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【十二の星の華】悪夢の住む館

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【十二の星の華】悪夢の住む館

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終章 高い空と決着

「みんな、協力感謝する」
 結局。
 時間の経過と共に増えに増え、動き出した鳴動館を止めるために力を振るった生徒達。
 ずらりと集ったその沢山の生徒達の前で、彼方が深々と頭を下げた。

 彼方の背後には鳴動館ゴーレム。

 空京市街に向かって前進するための足部を破壊され、
 破壊のために打ち振るわれる腕部を破壊され、今や静かになって転がっている。

「おそらく……敵側十二星華の罠であるのは間違いないと思う。家型ゴーレムなんて、冗談みたいな話だけど、街の中に置いておいてテロのきっかけにするには、そこそこ有効なのかも知れないしな。出入りしてたのが誰だったのか……捕まえられなかったのは痛いけど、取り敢えずこいつを止められてよかった」

 ゴーレムの最奥に据えられた起動装置、テロのための実験。
 それが、周辺住民に届いていた轟音や騒音の正体だったのだろう。

「間抜けって言えば間抜けな話だけど。まあもうテロの直前だったのかも知れない。その辺含めて、この『鳴動館』は今一度調査されると思うけど、今回はこれで落着――ほんとにありがとう。正直、一人じゃどうにもならなかった。鳴動館の正体報告すれば、テティスの無実も証明される――もちろん、身代わりになった奴も」

 彼方の言葉に、ところどころで小さな笑いが起きる。

「とりあえず、俺たちは報告をしに、クイーン・ヴァンガードの本部に戻る――だからさ――」
 とそこで彼方は一旦言葉を切り。
「さっさとテティスの飛空艇返してくれよっ!」
 玲奈に向かって詰め寄った。
「察しが悪いなぁ、キミは。無くなっちゃったから探してるって、さっきから言ってるよ?」
「よりによって警備隊の詰所からだぞ? 飛空艇がそんな簡単にどこか行くかよっ」
「だってないんだもん。いいじゃん、キミのあるんだから」
「あ、ああ! そ、そうよね! そう言えば、小型飛空艇って二人乗りが出来たわよねっ! 操縦してる人にしがみついてればいいのよね! な、なんだぁ、簡単簡単! なんにも問題ないじゃない」
 明らかにぎこちない葵が、台本を読み上げるような調子で、玲奈の支援に回った。
 グッと奥歯を噛みしめた彼方の顔に、赤みが上る。

「返してくれっ!」
「ないもんっ!」
「返せってっ!」
「知らないも〜ん」

 まるで相手にならない玲奈を諦め、悔しそうな彼方は未だ帰る素振りも見せない大人数の方に振り向いた。

「じゃ、じゃあせめて――」
 何かを待つような無数の視線に怯みながら、彼方が無理矢理に声を張り上げる。

「――見てないで、帰ってくれっ! 頼むからっ!」

担当マスターより

▼担当マスター

椎名 磁石

▼マスターコメント

 こんにちは、マスターの椎名磁石です。
 『【十二の星の華】「悪夢の住む館」』に参加していただきましてありがとうございました!
 今回は、今までコミュニケーションを取ってもらう機会の少なかった彼方とテティスと絡んでいただき、少しでも知り合ってもらえたらなぁと思ってのお話にさせていただきました。
 関わっていただいたキャラクターの皆さん、プレイヤーの皆さんが、ニヤニヤしたり、「煮え切らないなぁもう!」などとやきもきしたりして――二人の姿を少しでも記憶に止めていただけましたらすごく嬉しいのですが。その辺りが上手く描けていれば幸いです。 次回はまた、何かしらの事件の中でお会いできればと思います。
 ぜひ懲りずにお付き合いください!