リアクション
* 王子は、あの騎士の言ったことを思い出していた。クライス、と言った。 それに王子には、月夜のことが…… 王子は自ら陣頭に立って軍を率いて、敵を迎え撃ち、そのままオークスバレー奪還に向かう、と心を決めた。 * 「アム。ご苦労だったな」 「……」 「下がってくれ。ゆっくり、休んでいるといい。 ……。これで当面、黒羊の方は……」 マーゼンは、不敵な笑みを見せた。 これで、南部諸国が動くか。騎士クライスの言ったように、確かに王子を陣頭に立たせることで、諸侯を一つに纏めることができる。しかし、ならばこれは確実に勝ってもらわんといかんな。 「昴君。さて、我々はどうしようか?」 「クロッシュナー殿。見ているだけとはいかぬでありましょうな。 しかし、多少予定とは違ったと言え、思う通りにはなりました。今後、そう滅多と来ることもないでしょう。この最南の地で少し羽を伸ばすのも?」 「うむ……しかしまだ、目を離せぬ人物もいたな」 「あ、ええ。そう言えば」 * 南臣、どうする? 「まだまだ、これからじゃん?」 ……再び、マーゼンと昴。 「次は、会談にも参加していない独立三国でありますな」 「うむ。三国か……いや、一度オークスバレーを攻めて撤退中にあるドレナダは、この際、今からの進行軍によって滅ぼさせてもよいか?」 「どうでしょう。あとの二国、プリアラ、デアデルについても、今、南部諸国が一つに纏まろうとしているところを邪魔されてはいけないわけですね」 ここで、冒頭に出てきた政略結婚の話が出てくる。これによって懐柔を計ろうというのだ。 「王子には、もう一役買ってもらわねばならんな」 「……戦に、結婚にと、可愛そうな気もしますけどね」 「それが乱世というものですな」 |
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