天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

【十二の星の華】悪夢の住む館

リアクション公開中!

【十二の星の華】悪夢の住む館

リアクション



第9章 出口と決意(中編)

「おいっ! こんな非常識なのってありか!? 館が動いてるっ!」
 はるか頭上を見上げ、天城 一輝(あまぎ・いっき)は銃型HCに向かって悪態をついた。
「コレット、聞こえてるのか!? 鳴動館が動き出したっ!」
「そこをどけ一輝っ!」
 ユリウス プッロ(ゆりうす・ぷっろ)が、その堂々たる体躯で一輝に向かってタックルをかかます。
 重量感の――館一個分の重量感のある音と振動。
 『鳴動館』が振り下ろした巨大な足が、さっきまで一輝が立っていた辺りを盛大にヘコませた。
「見ろ、一輝は迷惑がったが、我が付いてきて正解だった」
「もうそんなどころの話じゃないんだよっ! 彼方とテティスの関係修復に来ただけだというのに……ったく、つきあいきれないぞこんなものっ」
 誇らしげに胸を張るユリウスにツッコんでおいて、一輝は、手から飛んでいった銃型HCを探して拾い上げる。
「コレット、聞こえてるのか?」
「……聞こ……ザッ……今ス……テティ……」
「何やら調子が悪いようだな」
「おまえが突き飛ばしてくれたからじゃないのか?」
 覗き込みながら画面をつつこうとするユリウスから銃型HCを遠ざけ、一輝は半眼でユリウスを睨んだ。
「……いずれにしろ、直している暇はないぞ一輝我らも加勢に回らねばなるまい」
 一輝はチッと舌打ち。

「コレットっ! とにかく人数がいる。テティスを連れて――お前もきてくれっ! 俺も、彼方も一緒にピンチだっ!」
 半ば投げやり気味に、一輝はマイク部分に向かって言葉を放った。