First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last
リアクション
変熊 仮面(へんくま・かめん)が白馬と共に飛び乗ってきた。
「カーシュ、どこだ?母さんが迎えにきたぞぉ」
変熊はオリヴィアに目を留める。
「むっ!ということは桐生円まで悪事を企んでいるのか!」
円の姿を探すが見つからない。
「円ぁ!悪い事ばかりして!お嫁に行けませんよっ!俺様が迎えにきましたっ!帰りましょう」
叫んでいる。
変熊の登場がセンセーショナルだったのか、それとも時間がきれたのか、吸精幻夜で踊らされたものたちが次々正気に戻っていく。
正気に戻ったゴザルザとイーオンはお互いを支えあっている。
「これ、持って帰る〜」
好き勝手に暴れていたミネルバが、両手で箱を抱えて戻ってきた。
なにやらお宝の匂いがする。
「まあ、いいわぁ〜もう楽しんだもの」
オリヴィアが誰もいない空間に話しかける。
そこに、姿を消した円がいるのだ。
「許しませんわ」
全てが分かったアルゲオが、円に向かって爆炎波を投げる。
炎が起こる。
しかし三人は、いつのまにか姿を消している。
変熊は、まだ騒いでいる。
「カーシュ、どこですかぁ、カーシュ、」
篠北 礼香(しのきた・れいか)が変熊の口を押さえて、白馬に乗せる。
「カーシュはとっくにずらがったわよ。私たちも行くわよ、ジェニス、急いで」
ジェニス・コンジュマジャ(じぇにす・こんじゅまじゃ)はいつの間にか、大きな箱を背中にしょっている。
重量オーバーだが、白馬は三人を乗せて、列車から飛び降りた。
そのまま荒野を走っていく。
途中、二人を降ろして、変熊はまたカーシュを探して荒野を走る。
礼香が呟く。
「持ち出せるものがこれしかなかったの、中は何かしら」
ジェニスはカメラを見ている。
「映っていればいいが」
12 列車の外での戦い
天槻 真士(あまつき・まこと)は大鋸と共に手下たちに囲まれている。
手下たちはそれぞれに、銃を持ち、じりっじりっと間合いをつめている。
「うぉおおおおおおおおおお」
大鋸が手にしたチェンソーを振る回しながら、駆け出す。
真士が禁猟区を使いながら、援護する。
地面を転がる真士、乾いた大地が砂埃を立てる。
一瞬、大鋸と真士の姿が、砂埃の中に消えた。
刹那、二人は手下たちの裏側にいる。
スプレーショットを乱射する真士。
「殺るか殺られるか・・・とことんやるわよ〜」
セラフィス・ローレンティア(せらふぃす・ろーれんてぃあ)とレヴィス・ストレチア・レギーネ(れう゛ぃす・すとれちあれぎーね)は、後方支援に徹している。
真士にやっつけられて、逃げ出してきた手下をホーリーメイスで気絶させ、縛り上げている。
「あんまり無茶はせんで下さい……自分の心臓に悪いっす」
セラフィスは楽しそうに暴れている真士から目が離せない。
戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)は、今は大鋸と同行しているが、襲撃には加わらず後方で待機している。
その行動が命取りになった。
大鋸が大好きな晃月蒼は、小次郎の行動をこっそり監視していた。
「戦闘に参加しないなんて、何かある」
蒼の直感だ。
小次郎のもとに、逃れてきた組織の手下がやってきた。
なにやら言い争う二人に、蒼は自分の寒が正しかったと確信する。
空飛ぶ箒にのるとランスを手に二人の元に突き進む蒼、手下を一撃し、小次郎を狙ったとき、
小次郎のパートナー、リース・バーロット(りーす・ばーろっと)の禁猟区が発動される。
後ろに飛び去る小次郎、またもや蒼がランスを振り下ろす。
「誤解ですわ、私たちは敵ではありませんわ」
「蒼殿、お待ち下さい。我は敵方に偽りの情報を流したのです」
蒼の手が止まる。
「王の能力や参加する人数を少なく敵方に伝えました。敵方の守りに隙があるのはそのためと思われます。このものは、苦情を言いにきたのです」
失神している手下をみやる小次郎。
蒼も小次郎の言葉が、真実と悟ることが出来た。
「ワタシ、悪いことしちゃったですぅ」
しょげる蒼にリースがいう。
「あなたの行動は王さんが好きだからですもの、気にしませんわ。」
その先にいるのは、胸の部分が大きく開いたラバードレスを着た幾嶋 冬華(いくしま・ふゆか)。その格好では到底戦力にはならない。テレシア・ラヴァーズ(てれしあ・らう゛ぁーず)と共に、大鋸の後方で、ひたすら戦況を見ている。
「私たちの使えるヒールは2名様までなので早い者勝ちなのですぅ、無駄使いはできないのですぅ」
「ワンタン(王大鋸)のためにとっておこうよ」
「はいですぅ」
時々、逃げてきた手下が二人を襲う。
冬華は禁猟区で結界を張って危険は前もって察知している。
手下が近づいてくるたびに、冬華は大きめの胸をわざと揺らして、相手の気をそらし、
「あうあう〜怖いのですぅ〜」
テレシアは泣きじゃくって相手を油断させては、ホーリーメイスでぼっこぼっこに殴っている。
13 前から2両目の戦い
箒に乗って空に待機していたメニエス・レイン(めにえす・れいん)とミストラル・フォーセット(みすとらる・ふぉーせっと)は、突然の狙撃に怒っている。しかし、その狙撃で戦闘が始まったことを知った。
「そろそろ出番です」
ミストラルが待ちくたびれていたメニエスを促す。
二人は、空飛ぶ箒で屋根に降りる。
列車内に進入するメニエスとミストラル。
戦闘が激しい真ん中車両を避けて、2両目に降り立つ。
2両目の屋根には、戦闘に乗じて侵入した全身レオタード姿のルカルカ・ルー(るかるか・るー)が潜んでいた。デジカメ、マグライト、細ロープを身につけている。
空から降りてくるメニエスに気が付いて、慌てて1両目と2両目の列車連結部に身を隠すルカルカ。
連結部には同じように隠れている男がいる。Aだ。
ほんのわずか眼が合う。
一瞬だ。
ルカルカの光条兵器、幅広く長い片手剣がAの喉元を狙っている。
しかし、Aの銃もルカルカの頭部を至近距離から捕らえていた。
「お前、妙な格好しているな」
「あら、動きやすくて軽いのよ。目立たないしね」
列車が揺れる。
しかし、二人とも微動だにしない。
お互い、相手の動きを待っている。
痺れを切らしたのは、Aだ。
「お前、オレを逃がせ」
ルカルカにAが意味ありげに言う。
「見返りは?情報なの」
「2両目のコンテナ、前方右端に一番のお宝が詰まってる。早く開けて楽にしてやれ」
ルカルカがAの顔をじっとみる。
「オレにも子供がいる」
ハッとなるルカルカ。
そのまま後ずさりして、一瞬で屋根の上に戻る。
Aの姿も、もうない。
2両目は座席が取り払われ、コンテナが並んでいた。
コンテナ1つ1つに、手下が銃を持って警護している。
そっと影から近づき、吸精幻夜で手下たちを錯乱させるメニエス。
「うわっ!」
2両目との扉が開き、国頭 武尊が転がってきた。
光学迷彩で姿を消してここまで来たはずだが、傷だらけだ。
「なんだって奴ら、手当たり次第撃つんだよ。当たったじゃないか」
武尊は腕から血が流れている。
「おっ!」
怪我の具合を見ようと光学迷彩をといた武尊の姿は見えている。手下が襲い掛かる。
「バリッ!」
窓ガラスが割れて、手下の腕が飛ぶ。
窓の外には、軍用バイクに乗った猫井 又吉がいる。
シャープシュータを使い狙撃したのだ。
「えーとお宝は・・」
再び、光学迷彩を使って再び姿を消そうとする武尊の前にメニエスが立ちふさがる。
「宝は私1人のものだ。落ちてしまえぇ」
武尊をドアから突き落とす。
「これだ・・」
落ちる瞬間、武尊は小さな箱を手にした。
「オレのお宝・・・トレジャーセンス、よくやった!」
落ちてゆく武尊を又吉がすくいとる。
そのままバイクは闇に消えてゆく。
連結の切り離し工作をした切縞 怜史(きりしま・れいし)は、3両目からの切断作業を諦めて、2両目と3両目の連結部に近いドアにいる。
ラヴィン・エイジス(らうぃん・えいじす)とミユ・シュネルフォイヤー(みゆ・しゅねるふぉいやー)は、既に列車外で待機して、みんなの戦闘を見学している。
誰かが倒した敵が連結部のドア近くに押し出される。
「ほらっ!行くぞぅ!」
怜史が敵を足で、ラヴィンに蹴りだす。そのたびに、「来たッ〜!」
嬉しそうに敵を縛り上げる二人。
メニエスとミストラルも飛び掛ってくる敵を、列車外に押し出している。
なんというか、敵も見方も区別はない。
闇雲に目に入った人間を、がつがつ押し出している。
「何で、オレまで!」
ドア近くにいた怜史をメニエスが押し出す。
怜史は、ラヴィンの膝の上まで飛んできた。
「もう、おしまいっ?」
「あの野郎!」
再び、列車に戻ろうとする怜史をミユとラヴィンが羽交い絞めしている。
光学迷彩と隠れ身のスキルで隠れたミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)は、カメラ片手に連結部に隠れていた。
「ここなら、3両目も2両目見えるし、外の戦いも撮影オッケー。ベストポジションだぜ」
メニエスが誰かを押し出すたびに、シャッターを切る。
しかし、組織の手下もローグのスキルについて精通していた。内通者から教わったようだ。
誰もいない場所にでも警戒するように、銃を乱射してくる。
ミューレリアの足元にも、銃が打ち込まれる。
「うわっ」
思わず声が出るミューレリア。
「いたなぁ」
後ろから声がする。
メニエスだ。見えない誰かがいると気が付いたらしい。
手当たり次第に暴れて、あちこちを押し出している。
「やばっ!」
逃げようとしたとき、メニエスの腕が当たる。列車から飛び落ちるミューレリア。
カメラが中に投げ出される。
慌てて掴むミューレリア。
「あいたた・・だれかにヒールもらわなきゃ」
カメラを庇おうとした左腕が痛みが走る。
ルカルカは、先ほどのコンテナの鍵をピッキングで外している。
中を覗きこむルカルカ。
「やっぱり」
そのとき、のろのろ歩くように走っていた列車が加速した。
「いけない」
列車から飛び降りるルカルカ。
消える前に、コンテナ内にヒールをかけている。
14 列車外
「怪我した人はよっといでー。ヒール一回20Gだよ」
峰谷恵とエーファ・フトゥヌシエルが始めた商売は、思うように儲からない。
ヒールで回復すると、お金を払わず逃げてしまうのだ。
かといって、瀕死の人に財布のありかを聞くことも出来ない。
「そうだよ!」
恵は名案を思いつく。
レベッカたちの後ろには、縛り上げられ転がされた組織の手下たちがいた。
その一人一人に「ヒール一回20Gだよ」
声をかける恵。
彼らなら、回復しても逃げることができない。
15 先頭車両での戦い
吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)は、敵方に潜入していたアイン・ペンブローク(あいん・ぺんぶろーく)と約束どおり一両目で合流していた。
一両目は。普通の客車である。
「アグゥーニンには、大事な宝は一両目に隠し、他の車両にはダミー宝を用意する事を進言している。お宝はここにあるはずだ、にしてもどうしてここに手下がいないんだ」
竜司は大鋸と行動を共にしながらも、パートナーのアインを組織側に潜入させていた。
両方の情報を得て、お宝を独り占めする計画だったが。
とりあえず襲撃の衝撃で車両の下に散らばっている、貴金属類の箱をしまう。
「これっぽっちのはずがねえ」
「カチャ」
拳銃の銃身を起こす音がする。
カジノにいたAが横に立っている。
「何人に、ご忠告いただいたと思ってるんだ。次から次へと。お前たち、仲間を売って何を得る。」
Aは、列車の壁を背中に立っている。
「こっちの誤算は、思ったより襲撃人数がいたことだ。ばらばらばらばら湧いて出て。まあしょうがない。残ったお宝は預けておくよ。大鋸に言ってくれ。そのうち回収に伺うと」
Aの建つ壁がスライドして、小型飛行艇が姿を見せる。
Aは乗り込んですぐ、後部座席に人影がいることに気が付く。
高崎 悠司だ。
Aの後頭部に拳銃を突きつける。
トラップを仕掛けようと、隠れ身を使って列車内を探していた悠司は、避難用の飛行艇を見つけて、その中に潜んでいた。
「待ちくたびれた〜おそいよ。そうだ、こいつは動かないよ」
良く見ると、飛行艇のハンドルが外されていた。
瓜生 コウ(うりゅう・こう)は、カーブの手前で待っていた。
目の前に迫る列車の内部では戦闘が行われているらしく、光や爆音が絶え間なく聞こえてくる。
列車が減速した瞬間、先頭車両に潜り込むコウ。
すでにドアは破壊されているので、潜入は容易だ。
すぐに列車内に火術を放つ。
コウは、煙よけにゴーグルをつけている。
車内にいた竜司とアインに火の手が迫る。
相手が敵か味方かも分からず、コウに向かってゆく二人。
コウは火術を再び使い、もうもうとした煙のなか、運転室の扉をスプレーショットで滅多打ちにする。
しかし、竜司に阻まれる。
やけどをおった竜司は、コウを襲おうとして、もろとも列車の外に投げ出された。
コウは、竜司がクッションになってくれたおかげで無傷だった。
竜司は、やけどと傷の痛みと戦っている。
コウは、竜司のお腹のあたりが膨らんでいるのに気が付く。
隠された箱を手に取るコウ。
「ふーん、あんたは敵なのか味方なのか。まあいいや、全部は可哀相だから、オレ半分貰っていくぜ」
コウは宝を手にすると、竜司の上に光精の指輪で灯りをともし、その場を去っていった。
全身傷だらけの状態で走りこんでくる男がいる。駿河 北斗だ。
両手に持っていや武器は、今は片手にしかない。壊れたドアを押し開け、車両室に入る。
ヴィンセント・ラングレイブも列車を止めるために、車両室を目指してきた。
連結部分から中を覗きこんだヴィンセントは、先に車両室に飛び込んだ北斗と車両内で縛り上げられたAの姿を見る。
「ここでやつらに正体を明かす必要もないか、アグゥーニンはまだ利用出来る」
車両室は、北斗に任せることにして姿を消す。
カライラは、小型飛空艇に乗って、列車襲撃を空から見ていた。
「どっとが有利なのかな、誰が敵で味方なのか、わかんないや、へんなの、ははは」
レベッカがそれを見て、苦々しく呟く。
「あいつ、笑ってる」
アリシアが、ボソッと、
「風がありますわ、少し左を狙って」
頷くレベッカ。ライフルを構える。
銃弾がカライラの右頬を掠める。
「もうちょっと左だったな」
風が少し強まったのだ。
そのまま飛び去っていくカライラ。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last