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【十二の星の華】秘湯迷宮へようこそ

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【十二の星の華】秘湯迷宮へようこそ

リアクション

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【ルート5】

 三叉路を真ん中、真ん中、右手へと進んだのは騎沙良 詩穂(きさら・しほ)セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)サンティアゴ・ヤグルマギク(さんてぃあご・やぐるまぎく)ベアトリス・ウィリアムズ(べあとりす・うぃりあむず)ソプラニスタ・アコーディオン(そぷらにすた・あこーでぃおん)シア・メリシャルア(しあ・めりしゃるあ)、カレン、ジュレール、比島 真紀(ひしま・まき)サイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)葉月 ショウ(はづき・しょう)ラグナ・ウインドリィ(らぐな・ういんどりぃ)
 それと、カレンに誘われたグランが同行している。
「オッサン……何故ここに!?」
「何故ここにいるかって? それは風に教えてもらったのさ」
 いつの間にか居たラグナにショウは驚いたが、ラグナは格好付けてそう答えていた。
 実際は女性をナンパしていたらいつの間にか辿りついてしまったようなのだが。
「しかし……これは罠なのかねぇ」
 ラグナが言うのも無理はない。
 右手へと進んですぐに現れたのは床一面の温泉まんじゅうだったのだから。
「でもコレ、幻覚みたいだよ? さっきふんづけちゃったんだけど、すぐに消えて復活してたし。ただ……足の裏に踏んだ感触は残るけど……」
 リアトリスとベアトリスの水着姿を見て、さきほどまで抱きついていたシアがそう告げた。
 それを受けて、皆先を行くが、食べ物を踏みつけながら歩いているようで、精神的ダメージを食らった。


 なんとか通り抜け、次の曲がり角を曲がる。
「“天井のボールに注意”? 」
 通路には大きな文字の看板をジュレールが読み上げた。
 皆、一斉に上を見上げ、構える。
「きゃっ!」
 自分の頬をかすった何かに詩穂は驚きの声を上げた。
「あら、この言葉自体が罠だったんですね」
 セルフィーナは何気にかわしている。
 なんとボールは上からではなく、横から来たのだ。
 壁にいくつも空いている穴から出て来ている。
 ボールは穴の位置を確認しながら、なんとか避けていける。
「アリス」
「アトリ」
 リアトリスとベアトリスは声を掛け合うと、ベアトリスがサンティアゴを、ベアトリスがソプラニスタを抱っこして通路を掛けだした。
「待ってーっ! 置いてかないでー!」
 その後ろを必死にシアが走っていく。
「自分達も行きましょう」
「おう!」
 真紀とサイモンも駆けて行く。
「お嬢さん、宜しければ俺がお守りしますよ?」
「大丈夫です」
「こんな状況でナンパしてる場合かーっ!」
 走りながらラグナが真紀をナンパしたがあえなく撃沈。
 それをショウが突っ込んだ。
 ボールの嵐を抜けた。
 その瞬間――
「ええっ!?」
 先頭を走っていたカレンの姿が消えた……と思ったら、落とし穴に落ちていた。
「ぬめぬめ〜」
 落とし穴自体は深くないが、中にはスライムがひしめいていたのだ。
 このままでは全ての魔力を吸われてしまう。
「可憐なお嬢さん、お手をどうぞ」
 素早く手を差し伸べたのはラグナだった。
 その手を取り、落とし穴から脱出成功。
「宜しければ、この探索のあと一緒に温泉に入りませんか?」
「助けてくれてありがとう。でも、それは遠慮しとくね」
 カレンはお礼だけ述べるとグランとジュレールの元へと駆けて行った。


「次はどんな罠なのかしら?」
 セルフィーナの言葉は少し楽しげに聞こえる。
 ボールも落とし穴も抜けた次の通路には何もないように見えた。
 ここには何もないのかもしれないと先を行くと、通路を真ん中辺りまできたところで頭上から何かが降ってきた。
「きゃーーーーーっ!」
 響き渡る女性の甲高い悲鳴。
 ビョコビョコ跳ねまわるカマドウマ1万匹が降って来たのだ。
 それも掌サイズ。
 これは男性でも悲鳴を上げたくなる。
 辺り一面がカマドウマに占領されてしまった。
「服にも入ってくるよ!」
 リアトリスが服の中に入ったカマドウマを取ろうとするが、取っても取っても新しいのが入ってくるので実に無意味だ。
「とにかく! 先に進んでここを抜けよう!」
 サイモンが皆に聞こえるように怒鳴ると、みんなはそれを倣って、また駆けだした。


 曲がり角を曲がると部屋への扉を発見。
 すぐに扉を開け、全員が入ったことを確認すると扉を急いで閉めた。
 ここから先の通路も何もなさそうだ。
 目当ての部屋はここだろう。
 それぞれ、部屋の中を探すこととなった。
 部屋の中には何故か油まみれの平均台が発見され、オレンジジュースの出る蛇口まで見つかった。
 罠として設置しようとして、諦めたのかもしれない。
 カレンは一緒に玄武甲を探しているグランの顔をじっと見た。
「なんでしょう? 顔に何か付いてます?」
 その視線に気が付いたグランが言う。
「グランさんは……ホイップに恋愛感情ってないの?」
「げほっ! ごほっ!」
 急な質問にグランがむせた。
「い、いきなり何を――」
「だって、ずっとホイップの事助けたりしてたんでしょ?」
「それはそうですが……正直言いますと、好き……ですよ。ただ、ホイップちゃんが選んだのはエルさんです。エルさんと一緒にいるときのような表情をボクは……ホイップちゃんにさせてあげることができないんです」
「…………」
 グランの言葉を聞いて、カレンは胸を押さえた。
 自分の胸をぎゅっと掴まれたかのような感覚を味わった。
(カレン……つらそうだ)
 ジュレールはカレンとグランの会話を聞きながら、自分もそんなカレンを見て胸が締め付けられるような思いにあることに気が付いた。
 カレンのものとは意味が違うかもしれないが、確かに辛いという感情だ。
「ありました!」
 詩穂がそう叫ぶと全員がその側へと寄って行った。
 詩穂の元にあったのは豪華な装飾が施された宝箱だ。
「あけますね」
 皆の喉が鳴る。
 開けた刹那――
「ガウワウッ!」
 宝箱が襲って来た。
 宝箱の口が開くと、そこが本当に口の様に見える。
 目があるのか確認は出来ないが、モンスターであることに違いは無いのかもしれない。
 とっさに、シアはリアトリスとベアトリスの前に立つ。
「これでも食らってろ!」
 ショウは持っていたさざれ石の短刀で切りつけると運よく石化効果が発動した。
 皆、警戒態勢を解く。
 結局、石化した宝箱の中に【はずれ】の紙が入っているのを確認出来ただけだった。