ襲撃するぜっ!」
大鋸が叫ぶ。
「まず、列車を止めてから襲撃だね!」
後先を考えずに川村 まりあ(かわむら・ )が走り出した。
線路に横たわる!
「私が見えれば、止まるはずよ」
「何してるんだ!闇夜だ。お前なんか石にしかみえないよ」
ウェイル・アクレイン(うぇいる・あくれいん)が慌てて助けあげる。
列車が何かにつまづいてスピードが落ちる。
まりあを助け出したときに、代わりに側に落ちていた石を置いたのだ。
「っと、これが噂の幽霊列車か…」
ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)とアイン・ディスガイス(あいん・でぃすがいす)は、大鋸たちから少し離れて近づいてくる列車を見ている。
「本当に金目のもんがあるのか」
「これで、安宿から解放されればいいんだがな・・・」
二人とも金があれば、もう少しましな宿で寝られる。
「まぁ、悪党から奪うんだったらあんま心も痛くないしな」
大鋸たちが動き出したのをみて、ラルクも、近づいてくる列車に乗り込むために線路に寄った。
出来れば、そっと侵入するつもりだった。
しかし、突然、爆発が起る。
線路前方だ。
イーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)が線路上に仁王立ちし、サンダーブラストを見舞っている。
ふわっと横に飛び上がると、今度は線路にアシッドミストをうつ。
衝撃で一度止まった列車だが、なんとか再び動き出した。
しかし止まった隙に、
「うふぁふぁわははは。楽しいぞ」
イーオンは笑いながら、アルゲオ・メルム(あるげお・めるむ)と共に列車内に乗り込んでいる。
「やるねぇ」
「ちきしょぉ!さき越されたぜ!」
国頭 武尊(くにがみ・たける)と猫井 又吉(ねこい・またきち)は、爆破をみて同時に叫ぶ。
又吉は、「破壊工作」を使って列車を横転させるべく準備をしてきたのだ。
「誰がやろうと、こまけぇこたぁいいんだよ!!今なら列車に飛び乗れるっ!いくぞ!」
列車に飛び乗る二人。
『トレジャーセンス』を用いて、一番高価なお宝の所在位置を探す武尊。
「どうやら前だぜ」
「光学迷彩」を用いて姿をけす武尊と又吉。足音を消してそっと列車内を移動する。
列車のスピードが落ちている。
列車内は、騒然としている。組織の一員は、それぞれ武器を手に分厚いカーテンの隙間から外を警戒している。
5両編成の列車は、真ん中のカジノスペースを除いて、通常の列車だ。
二人づつ座れる座席が通路の左右に並んでいる。
闇にまぎれて、ミユ・シュネルフォイヤー(みゆ・しゅねるふぉいやー)のスパイクバイクに乗った切縞 怜史(きりしま・れいし)がパートナーのラヴィン・エイジス(らうぃん・えいじす)と共に、列車の連結部分の飛び移る。
ラヴィンは夜のお出かけに楽しそうだ。
ミユは、そのままバイクで前方に待機している。
切縞がスキルの「破壊工作」を使って、連結部の切り離し作業を行っている。
「本当は、列車の旅に興味があったんだがよ。こうなったら、仕方ないですな」
最後尾、一両が外れる。
ミユのバイクが近づいてくる。
再び飛び乗る、切縞とラヴィン。
「次に行きますか」
駿河 北斗(するが・ほくと)は、切り離された一両には目もくれず、その前の車両に飛び乗った。
「オラオラ邪魔だぁっ!怪我したくなかったら退いてなっ!!」
後に、ベルフェンティータ・フォン・ミストリカ(べるふぇんてぃーた・ふぉんみすとりか)とクリムリッテ・フォン・ミストリカ(くりむりって・ふぉんみすとりか)を従え、車両の中を駆け抜ける。
次々と仲間が車内に乗りこんでくる。
列車のスピードは上がったり。下がったり。
侵入者を振り落とそうと、賢明だ。
「雑魚は相手にすんなぁ、中央突破だぁ」
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last